イレカワリ
「今日もまめたは可愛いねぇ〜♡」
私はいつものように愛犬をモフりながらにやけていた。
まめたは豆柴のオスで、まだ赤ちゃんの時にお迎えした。
上京して一人暮らしを始めた私にとって、まめたは心の支えになっていた。
[水平線]
ある日、私は仕事終わりにまめたとじゃれあっていた。
すると、まめたが珍しく私の手に噛みついてきた。
「痛っ……。ダメでしょまめた!噛まないの!」
怒鳴るとまめたは恨めしげに睨みつけてきた気がした。
手を確認すると噛み跡から血が伝い落ちてきた。
イライラしながら傷口を消毒し、手当をしてから寝た。
翌日、目が醒めると私のベッドが目の前にあった。
目線もやけに低く、奇妙に思い立ちあがろうとすると、がたんと膝から崩れ落ちてしまった。
「え?」
自分の手を確認すると、ふわふわの狐色の毛が生えたまん丸い手だった。
まさに「犬の手」。
パニックになって叫んだら、喉から出てくるのは「ワンワン」という犬の吠え声だけだった。
余計に怖くなって近くにあった鏡を見ると、まめたが映った。
「ありえない!私、まめたになってるの?なんで?!もしかして…悪い夢?」
夢なら醒めて!と期待を込めて頬を叩くと、ベッドの上の影が動いた。
「う〜ん、うるさいなぁ……」
そう言いながら身体を起こしたのは私だった。
栗色に染めたセミロング、薄ピンクのパジャマ、腑抜けた顔、そして手に巻かれた包帯。
完全に昨日の私だった。
「あら……?あっ!本当に[漢字]優希奈[/漢字][ふりがな]ユキナ[/ふりがな]さんになれた!やったあ!」
目の前の"私"は大喜びしていた。
何が起きているのかわからない私に、"私"は笑いかけてきた。
「やっぱり驚きますよね?でもすぐに慣れますよ〜。安心してくださいねっ!お世話なら優希奈さんがしてくれたの覚えてますからできますよ!偉いでしょ?」
その時、初めて目の前の"私"がまめたなのに気づいた。
恐怖で震えている私の頭を撫でながら、まめたはにこにこしていた。
頬肉を指で強くつまみ、乱暴に弄び始めた。
「痛い痛い!やめて!」
叫んでも私の声は届かなかった。
「痛いでしょ?優希奈さんは、これとおんなじことをしてたんですよぉ。きっと気にも留めてなかったんでしょうけど、私が痛くて鳴いていた時、あなたは止めてくれなかったこと、覚えてないでしょう?私ははっきりと覚えてますからねぇ」
まめただったモノはけらけらと気が触れてしまったかのように笑い続けた。
「ああ可哀想に。急に自分の人生を奪われて、誰かに頼らないと生きていけない存在に堕ちるなんて」
自分はこれからどうなるんだろう。
私は震えることしかできなかった。
「あら、寒いんですか?可哀想に…お布団でくるんであげましょうか!」
嬉しそうに笑いながら私を抱き上げて、ブランケットの方に向かった。
もう何も分からない。
誰かが私を嘲笑う声が聞こえた。
私はいつものように愛犬をモフりながらにやけていた。
まめたは豆柴のオスで、まだ赤ちゃんの時にお迎えした。
上京して一人暮らしを始めた私にとって、まめたは心の支えになっていた。
[水平線]
ある日、私は仕事終わりにまめたとじゃれあっていた。
すると、まめたが珍しく私の手に噛みついてきた。
「痛っ……。ダメでしょまめた!噛まないの!」
怒鳴るとまめたは恨めしげに睨みつけてきた気がした。
手を確認すると噛み跡から血が伝い落ちてきた。
イライラしながら傷口を消毒し、手当をしてから寝た。
翌日、目が醒めると私のベッドが目の前にあった。
目線もやけに低く、奇妙に思い立ちあがろうとすると、がたんと膝から崩れ落ちてしまった。
「え?」
自分の手を確認すると、ふわふわの狐色の毛が生えたまん丸い手だった。
まさに「犬の手」。
パニックになって叫んだら、喉から出てくるのは「ワンワン」という犬の吠え声だけだった。
余計に怖くなって近くにあった鏡を見ると、まめたが映った。
「ありえない!私、まめたになってるの?なんで?!もしかして…悪い夢?」
夢なら醒めて!と期待を込めて頬を叩くと、ベッドの上の影が動いた。
「う〜ん、うるさいなぁ……」
そう言いながら身体を起こしたのは私だった。
栗色に染めたセミロング、薄ピンクのパジャマ、腑抜けた顔、そして手に巻かれた包帯。
完全に昨日の私だった。
「あら……?あっ!本当に[漢字]優希奈[/漢字][ふりがな]ユキナ[/ふりがな]さんになれた!やったあ!」
目の前の"私"は大喜びしていた。
何が起きているのかわからない私に、"私"は笑いかけてきた。
「やっぱり驚きますよね?でもすぐに慣れますよ〜。安心してくださいねっ!お世話なら優希奈さんがしてくれたの覚えてますからできますよ!偉いでしょ?」
その時、初めて目の前の"私"がまめたなのに気づいた。
恐怖で震えている私の頭を撫でながら、まめたはにこにこしていた。
頬肉を指で強くつまみ、乱暴に弄び始めた。
「痛い痛い!やめて!」
叫んでも私の声は届かなかった。
「痛いでしょ?優希奈さんは、これとおんなじことをしてたんですよぉ。きっと気にも留めてなかったんでしょうけど、私が痛くて鳴いていた時、あなたは止めてくれなかったこと、覚えてないでしょう?私ははっきりと覚えてますからねぇ」
まめただったモノはけらけらと気が触れてしまったかのように笑い続けた。
「ああ可哀想に。急に自分の人生を奪われて、誰かに頼らないと生きていけない存在に堕ちるなんて」
自分はこれからどうなるんだろう。
私は震えることしかできなかった。
「あら、寒いんですか?可哀想に…お布団でくるんであげましょうか!」
嬉しそうに笑いながら私を抱き上げて、ブランケットの方に向かった。
もう何も分からない。
誰かが私を嘲笑う声が聞こえた。
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