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グロテスクな描写や動物が傷つけられる描写が含まれます。
苦手な方は閲覧をお控え下さい。
薫は自分達の身の周りで起こる事件に恐怖していた。
徐々に対象が大きくなっていくのにも気づいていた。
それと同時に、姉の様子にも違和感を覚えた。
「姉さん。最近夜中にどこか行ってるの?寝てたら玄関のドアが開く音がしてさ。姉さんの部屋を覗いたらいなかったし」
薫の言葉に幸は笑った。
「何言ってるの笑。夜はちゃんと寝てるわよ」
薫は眉間に皺を寄せながら問い詰めた。
「じゃあ、針鼠の時はどうして姉さんの手に血がついてたの?」
「わかんない。でも、気づいたら血がついてた」
幸の歯切れの悪い返事に薫は苛立ち、語気を強めた。
「覚えてる?昔友達と遊んでた時、姉さんから電話が掛かってきたこと。姉さんは知らないって言ってたけど、今回もおんなじことだよ」
弟にきつく言われ、幸は悲しそうな目をした。
「私にもわかんないの。でも、昔誘拐されかけたの覚えてる?その頃から記憶が曖昧になることが多くなった。私にもなんでかはわからない」
そう言いながら幸は玄関に向かった。
「どこ行くの?」
薫は幸に尋ねた。
「……」
「ねえ、どこ行くの?」
「友達のところ」
幸はぐるりと振り返って笑った。
ドアの取手に手をかけ、振り返らずに出て行った。
[水平線]
一時間ほどして、幸は帰ってきた。
「おかえり」
薫は幸に声をかけた。
幸は何も答えず、ぼんやりとしていた。
「大丈夫?具合悪いの?」
薫は幸の肩を揺すったが、幸はぼんやりと空中を見つめるだけだった。
「ねえ!大丈夫?!」
大声を出すと、幸の目にかかった靄がぱっと晴れた。
「どうしたの?そんな大声出して……」
普段通りに戻った姉に安心した薫は、そっと笑って首を横に振った。
「ううん。なんでもないよ」
そう、と言って微笑んだ姉の手に血がついているのを、薫は見逃さなかった。
「どうしたの?その手。怪我?」
幸は驚いたような表情を見せた。
「え……?」
慌てて手を見た幸は、目を大きく見開いた。
「なに、これ」
幸は首を何度も振った。
「知らない、私知らない、なにこれ……」
姉の動揺具合に、薫は不安になった。
もし、幸自身の知らぬ内に何か危害を加えてしまっていたとしたら取り返しがつかない。
そう判断した薫は家を出て、姉がいたであろう公園に向かった。
[水平線]
公園には人だかりができていた。
人混みをかき分けて公園の中を覗くと、規制線が張られていた。
「可哀想にねぇ……。野良だったけど、みんな可愛がってたのに」
「ねえ……。しかも、あんな悲惨な殺され方で……」
薫は背筋が凍った。
野次馬の一人を呼び止め、何があったか尋ねた。
「ホラ、この辺に猫がいただろ?あの真っ白な猫だよ。その猫が腹を掻っ捌かれて死んでたんだよ!
その上、はらわたを引きずり出されて、どこかに持ってかれちまってんだよ」
そう告げられな瞬間、薫は自身の姉が行った悲劇を想像して吐き気がした。
鉛のように重い身体を引きずって、薫は家に戻った。
帰宅路を歩きながら薫は思考を巡らせた。
もしかしたら、姉はただ単に怪我をしただけじゃないだろうか。
猫の一件とは関係ないんじゃないだろうか。
そう信じたかった。
しかし、仮に怪我をしていたとしたら、何故あんな反応をしたのだろう。
あれほどの血の量に気づかないはずがないし、第一痛がるはずだ。
薫の脳内を最悪な思考が巡った。
頭をぶんぶんと横に振り、そんなわけはないと自分に言い聞かせた。
姉は正常だ。
猫を殺したのはきっと別の誰かに違いない。
そうでなければいけない。
一種の強迫観念が薫に纏わりついた。
「姉は健常者だ、精神疾患を患っているわけがない」
嫌というほど言い聞かせた。
薫が家に帰り、リビングを覗くと、いつもと変わらない笑顔の姉がいた。
薫に気づいた幸は、にこにこと薫に笑いかけた。
「おかえり!」
幸の優しい声に安堵した薫は、自室に戻り泥のように眠った。
徐々に対象が大きくなっていくのにも気づいていた。
それと同時に、姉の様子にも違和感を覚えた。
「姉さん。最近夜中にどこか行ってるの?寝てたら玄関のドアが開く音がしてさ。姉さんの部屋を覗いたらいなかったし」
薫の言葉に幸は笑った。
「何言ってるの笑。夜はちゃんと寝てるわよ」
薫は眉間に皺を寄せながら問い詰めた。
「じゃあ、針鼠の時はどうして姉さんの手に血がついてたの?」
「わかんない。でも、気づいたら血がついてた」
幸の歯切れの悪い返事に薫は苛立ち、語気を強めた。
「覚えてる?昔友達と遊んでた時、姉さんから電話が掛かってきたこと。姉さんは知らないって言ってたけど、今回もおんなじことだよ」
弟にきつく言われ、幸は悲しそうな目をした。
「私にもわかんないの。でも、昔誘拐されかけたの覚えてる?その頃から記憶が曖昧になることが多くなった。私にもなんでかはわからない」
そう言いながら幸は玄関に向かった。
「どこ行くの?」
薫は幸に尋ねた。
「……」
「ねえ、どこ行くの?」
「友達のところ」
幸はぐるりと振り返って笑った。
ドアの取手に手をかけ、振り返らずに出て行った。
[水平線]
一時間ほどして、幸は帰ってきた。
「おかえり」
薫は幸に声をかけた。
幸は何も答えず、ぼんやりとしていた。
「大丈夫?具合悪いの?」
薫は幸の肩を揺すったが、幸はぼんやりと空中を見つめるだけだった。
「ねえ!大丈夫?!」
大声を出すと、幸の目にかかった靄がぱっと晴れた。
「どうしたの?そんな大声出して……」
普段通りに戻った姉に安心した薫は、そっと笑って首を横に振った。
「ううん。なんでもないよ」
そう、と言って微笑んだ姉の手に血がついているのを、薫は見逃さなかった。
「どうしたの?その手。怪我?」
幸は驚いたような表情を見せた。
「え……?」
慌てて手を見た幸は、目を大きく見開いた。
「なに、これ」
幸は首を何度も振った。
「知らない、私知らない、なにこれ……」
姉の動揺具合に、薫は不安になった。
もし、幸自身の知らぬ内に何か危害を加えてしまっていたとしたら取り返しがつかない。
そう判断した薫は家を出て、姉がいたであろう公園に向かった。
[水平線]
公園には人だかりができていた。
人混みをかき分けて公園の中を覗くと、規制線が張られていた。
「可哀想にねぇ……。野良だったけど、みんな可愛がってたのに」
「ねえ……。しかも、あんな悲惨な殺され方で……」
薫は背筋が凍った。
野次馬の一人を呼び止め、何があったか尋ねた。
「ホラ、この辺に猫がいただろ?あの真っ白な猫だよ。その猫が腹を掻っ捌かれて死んでたんだよ!
その上、はらわたを引きずり出されて、どこかに持ってかれちまってんだよ」
そう告げられな瞬間、薫は自身の姉が行った悲劇を想像して吐き気がした。
鉛のように重い身体を引きずって、薫は家に戻った。
帰宅路を歩きながら薫は思考を巡らせた。
もしかしたら、姉はただ単に怪我をしただけじゃないだろうか。
猫の一件とは関係ないんじゃないだろうか。
そう信じたかった。
しかし、仮に怪我をしていたとしたら、何故あんな反応をしたのだろう。
あれほどの血の量に気づかないはずがないし、第一痛がるはずだ。
薫の脳内を最悪な思考が巡った。
頭をぶんぶんと横に振り、そんなわけはないと自分に言い聞かせた。
姉は正常だ。
猫を殺したのはきっと別の誰かに違いない。
そうでなければいけない。
一種の強迫観念が薫に纏わりついた。
「姉は健常者だ、精神疾患を患っているわけがない」
嫌というほど言い聞かせた。
薫が家に帰り、リビングを覗くと、いつもと変わらない笑顔の姉がいた。
薫に気づいた幸は、にこにこと薫に笑いかけた。
「おかえり!」
幸の優しい声に安堵した薫は、自室に戻り泥のように眠った。