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聖人君子さま

今日も私は完璧だ。
綺麗に切り揃えられた爪、長いスカートの丈。
シャツのボタンはきちっと閉めて、先生たちには笑顔で挨拶。

「先生、おはようございます」
「ああ、[漢字]巴[/漢字][ふりがな]トモエ[/ふりがな]さんおはようございます」
先生には愛想を振りまいて、教室に入る。


「あ、巴さんおはよー」
「おはよう高橋さん」
クラスメイトにも挨拶をして、一限の準備をする。
私は模範生徒でいなくちゃいけない。
誰よりも、真面目で清純な聖人君子でいなきゃいけない。





「巴さんまた満点⁈すごーい!羨ましいなぁ。きっと家でもたくさん勉強してんだろうね」
クラスメイトの賞賛は聞き慣れている。
でも、この満点にはいつまで経っても慣れない。

「おっ、また満点か〜。やっぱ"聖人君子様"は違うな〜」
同級生の男子の嫌味ったらしい声。
そんなのは気にも留めないふりをして、私は教室を出た。



私は教師をしている両親から、「誰もの手本になれるような聖人君子になれ」と言われてきた。
私の名前の由来もそこから来ている。
「[漢字]巴賢子[/漢字][ふりがな]トモエサトコ[/ふりがな]」なんて大層な名前、私は自分の名前が嫌いでたまらない。


勉強だって、ほんとは大嫌い。
それでも無理やり頭に詰め込んでパンク寸前。
ほんとは、周りの子みたいにオシャレしたい。
でも、今更やったって遅い。
崩れちゃ嫌。







ある日、私はある男子生徒に告白された。
「ずっと前から好きでした」
初心な言葉に引っ張られて、私は承諾した。
それを同級生に伝えたら、嫌そうな顔をされた。

「あんたなら彼氏とか作らないと思ってたわ……。清純だしさ」
その一言で、私の全てが足元から消えていった。
「聖人君子様の巴が恋愛に耽っている」という毒が回るまで、そう時間はかからなかった。


「見損なった」、「ふしだら」、「ありえない」
そんな言葉が私を責め立てて、私を壊した。

私だって、望んでこんないい子ちゃんを演じてるわけじゃない。
もっと自由に生きたかった。
普通の子みたくオシャレして、青春を謳歌したかった。
清純かはさておき、恋をしたらいけないの?
私は、鎖に縛られて生きなきゃいけないの?
嫌だ嫌だ嫌だ。
千切れない鎖がずっと肌に食い込んで、全くほどけなかった。

作者メッセージ

楽曲と私のクラスメイトを重ね合わせました。
その子も心の内では、こんなことを思っているのかもしれません。

2025/05/26 15:21

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
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曲パロ聖人君子〇〇様シリーズ

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