文字サイズ変更

イ ギ ョ ウ ノ キ ミ ト コ イ ヲ ス ル

美しい。
今日も君は美しい。
君は今日も私を誘惑する。その蠱惑的な肉体で。
君の肉体は陶器のように白く、滑らかで、私の情欲を掻き立てる。
何度君の肌に私のモノだという印をつけたいと願っても、それは叶わぬ願いだった。











今日も君に声をかける。
返事は無い。
分かっているが、やはり声をかけないのもおかしいと思い、返ってこない返事を待つ。
周りの友人は皆口を揃えて「気が狂っている」と言うが、私たちの愛はそんな言葉だけでは引き裂けないんだ。そうだろう?













思い返せば、君に初めて会ったのは私がまだ幼い頃だった。
母親に手を引かれて街のデパートに行った時のことだった。
街中に立ち並ぶ店。
洋食屋、書店、喫茶店、家具屋。
そして、洋服屋。
ショーウィンドウの前を通った時、私は衝撃を受けた。
真っ白な肌。その肌を包み込む流行りの洋服。どこか遠くを見ている目。凛とした佇まい。すらりと長い足に、細い指先。
私は一目で、君に恋した。
とは言っても、まだ幼かった私は、大人になってから正式な恋愛をしようと変に真面目な思いでいた。
そして、社会人になり、ある程度金を稼げるようになった頃、私の念願は叶った。
やっと、君を迎えることができた。













家に届いた君を、丁寧に組み立てる。
関節同士を繋いで、全身を綺麗に拭いて。
私は、君の体をじっくりと眺めた。
滑らかな肌。今にも動き出しそうなくちびる。
私はふと思い立ち、君のくちびるの上に、"元"恋人が置いていった紅を差した。
ふっくらとした白いくちびるに、赤みがさして、まるで生きているかのようになった。
私は君の身体に手を這わせた。
冷たくて、滑らかな肌。
その肌の冷たさが、私の情欲を異常なまでに掻き立てた。
我慢できずに、無我夢中で君のくちびるに吸い付いた。
少しひんやりとしていたが、火照った私の身体とは相性が良かった。
気づけば、朝だった。
私は、自身が眠っていたのかも分からず、しばらくぼんやりとしていた。
そして、一先ず顔を洗わねばと思い、洗面所に向かった。












君にどれだけ愛の言葉を伝えても、君から愛の言葉が伝えられることはない。
当たり前だ。
それでも、私は満足していた。
私から君へ愛を伝えられれば、君に届いていれば私は満足していた。












私は俗に言う偏愛者なのだろう。
だが、私の愛を抑えられるものは何もない。
私はただ、自分の感情に従って、君と言う存在を愛するだけだ。
命の無い君と言う存在を。
歪んだ愛だと思われがちだが、決してそんなことはない。
誰だって、何かを愛したことくらいあるだろう。
私の場合、その対象が"マネキン"だっただけだ。
頼むから。
私 の 愛 を 壊 さ な い で く れ。

2024/10/18 21:15

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は月町 桔梗さんに帰属します

TOP