綺麗な音を響かせて
今日もあの人は声を荒げている。
音楽室で、ピアノを弾きながら。
ストレートの焦茶の髪を肩につくくらいに切って、先を優しくカールさせてある。
時代遅れ感の強い桜色のカーディガンを羽織り、そのシミのある手を必死に動かしていて。
色の白いはなんとやら、顔立ちはあれだが本当に色が白かった。
屋外授業なんて無いような教科だからか、先生の肌は白いままだ。
「ほら〇〇さん!もっと口開けて歌いなさい!」
先生は手をぶんぶん振りながら、生徒を怒鳴りつけた。
その子は声が小さくて、歌うなんてもっての外としか言いようのない女の子だ。
悪態をつきながら、先生はピアノの鍵盤を叩き始めた。
[水平線]
待って、待って。
お願いだからまだ……。
私の願いも虚しく、彼は黒板に書かれた字を消してしまった。
他の生徒たちからも残念そうな声が上がっても、彼は新たな文字を書き始める。
透けた地肌、申し訳程度に残った頭髪、節くれだった指。
いかにもなおじさん。
この人、よくいる「さっさと板書消しちゃう系先生」。
ある日、他の生徒が先生に聞いたらしい。
「先生、どうしてあんな早く板書消しちゃうんですか?」
先生は笑いながら、「そうでもしなきゃ授業進まねえんだよ」と言ったそうだ。
授業くらい、もう少しゆっくりしたっていいじゃないの。
音楽室で、ピアノを弾きながら。
ストレートの焦茶の髪を肩につくくらいに切って、先を優しくカールさせてある。
時代遅れ感の強い桜色のカーディガンを羽織り、そのシミのある手を必死に動かしていて。
色の白いはなんとやら、顔立ちはあれだが本当に色が白かった。
屋外授業なんて無いような教科だからか、先生の肌は白いままだ。
「ほら〇〇さん!もっと口開けて歌いなさい!」
先生は手をぶんぶん振りながら、生徒を怒鳴りつけた。
その子は声が小さくて、歌うなんてもっての外としか言いようのない女の子だ。
悪態をつきながら、先生はピアノの鍵盤を叩き始めた。
[水平線]
待って、待って。
お願いだからまだ……。
私の願いも虚しく、彼は黒板に書かれた字を消してしまった。
他の生徒たちからも残念そうな声が上がっても、彼は新たな文字を書き始める。
透けた地肌、申し訳程度に残った頭髪、節くれだった指。
いかにもなおじさん。
この人、よくいる「さっさと板書消しちゃう系先生」。
ある日、他の生徒が先生に聞いたらしい。
「先生、どうしてあんな早く板書消しちゃうんですか?」
先生は笑いながら、「そうでもしなきゃ授業進まねえんだよ」と言ったそうだ。
授業くらい、もう少しゆっくりしたっていいじゃないの。
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