閲覧前に必ずご確認ください
時々グロ描写や虫の描写が入ります。
苦手な方はご注意ください。
気づけば神社の目の前に戻されていた。
空は変わらず嫌な紫色で、啜り泣く声が四方八方から聞こえて来た。
蝉がいるから夏のはずなのに、半袖だと肌寒くて仕方がなかった。
「寒っ……。何でまたここに戻されてるの?」
晴風は恐怖を誤魔化すために独り言を言った。
「知りたい?」
真後ろから子供の声が聞こえた。
「なっ、何?!」
晴風は驚いて振り返った。
後ろにはまだ小学校低学年ほどに見える少年が立っていた。
白い着物に紺色の袴を着けた黒髪の少年で、どこか時代錯誤な印象を受けた。
「ねえ、帰りたいの?」
少年は口を開いた。
「え?」
「だから、帰りたいかって聞いてるんだよゥ」
唐突な質問に晴風は困惑した。
「どういうこと?」
「お姉さんはこっちの人じゃないでしょ?望むんなら元の世界に帰してあげるって話だよ。勿論、条件付きではあるけどね」
晴風は必死に答えた。
「帰りたい!帰りたいに決まってるでしょ?!早く帰してよ!」
少年は晴風を落ち着かせるように手のひらを前に出した。
「まあまあ落ち着きなって。それに、ただで帰すだなんて言ってないでしょ?」
「早く言いなさい!」
晴風の圧に気圧された少年は面倒そうに答えた。
「僕と遊んでほしいんだ。鬼ごっこしようよ。君が勝ったら帰してあげる」
「分かったわ。やりましょう」
[水平線]
「じゃあ、僕が鬼ね」
そう言いながら少年は木の方を向いた。
晴風は神社の本殿へ走り、そっと扉を閉じた。
「……九、十!」
外から少年の走る音が聞こえた。
晴風は息を殺しながら隠れていた。
ガタンという音が時々聞こえて、「ここかなぁ?違うか……」と言う声が聞こえてきた。
声が徐々に近づいて来て、晴風は口をきつく抑えた。
近づいてくるごとに、どんどん声が化け物じみてきた。
「ココカナァ?チガウカァ……」
段々と機械的な声になっていく不気味さに怯えていた。
頭のない蝉の泣き喚く声がキンキンと耳に突き刺さった。
遂に本殿の扉に手がかけられた。
「やめて、来ないで!」
晴風は心の中で必死に祈った。
しかし、その願いも虚しく、本殿の扉が勢いよく開かれた。
ずるずると足を引きずりながら歩く足音が聞こえた。
それと同時に、微かな呻き声も聞こえてきた。
不意に足音が止んだ。
安心した晴風は、やっとこのつまらないお遊びが終わったと安堵した。
しかし、まだ動いてはいけない気がしたのだ。
ホラー映画ではこういったタイミングでやられるのがテンプレだからだ。
晴風はしばしその場でじっとしていた。
四、五分ほど経っただろうか。
晴風はゆっくりと立ち上がった。
本殿の外に出ると、晴風は本殿に向き直った。
パンパンと手を叩き、「家に帰れますように」と願った。
くるりと踵を返すと、大きなナニカがいた。
大きな丸い灰色の胴体から、虫のように節くれ立った細い赤褐色の足が何対も生えていた。
胴体の中央には翡翠色の小さな目が一つついていて、忙しなくぎょろぎょろと動いていた。
「きゃあああああああ!!」
晴風は絶叫を上げ、神社の奥へと走った。
無意味だと分かっていても。
自分がもう助からないと、分かっていても。
空は変わらず嫌な紫色で、啜り泣く声が四方八方から聞こえて来た。
蝉がいるから夏のはずなのに、半袖だと肌寒くて仕方がなかった。
「寒っ……。何でまたここに戻されてるの?」
晴風は恐怖を誤魔化すために独り言を言った。
「知りたい?」
真後ろから子供の声が聞こえた。
「なっ、何?!」
晴風は驚いて振り返った。
後ろにはまだ小学校低学年ほどに見える少年が立っていた。
白い着物に紺色の袴を着けた黒髪の少年で、どこか時代錯誤な印象を受けた。
「ねえ、帰りたいの?」
少年は口を開いた。
「え?」
「だから、帰りたいかって聞いてるんだよゥ」
唐突な質問に晴風は困惑した。
「どういうこと?」
「お姉さんはこっちの人じゃないでしょ?望むんなら元の世界に帰してあげるって話だよ。勿論、条件付きではあるけどね」
晴風は必死に答えた。
「帰りたい!帰りたいに決まってるでしょ?!早く帰してよ!」
少年は晴風を落ち着かせるように手のひらを前に出した。
「まあまあ落ち着きなって。それに、ただで帰すだなんて言ってないでしょ?」
「早く言いなさい!」
晴風の圧に気圧された少年は面倒そうに答えた。
「僕と遊んでほしいんだ。鬼ごっこしようよ。君が勝ったら帰してあげる」
「分かったわ。やりましょう」
[水平線]
「じゃあ、僕が鬼ね」
そう言いながら少年は木の方を向いた。
晴風は神社の本殿へ走り、そっと扉を閉じた。
「……九、十!」
外から少年の走る音が聞こえた。
晴風は息を殺しながら隠れていた。
ガタンという音が時々聞こえて、「ここかなぁ?違うか……」と言う声が聞こえてきた。
声が徐々に近づいて来て、晴風は口をきつく抑えた。
近づいてくるごとに、どんどん声が化け物じみてきた。
「ココカナァ?チガウカァ……」
段々と機械的な声になっていく不気味さに怯えていた。
頭のない蝉の泣き喚く声がキンキンと耳に突き刺さった。
遂に本殿の扉に手がかけられた。
「やめて、来ないで!」
晴風は心の中で必死に祈った。
しかし、その願いも虚しく、本殿の扉が勢いよく開かれた。
ずるずると足を引きずりながら歩く足音が聞こえた。
それと同時に、微かな呻き声も聞こえてきた。
不意に足音が止んだ。
安心した晴風は、やっとこのつまらないお遊びが終わったと安堵した。
しかし、まだ動いてはいけない気がしたのだ。
ホラー映画ではこういったタイミングでやられるのがテンプレだからだ。
晴風はしばしその場でじっとしていた。
四、五分ほど経っただろうか。
晴風はゆっくりと立ち上がった。
本殿の外に出ると、晴風は本殿に向き直った。
パンパンと手を叩き、「家に帰れますように」と願った。
くるりと踵を返すと、大きなナニカがいた。
大きな丸い灰色の胴体から、虫のように節くれ立った細い赤褐色の足が何対も生えていた。
胴体の中央には翡翠色の小さな目が一つついていて、忙しなくぎょろぎょろと動いていた。
「きゃあああああああ!!」
晴風は絶叫を上げ、神社の奥へと走った。
無意味だと分かっていても。
自分がもう助からないと、分かっていても。