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グロテスクな描写や動物が傷つけられる描写が含まれます。
苦手な方は閲覧をお控え下さい。
二人の周りで、確実に異常事態が発生していた。
薫は姉を避け始めるようになり、それに相反して幸は薫に執着するようになった。
「薫、今日学校で話してたのは誰?私の知らない人だったけど。なんで私を避けるの?悲しいわ」
薫は姉に恐怖していた。
「別に。ただの友達だよ。なんでそんなことまで姉さんに聞かれなくちゃいけないの?」
薫は幸を突き放すように答えた。
「なんでって…心配だからな決まってるでしょ?私は薫のことが大切だから聞いてるの」
幸は曇りなき眼で答えた。
その表情は心酔にも近く、それと同時に執着と独占欲を感じさせた。
「姉さん、どうしちゃったの?昔はこんなことなかったのに」
薫は幸の肩に手を置いて尋ねた。
「私は本当に心配なの。あの時みたいなことが二度と起きないように」
薫はため息をついた。
「もう忘れようよ。僕たちは今も無事なんだし、いつまでも考えてたって何の生産性もない」
そう言うと、幸の目が曇った。
「薫には分からないでしょうね」と呟いて、ふらふらと二階へ上がっていった。
[水平線]
確か、この会話を交わした一ヶ月ほど後だっただろうか。
薫が通り魔に襲われて亡くなった。
何度も、何度も身体を突き刺され、出血多量が原因だった。
幸か不幸か、犯人はその場で捕まった。
犯人は薫とほとんど同じ顔をしており、双子であることは明確だった。
二人が十七歳になる月の出来事だった。
幸は精神に異常をきたしているとされ、精神病棟送りにされた。
カウンセラー曰く、「幸は過去に誘拐されかけたトラウマにより、別の人格を生み出してしまっている」とのことだった。
その別人格が、猫や針鼠を殺したのだ。
後の会話により、幸の精神は治る見込みがないと判断された。
一生、いなくなった弟に執着し続ける。
これが彼女に科せられた鎖だった。
「薫、薫。どこにいるの?出てきてよ」
今日も彼女の声が響く。
薄暗い廊下にか細く聞こえる声は老婆のように枯れ切って、まだ年若い少女のものとは思えない。
自らの手で殺めた弟を、永遠に探し続ける。
もうこの世に彼がいないことくらい、分かるはずなのに。
それでも幸は名前を呼び続ける。
手にかけてしまうほど愛していた、[漢字]弟[/漢字][ふりがな]薫[/ふりがな]の名前を。
薫は姉を避け始めるようになり、それに相反して幸は薫に執着するようになった。
「薫、今日学校で話してたのは誰?私の知らない人だったけど。なんで私を避けるの?悲しいわ」
薫は姉に恐怖していた。
「別に。ただの友達だよ。なんでそんなことまで姉さんに聞かれなくちゃいけないの?」
薫は幸を突き放すように答えた。
「なんでって…心配だからな決まってるでしょ?私は薫のことが大切だから聞いてるの」
幸は曇りなき眼で答えた。
その表情は心酔にも近く、それと同時に執着と独占欲を感じさせた。
「姉さん、どうしちゃったの?昔はこんなことなかったのに」
薫は幸の肩に手を置いて尋ねた。
「私は本当に心配なの。あの時みたいなことが二度と起きないように」
薫はため息をついた。
「もう忘れようよ。僕たちは今も無事なんだし、いつまでも考えてたって何の生産性もない」
そう言うと、幸の目が曇った。
「薫には分からないでしょうね」と呟いて、ふらふらと二階へ上がっていった。
[水平線]
確か、この会話を交わした一ヶ月ほど後だっただろうか。
薫が通り魔に襲われて亡くなった。
何度も、何度も身体を突き刺され、出血多量が原因だった。
幸か不幸か、犯人はその場で捕まった。
犯人は薫とほとんど同じ顔をしており、双子であることは明確だった。
二人が十七歳になる月の出来事だった。
幸は精神に異常をきたしているとされ、精神病棟送りにされた。
カウンセラー曰く、「幸は過去に誘拐されかけたトラウマにより、別の人格を生み出してしまっている」とのことだった。
その別人格が、猫や針鼠を殺したのだ。
後の会話により、幸の精神は治る見込みがないと判断された。
一生、いなくなった弟に執着し続ける。
これが彼女に科せられた鎖だった。
「薫、薫。どこにいるの?出てきてよ」
今日も彼女の声が響く。
薄暗い廊下にか細く聞こえる声は老婆のように枯れ切って、まだ年若い少女のものとは思えない。
自らの手で殺めた弟を、永遠に探し続ける。
もうこの世に彼がいないことくらい、分かるはずなのに。
それでも幸は名前を呼び続ける。
手にかけてしまうほど愛していた、[漢字]弟[/漢字][ふりがな]薫[/ふりがな]の名前を。