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闇集い

#2

神社にて

「ここが例の神社ね……。何というか、絶妙にボロいというか」


晴風は神社の鳥居を前にして愚痴をこぼした。
もっと手入れされていると思っていた晴風にとって、想定外のボロさなのだ。

鳥居の塗装は所々剥げ、内側が部分的に剥き出しになっている。
蔦が絡みついてなかなかに恐ろしい空気を放っている。
肝心のお堂はというと、雨風に晒され続けたせいか木が腐り、中身が見えかかっていた。
晴風は身震いした。
真夏で寒くないはずなのに、自分の周り、否、神社の境内全体が凍てつくように寒いのだ。

晴風は一瞬帰ろうかと思ったが、せっかく来たのに何もせず帰るのは勿体無い。
そう考えた晴風は勇気を振り絞って境内に足を踏み入れた。








[水平線]




境内は荒れ果てていた。
石で舗装された道は苔が生え、周りの木は葉が生い茂っていた。
「随分と苔が生えてるわね……。滑って転びでもしたら神様に文句言ってやるわ」
晴風は独り言を言いながら奥に向かった。

鳥居から本堂(?)まで距離はあまり遠くなく、少し歩けば着く距離だった。
晴風はしめ縄の真下に辿り着き、上から垂れ下がった鈴の紐に手をかけた。
「うーん、ボロくても神社だし、一応お参りでもしておこうかしら」
そう言いながら晴風は鈴を鳴らし、二礼二拍手を行った。

「私がここにいるのが大人にバレませんように」
晴風は願った。
その瞬間、風が吹いて鈴が揺れた。
目を開けると、気づけば空は毒々しい紫色になっていた。
雲は臓物のように赤く、蝉の鳴き声は聞こえなかった。
「何……?なんなのここ?!」
晴風はパニックになって叫んだ。
境内を駆け抜け、町に出た。







[水平線]




晴風は町に出て自宅へ向かった。
途中で蝉を見つけたが、その蝉には頭がなかった。頭のない蝉から啜り泣きが聞こえた。

晴風は恐怖で絶叫した。
物凄い勢いで後ずさると、後ろにいた誰かにぶつかってしまった。
「あっ、すみませ……」

真後ろにいたのは、人間の服を着た何かだった。
首が異様なまでに細く捻じ曲がり、上から晴風を覗き込んでいた。
目は空洞で、ぽっかりと穴が空いていた。
口は縫われていたであろう箇所がぶっつりと引きちぎられ、まだ縫い付けられている箇所があってそこからくぐもった声が聞こえた。
「螟ァ荳亥、ォ?溘こ繧ャ縺ッ縺ェ縺?シ」
何も聞き取れない。
「あっ、あの……私っ……!」
今にも泣きそうだった。
晴風は「ごめんなさい!」と何度も謝って家へと走った。

作者メッセージ

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2025/04/14 21:53

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
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