今日も周りが僕を奇異の目で見てくる。
「ほら、あの子あの子。服に墨付いてるでしょ?」
「うわっ、ほんとじゃん。でも、本当に飲んでるの?書道の時に汚れただけかもしれないじゃん」
好き勝手言われたって構わない。
だって[漢字]事実[/漢字][ふりがな]本当のこと[/ふりがな]だから。
別においしいとは思ってない。
何となく、癖で飲んでる。
[水平線]
今日も家に帰って冷たい床に直接座る。
親が書道の先生でよかった。
溜まりに溜まった墨汁が沢山ある。
一番古いのを開けて、ゆっくりと飲み下す。
よく分からない味が口の中にじんわりと広がる。
苦いようで甘くて、酸っぱいようで塩っ辛い。
背筋の凍るような味を喉に押し込んで、ボトルから口を離した。
お父さんは書道の先生をしていて、よく墨汁を買い込むのだが、かなりの確率で余らせる。
何にも使えないし、そのまま捨てるのも忍びなくて、ある日、興味本位で飲んでみた。
えずいたり体調を崩すわけでもなく、普通に飲み込めた。
それ以来、僕は墨を飲むのが癖になってしまって、どうにもやめられなかった。
大しておいしいものでもない、なんならまずいのに飲み込んでしまう。
飲んだ直後は声が掠れて出なくなるが、少しすれば治る。
ある日、学校でどうしても抑えきれなくてトイレに走ってのんだことがある。
授業中なので個室に入らずに済むと思ったのに、同級生が個室から出てきた。
石像みたく固まった同級生の顔は、今も忘れられない。
その日、その同級生が僕のことを言いふらしたのか知らないが、可笑しなくらいに噂が広がった。
皆気持ち悪がって、誰も声をかけては来なかった。
僕は大して気にも留めなかった。
先生に告げ口されるかとも思ったが、恐ろしかったのか何も言われなかった。
今日もあの嫌な味を胃に流し込む。
不味い。至極不味い。
「ほら、あの子あの子。服に墨付いてるでしょ?」
「うわっ、ほんとじゃん。でも、本当に飲んでるの?書道の時に汚れただけかもしれないじゃん」
好き勝手言われたって構わない。
だって[漢字]事実[/漢字][ふりがな]本当のこと[/ふりがな]だから。
別においしいとは思ってない。
何となく、癖で飲んでる。
[水平線]
今日も家に帰って冷たい床に直接座る。
親が書道の先生でよかった。
溜まりに溜まった墨汁が沢山ある。
一番古いのを開けて、ゆっくりと飲み下す。
よく分からない味が口の中にじんわりと広がる。
苦いようで甘くて、酸っぱいようで塩っ辛い。
背筋の凍るような味を喉に押し込んで、ボトルから口を離した。
お父さんは書道の先生をしていて、よく墨汁を買い込むのだが、かなりの確率で余らせる。
何にも使えないし、そのまま捨てるのも忍びなくて、ある日、興味本位で飲んでみた。
えずいたり体調を崩すわけでもなく、普通に飲み込めた。
それ以来、僕は墨を飲むのが癖になってしまって、どうにもやめられなかった。
大しておいしいものでもない、なんならまずいのに飲み込んでしまう。
飲んだ直後は声が掠れて出なくなるが、少しすれば治る。
ある日、学校でどうしても抑えきれなくてトイレに走ってのんだことがある。
授業中なので個室に入らずに済むと思ったのに、同級生が個室から出てきた。
石像みたく固まった同級生の顔は、今も忘れられない。
その日、その同級生が僕のことを言いふらしたのか知らないが、可笑しなくらいに噂が広がった。
皆気持ち悪がって、誰も声をかけては来なかった。
僕は大して気にも留めなかった。
先生に告げ口されるかとも思ったが、恐ろしかったのか何も言われなかった。
今日もあの嫌な味を胃に流し込む。
不味い。至極不味い。