博臣は目が覚めると、ある違和感に気づいた。
右腕が動かない。
否、正確に言えば、「動かしている感覚がない」。
脳の処理が追いつかず、博臣は混乱した。
「自分の右腕はどうなっているんだろう」
そんなことが脳内を駆け巡った。
先日、自分は何をしたか。
それを思い返していくうち、博臣ははっとした。
そうだ。五感ネルに書き込みをしたんだった。
なら、あのスレに質問すれば何かわかるかもしれない。
そう思い、博臣はパソコンを開いた。
「大至急!このスレに書き込みをしたら、右腕の感覚がなくなりました。決して動かないというわけではなくて、動かしている感覚がないんです」
文章を投稿すると、すぐにレスがついた。
「そりゃそうでしょ。五感ネルは五感と引き換えなんだから」
その直後、また一件レスがついた。
「あー、お前右腕って書き込んだ?それなら納得もいくわ」
続けて、「なんか願ったら?叶うから」とレスがついた。
願いがかなうとはどういうことだろうか。
「どういうことですか?」
「説明読んでねえの?五感と引き換えに、願いが叶うって書いてあるだろ。効果は保証する」
博臣はようやく、自分がどれほど恐ろしいことに踏み入ったかを理解した。
「ちなみに、五感を全て失った方はいらっしゃるんですか?」
博臣が質問すると、古参と思われるスレ民から返答がきた。
「いるよ。そいつ、最初はお試し感覚でやってたけど、どんどん沼っちゃってさ。俺たちも「ほどほどにしとけ」って止めたんだけど、結局聞いてくれやしなかった」
博臣はそこまで読むと、一度パソコンから離れた。
「本当に全ての感覚を失ったのなら、どうやってその情報を知ったんだ?」と博臣は考えた。
そして、「どこからその情報を手に入れたのですか?」と書き込んだ。
「このスレでは、スレを離脱する時に一言声をかけてから抜ける決まりがあるんだ。何も言わずに離脱したら、そいつは五感を全部無くしたって判断される」
誰かが答える。
何と恐ろしいことか。
博臣は絶望した。
このまま自分の腕は治らないと思うと、涙が止まらないのだ。
しかし、冷静になって考えてみれば、願いが一つ叶う。
博臣は絶望するのをやめて、願いを考え始めた。
しばし考えたあと、「小説家になりたい」という願いを捻り出した。
誰かに自分の存在を認めてほしい。
そんな願いの表れだった。
「いいよ。叶えてあげる」
耳元で声がして振り向いても、そこには誰もいなかった。
「まあ、どうなっても知らないけどね」
博臣の耳にはそんな呟きは届かなかった。
右腕が動かない。
否、正確に言えば、「動かしている感覚がない」。
脳の処理が追いつかず、博臣は混乱した。
「自分の右腕はどうなっているんだろう」
そんなことが脳内を駆け巡った。
先日、自分は何をしたか。
それを思い返していくうち、博臣ははっとした。
そうだ。五感ネルに書き込みをしたんだった。
なら、あのスレに質問すれば何かわかるかもしれない。
そう思い、博臣はパソコンを開いた。
「大至急!このスレに書き込みをしたら、右腕の感覚がなくなりました。決して動かないというわけではなくて、動かしている感覚がないんです」
文章を投稿すると、すぐにレスがついた。
「そりゃそうでしょ。五感ネルは五感と引き換えなんだから」
その直後、また一件レスがついた。
「あー、お前右腕って書き込んだ?それなら納得もいくわ」
続けて、「なんか願ったら?叶うから」とレスがついた。
願いがかなうとはどういうことだろうか。
「どういうことですか?」
「説明読んでねえの?五感と引き換えに、願いが叶うって書いてあるだろ。効果は保証する」
博臣はようやく、自分がどれほど恐ろしいことに踏み入ったかを理解した。
「ちなみに、五感を全て失った方はいらっしゃるんですか?」
博臣が質問すると、古参と思われるスレ民から返答がきた。
「いるよ。そいつ、最初はお試し感覚でやってたけど、どんどん沼っちゃってさ。俺たちも「ほどほどにしとけ」って止めたんだけど、結局聞いてくれやしなかった」
博臣はそこまで読むと、一度パソコンから離れた。
「本当に全ての感覚を失ったのなら、どうやってその情報を知ったんだ?」と博臣は考えた。
そして、「どこからその情報を手に入れたのですか?」と書き込んだ。
「このスレでは、スレを離脱する時に一言声をかけてから抜ける決まりがあるんだ。何も言わずに離脱したら、そいつは五感を全部無くしたって判断される」
誰かが答える。
何と恐ろしいことか。
博臣は絶望した。
このまま自分の腕は治らないと思うと、涙が止まらないのだ。
しかし、冷静になって考えてみれば、願いが一つ叶う。
博臣は絶望するのをやめて、願いを考え始めた。
しばし考えたあと、「小説家になりたい」という願いを捻り出した。
誰かに自分の存在を認めてほしい。
そんな願いの表れだった。
「いいよ。叶えてあげる」
耳元で声がして振り向いても、そこには誰もいなかった。
「まあ、どうなっても知らないけどね」
博臣の耳にはそんな呟きは届かなかった。