さてさて今回も変装する雪華ちゃんですが、相手は金貸しの旦那でございます。
そう簡単には近づけません。
というわけで。
雪華ちゃんは伊織さんに文を送ることにしました。
伊織さんであれば、金貸しに近づくことは簡単でしょう。
「うちの店の花魁が毒殺された。金貸しの旦那に疑いがかかってるから聞いてほしい」という内容です。しかし、自分から人を殺したなんて言う阿呆はございません。
「……文、書くのめんどくさい」
姐さん諦めました。
やはり変装が一番です。
前回同様、ハーフアップ風の髪型で菓子屋へ向かいました。
読者様ならこのあたりも書いてほしいはずでしょう。
しかし作者がまあ面倒くさがりまして。
それゆえ、前回と同じ状態だと思ってくださいませ。
───────雪華ちゃんもといゆきちゃんは伊織さんに会いに行きました。
伊織さんは嬉しそうでございます。
「どうした?ゆき。またお菓子を買いに来たのか?」
雪華ちゃんは首を振ります。
「あの、お願いがありまして……」
「ん?なんだ?言ってごらん」
雪華ちゃんは事の経緯を説明します。
「────つまり、俺にその金貸しに話を聞いてこいと?」
「はいぃ……」
「ゆき、お前は俺に死ねというのか?」
「そんな!滅相もございません」
雪華ちゃんが首をぶんぶんと振りますと、伊織さんは少し唸りながら考えます。
「うーん、仕方ない!行ってくる!」
こういう時の伊織さんの頼もしさは江戸一です。
雪華ちゃんは安心して姐さんへのお土産を買って帰りました。
[水平線]
さて困ったのは伊織さんです。
勢いであんな依頼を引き受けてしまったものですからさあ大変。
正直に「夏文花魁に毒を盛ったのはあなたですか?」なんて聞けばあの世行き間違いなしでございます。
しかし、件の旦那は金貸しにしては優しいことで有名です。
ここで悩んでも仕方がありません。
伊織さんは覚悟を決め、旦那に話を聞きに行くことにしました。
[水平線]
伊織さんは道の途中、茶屋に寄りました。
気を落ち着かせるためなのと、旦那さんの甘い物好きは有名なので、もしかしたらいるかもしれない、という期待もちょこっとだけあります。
お茶屋に入ると、旦那さんを発見しました。
「おっ!そこの旦那!隣、いいですかな?」
伊織さんが声をかけますと、旦那さんは恵比寿さまのような顔でにこにこしながら頷きました。
「珍しい方ですなぁ、私の隣を選ぶなんて」
「いやぁ旦那の話は有名でさぁ。なにしろ、あの夏文花魁と小日向を身請けしようって話を出したらしいじゃないですか」
「ああ、夏文…彼女は美しく、教養のある方でした。それなのに、最期はああなってしまうなんて悲しいことです」
「でも、あなたには小日向がいるじゃないですか」
「彼女は妥協案です。本命は夏文、遺体でもいいから、いや、遺体を引き取りたい限りです」
伊織さんにはこの言葉が引っかかりました。
「旦那、夏文花魁は毒殺されたという話はご存知ですか?彼女は自殺だと言われていましたが、殺されたという話も出ているんです」
「ええ、彼女は殺されたんですよ」
「どなたに?」
旦那さんは変わらずにこにこしながら答えました。
「私に。あの子は甘いものが大好きでしたから、大福に薬を混ぜたんです。小日向からの催促が酷くてね……。「身請けをしろ」と騒がしいのです。夏文を失えば、悲しんでいると見て催促もなくなると思ったのですが、逆効果でしたよ」
ははは、と笑う旦那さんを見て、伊織さんは背筋が凍りましたとか。
[水平線]
伊織さんは、旦那さんの恐ろしい言葉を文にしたためました。
そして、姐さんのもとに届けさせ、小日向に事実を伝えるように頼みました。
真実を知った小日向は絶望し、ほどなくして入水しました。
旦那さんがどうなったのかは、誰にも分かりません。
そう簡単には近づけません。
というわけで。
雪華ちゃんは伊織さんに文を送ることにしました。
伊織さんであれば、金貸しに近づくことは簡単でしょう。
「うちの店の花魁が毒殺された。金貸しの旦那に疑いがかかってるから聞いてほしい」という内容です。しかし、自分から人を殺したなんて言う阿呆はございません。
「……文、書くのめんどくさい」
姐さん諦めました。
やはり変装が一番です。
前回同様、ハーフアップ風の髪型で菓子屋へ向かいました。
読者様ならこのあたりも書いてほしいはずでしょう。
しかし作者がまあ面倒くさがりまして。
それゆえ、前回と同じ状態だと思ってくださいませ。
───────雪華ちゃんもといゆきちゃんは伊織さんに会いに行きました。
伊織さんは嬉しそうでございます。
「どうした?ゆき。またお菓子を買いに来たのか?」
雪華ちゃんは首を振ります。
「あの、お願いがありまして……」
「ん?なんだ?言ってごらん」
雪華ちゃんは事の経緯を説明します。
「────つまり、俺にその金貸しに話を聞いてこいと?」
「はいぃ……」
「ゆき、お前は俺に死ねというのか?」
「そんな!滅相もございません」
雪華ちゃんが首をぶんぶんと振りますと、伊織さんは少し唸りながら考えます。
「うーん、仕方ない!行ってくる!」
こういう時の伊織さんの頼もしさは江戸一です。
雪華ちゃんは安心して姐さんへのお土産を買って帰りました。
[水平線]
さて困ったのは伊織さんです。
勢いであんな依頼を引き受けてしまったものですからさあ大変。
正直に「夏文花魁に毒を盛ったのはあなたですか?」なんて聞けばあの世行き間違いなしでございます。
しかし、件の旦那は金貸しにしては優しいことで有名です。
ここで悩んでも仕方がありません。
伊織さんは覚悟を決め、旦那に話を聞きに行くことにしました。
[水平線]
伊織さんは道の途中、茶屋に寄りました。
気を落ち着かせるためなのと、旦那さんの甘い物好きは有名なので、もしかしたらいるかもしれない、という期待もちょこっとだけあります。
お茶屋に入ると、旦那さんを発見しました。
「おっ!そこの旦那!隣、いいですかな?」
伊織さんが声をかけますと、旦那さんは恵比寿さまのような顔でにこにこしながら頷きました。
「珍しい方ですなぁ、私の隣を選ぶなんて」
「いやぁ旦那の話は有名でさぁ。なにしろ、あの夏文花魁と小日向を身請けしようって話を出したらしいじゃないですか」
「ああ、夏文…彼女は美しく、教養のある方でした。それなのに、最期はああなってしまうなんて悲しいことです」
「でも、あなたには小日向がいるじゃないですか」
「彼女は妥協案です。本命は夏文、遺体でもいいから、いや、遺体を引き取りたい限りです」
伊織さんにはこの言葉が引っかかりました。
「旦那、夏文花魁は毒殺されたという話はご存知ですか?彼女は自殺だと言われていましたが、殺されたという話も出ているんです」
「ええ、彼女は殺されたんですよ」
「どなたに?」
旦那さんは変わらずにこにこしながら答えました。
「私に。あの子は甘いものが大好きでしたから、大福に薬を混ぜたんです。小日向からの催促が酷くてね……。「身請けをしろ」と騒がしいのです。夏文を失えば、悲しんでいると見て催促もなくなると思ったのですが、逆効果でしたよ」
ははは、と笑う旦那さんを見て、伊織さんは背筋が凍りましたとか。
[水平線]
伊織さんは、旦那さんの恐ろしい言葉を文にしたためました。
そして、姐さんのもとに届けさせ、小日向に事実を伝えるように頼みました。
真実を知った小日向は絶望し、ほどなくして入水しました。
旦那さんがどうなったのかは、誰にも分かりません。