「え〜、虎杖 聖都様、松園 瑛里華様、深澤 靖博様、富内 幸隆様。以上の四名は車掌室においでください」
車内放送が響いた。
名前を呼ばれた四人は困惑を隠せないような表情で車掌室のある方向に向かった。
「皆様ァ、ようこそお越しくださいました!これより、皆様のあの世での待遇をお伝え致しま〜す!ああ、もちろんなぜそのように決まったのかもお伝えしますよぉ。ご安心を!」
車掌室に足を踏み入れた途端、車掌と思しき存在はぺらぺらと喋り始めた。
服装はいたって普通の車掌と同じで、銀髪の男にしか見えなかった。
ただ、異様に青白い顔と対照的に爛々と輝く紅い目が不気味だった。
四人はこの状況に困惑したが、車掌はお構い無しだった。
「それではまず…虎杖聖都さん!貴方からだぁ!」
そう言って彼は聖都を指差した。
「ぼ、僕から?!」
「ええ、貴方からですよぉ。年齢順ですので★」
「ね、年齢順って……?若い方から先に言われるの?」
瑛里華は尋ねた。
「そうですね。享年が若い方から呼びますねぇ」
「そう……ありがとう」
「それでは聖都さん、よ〜く聞いてくださいねぇ。」
聖都は息を呑んだ。
「貴方はぁ〜……この世を彷徨います!」
そう告げられた聖都は顔を引き攣らせて地面に座り込んだ。
「な、なんで…僕なんですか……?ありえない!ありえない!」
「まあまあ落ち着いてぇ。今から説明してあげますよぉ」
そう言うと車掌は説明し始めた。
「まず貴方の親御さんはどちらもご存命ですよね。子供が親より先に死ぬのは大変重い罪です。
次に、死の直前、貴方は「死にたくない」と願ったでしょう?その行為が命を無駄にしたと判断されましたぁ!以上の理由により、貴方は成仏不可能です!」
次に、瑛里華を指差した。
「お次は松園瑛里華さん!貴女です!」
瑛里華は目を見開いた。
何を言われるのか分からない恐怖に。
「貴女は……この世を彷徨います!」
その言葉に瑛里華は絶望した。
明るくケラケラと笑う車掌に腹が立ち、きつく問い詰めた。
「ど、どうして私が……?!娘を庇って死んだんだから、天国に行けたっていいでしょう!」
怒鳴り散らす瑛里華を宥めつつ、車掌は話し始めた。
「何故かってぇ?決まっているでしょう、貴女の娘さんは旦那さんとの子ではないからです!」
瑛里華は口をあんぐりと開けた。
「む、娘は夫との子供です!」
必死に否定しても、動揺は隠せていなかった。
「不倫はよくないですよぉ。それでは、次の方に移りましょ」
強制的に話を打ち切って車掌は続けた。
「お次は深澤靖博さんですねぇ。貴方は完膚なきまでに浮遊霊ですねぇ〜」
にやにやと笑う車掌に、靖博は怒りを隠しきれていなかった。
「どうしてだよ!俺は少なくとも地獄に行くような真似はしてねえぞ!」
激昂する靖博を抑えつつ、車掌は話し始めた。
「この中じゃ貴方が一番罪が重いですよぉ。まず、貴方も不倫なさっていたでしょう?それに、奥様やお嬢様に手をあげていたようですねぇ」
靖博は顔を青ざめさせた。
「以上の理由により、貴方はこの世を彷徨います!」
靖博は瞳を震わせた。
「最後は富内幸隆さん、貴方ですねぇ」
幸隆は覚悟を決めたような、興味のないような表情をした。
「ん〜。貴方は彷徨わずに済みますねぇ。かと言って天国に行けるわけではございませんが」
幸隆は何も言わず、周りは困惑した。
「ど、どういうことですか?!さっきあの世での待遇を決めるって……」
聖都の言葉を遮るように車掌は言った。
「あくまで待遇を決めるとしか言っていませんよぉ。あの世に行けるか浮世を彷徨うかとまでは言っていませぇん」
車掌はにこやかに幸隆に笑いかけた。
「おめでとうございます!貴方は生まれ変われますよぉ。ささ、好きなものを仰ってください。望むものに生まれ変わらせて差し上げましょう」
幸隆は少し視線を落として考えた。
「海月…青い海を漂う海月になりたい。自由に海の中を生きていたい。冷たい海の中を」
そう言うと、車掌は微笑んだ。
「分かりましたぁ!それでは、お話は以上ですよぉ。お席にお戻りくださぁい!」
幸隆以外の三人はおぼつかない足取りで車掌室を後にした。
幸隆は少しだけ笑った。
冷たい水の中を悠々と泳ぐ。
そのことを想像すると笑みがこぼれた。
明けることのない雨夜の中を、最終列車は走り続ける。
浮世とあの世の狭間を走る、最終列車は。
車内放送が響いた。
名前を呼ばれた四人は困惑を隠せないような表情で車掌室のある方向に向かった。
「皆様ァ、ようこそお越しくださいました!これより、皆様のあの世での待遇をお伝え致しま〜す!ああ、もちろんなぜそのように決まったのかもお伝えしますよぉ。ご安心を!」
車掌室に足を踏み入れた途端、車掌と思しき存在はぺらぺらと喋り始めた。
服装はいたって普通の車掌と同じで、銀髪の男にしか見えなかった。
ただ、異様に青白い顔と対照的に爛々と輝く紅い目が不気味だった。
四人はこの状況に困惑したが、車掌はお構い無しだった。
「それではまず…虎杖聖都さん!貴方からだぁ!」
そう言って彼は聖都を指差した。
「ぼ、僕から?!」
「ええ、貴方からですよぉ。年齢順ですので★」
「ね、年齢順って……?若い方から先に言われるの?」
瑛里華は尋ねた。
「そうですね。享年が若い方から呼びますねぇ」
「そう……ありがとう」
「それでは聖都さん、よ〜く聞いてくださいねぇ。」
聖都は息を呑んだ。
「貴方はぁ〜……この世を彷徨います!」
そう告げられた聖都は顔を引き攣らせて地面に座り込んだ。
「な、なんで…僕なんですか……?ありえない!ありえない!」
「まあまあ落ち着いてぇ。今から説明してあげますよぉ」
そう言うと車掌は説明し始めた。
「まず貴方の親御さんはどちらもご存命ですよね。子供が親より先に死ぬのは大変重い罪です。
次に、死の直前、貴方は「死にたくない」と願ったでしょう?その行為が命を無駄にしたと判断されましたぁ!以上の理由により、貴方は成仏不可能です!」
次に、瑛里華を指差した。
「お次は松園瑛里華さん!貴女です!」
瑛里華は目を見開いた。
何を言われるのか分からない恐怖に。
「貴女は……この世を彷徨います!」
その言葉に瑛里華は絶望した。
明るくケラケラと笑う車掌に腹が立ち、きつく問い詰めた。
「ど、どうして私が……?!娘を庇って死んだんだから、天国に行けたっていいでしょう!」
怒鳴り散らす瑛里華を宥めつつ、車掌は話し始めた。
「何故かってぇ?決まっているでしょう、貴女の娘さんは旦那さんとの子ではないからです!」
瑛里華は口をあんぐりと開けた。
「む、娘は夫との子供です!」
必死に否定しても、動揺は隠せていなかった。
「不倫はよくないですよぉ。それでは、次の方に移りましょ」
強制的に話を打ち切って車掌は続けた。
「お次は深澤靖博さんですねぇ。貴方は完膚なきまでに浮遊霊ですねぇ〜」
にやにやと笑う車掌に、靖博は怒りを隠しきれていなかった。
「どうしてだよ!俺は少なくとも地獄に行くような真似はしてねえぞ!」
激昂する靖博を抑えつつ、車掌は話し始めた。
「この中じゃ貴方が一番罪が重いですよぉ。まず、貴方も不倫なさっていたでしょう?それに、奥様やお嬢様に手をあげていたようですねぇ」
靖博は顔を青ざめさせた。
「以上の理由により、貴方はこの世を彷徨います!」
靖博は瞳を震わせた。
「最後は富内幸隆さん、貴方ですねぇ」
幸隆は覚悟を決めたような、興味のないような表情をした。
「ん〜。貴方は彷徨わずに済みますねぇ。かと言って天国に行けるわけではございませんが」
幸隆は何も言わず、周りは困惑した。
「ど、どういうことですか?!さっきあの世での待遇を決めるって……」
聖都の言葉を遮るように車掌は言った。
「あくまで待遇を決めるとしか言っていませんよぉ。あの世に行けるか浮世を彷徨うかとまでは言っていませぇん」
車掌はにこやかに幸隆に笑いかけた。
「おめでとうございます!貴方は生まれ変われますよぉ。ささ、好きなものを仰ってください。望むものに生まれ変わらせて差し上げましょう」
幸隆は少し視線を落として考えた。
「海月…青い海を漂う海月になりたい。自由に海の中を生きていたい。冷たい海の中を」
そう言うと、車掌は微笑んだ。
「分かりましたぁ!それでは、お話は以上ですよぉ。お席にお戻りくださぁい!」
幸隆以外の三人はおぼつかない足取りで車掌室を後にした。
幸隆は少しだけ笑った。
冷たい水の中を悠々と泳ぐ。
そのことを想像すると笑みがこぼれた。
明けることのない雨夜の中を、最終列車は走り続ける。
浮世とあの世の狭間を走る、最終列車は。