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月と共にステップを

恋。
僕が君に抱いた思い。
高校の入学式、細い陽の光が差す体育館、少し俯きがちな君の横顔、綺麗な顔にほんのりと影を落とす長いまつ毛。
一目見た時、恋に落ちた。
君がどんな秘密を持っていようと、君を愛せる自信があった。



入学式から数ヶ月、同じ図書委員で仲良くなった僕たち。
よく、他愛もない話をしていた。
数学難しいね〜だとか、購買のパン美味しいよね〜とか。
そんな、しょうもない話。
しょうもないけど、君と話すと、すごく、特別な時間に思えた。



ずっと、自分の胸の内を話せなかった。



いつもと変わらないある日の休み時間、君と話している時、冗談で「僕、実を言うと好きな人いるんだよね〜、入学式の時一目惚れしたんだ」と言うと、君は「なっ、そうなの?!」と驚いたような声を上げた。
「え〜なんで今まで言ってくんなかったの!」と言いながら頬を膨らませる君を見ながら、思った。
君は、僕の気持ちを知らないで。



そんな日々を過ごし、2年生になったある日の放課後。
君に「あのね、大事な話があるんだ」と呼び止められ、僕は少し期待してしまった。
「どしたの?」と平常を装いながら尋ねると、「実はね、彼氏、できたの…」と言われた。
そう言われた瞬間、世界が壊れる音がした。
僕の思いは、届かなかった。
「そうなの?!よかったじゃん!」と表では明るく振る舞ったが、心の中は暗闇だった。



家に着き、部屋の扉を乱雑に開け、バッグをベッドの上に放る。
ゆっくりと、ため息を吐いた。
僕の想いは完全に片想いになってしまった。
でも、心の中では分かってたんだ。
想いを伝えなかった自分が悪いのに。
どうして、こんなにも悔しくて、胸が苦しいんだろうか。
どうしても、君の恋人が僕から君を奪い去ってしまったように思えてしまった。
もう君は、僕の声には応えてくれないのだろう。
だって君は、彼の恋人なんだから。
僕のものじゃないから。
諦めなくちゃ。
そう自分に言い聞かせてるのに、どうしても君を想うと涙がこぼれてしまう。
綺麗さっぱり諦めて仕舞えれば、君を想ってこんなに涙をこぼすこともなかったのだろうか。



君は彼と一緒になってしまったけど、僕が勝手に君への愛を語るのはだめなのかな?
そんなことを考えながら窓の外を見てみると、美しい三日月だった。
君の名前の由来。
君が教えてくれた。
君が生まれたとき、美しい三日月が空に浮かんでいた。
まるで湖水に反射した月のように輝く月。
美しい月、三日月。
この2つを掛け合わせて、「美月」という名前になった君。


君の手を取って、単調なステップを踏む。
たどたどしい足取り。
手を取って微笑み合う。



美月、幸せにね。

2024/10/01 22:12

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
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