文字サイズ変更

声を聞かせて

「[漢字]博人[/漢字][ふりがな]ひろと[/ふりがな]くーん」


私はリビングにいる大切な大切な恋人の名前を呼んだ。
「今日のお夕飯何がいい?」
返事は無い。

「聞こえてないのかな……。博人くーん!」
やはり返事は返ってこない。
私、何かしてしまったのだろうか?
「博人くん?大丈夫?」

心配しても、リビングからは何も聞こえない。
室内の静寂とは裏腹に、外は今日も騒がしい。
近頃近所が嫌に騒がしく、私は迷惑していた。
この煩さで聞こえていないのだろうか。
「…からずっ……が…さった…いが…る!誰か…し…でるんじゃ…のか?」
所々に聞こえる会話から、私は何も分からない。


「博人くん!」
一言も声を発さない彼に苛立ち、うっかり大声を出してしまった。

大声を出すのと同時に、家のインターホンが鳴った。
全く、せっかく恋人の声を聞こうとした矢先に邪魔するだなんて、どこのどいつだ?

腹が立った私は、怒りに身を任せてドアを乱雑に開けた。
目の前には警察官が二人。
警察手帳を私に見せながら何やら言い始めた。
「[漢字]小鳥遊美咲[/漢字][ふりがな]タカナシミサキ[/ふりがな]さんで間違いないですよね?あなたに逮捕状が出ています。署までご同行願えますか?」
私が?
警察署に?
どうして?
理解の追いつかない私を引きずって、警官二人は私を署まで連行した。






































今日の午後、殺人及び死体遺棄の疑いで逮捕された女性が連れてこられた。
ニットの白いセーターには所々花のような薄紅のしみが付いていて、足首まである赤墨色のスカートがよいコントラストになっていた。
緩く巻かれたグレージュの髪が揺れていた。

女性…小鳥遊さんは何故自分がここに連れてこられたのか分かっていないような表情だった。
「なぜ、私がここに?」
不思議そうな表情でこちらを見つめる小鳥遊さんの声は震えていた。
「あー、あなたには殺人及び死体遺棄の疑いがかかっておりまして……あなたの証言を聞きたいんです」

すると、小鳥遊さんは目を丸くした。
「殺人?私が?!」
「ええ。あなたには[漢字]更科博人[/漢字][ふりがな]サラシナヒロト[/ふりがな]さんを殺害し、その遺体を自宅で保管していた疑惑があります」

そこまで言って小鳥遊さんの顔を見ると、笑っていた。
「なあんだ!そんなことですか!よかったぁ。もっと大層なことしちゃったのかと思って焦りましたよ〜」
この女性はおかしい。
そう確信した。
「手をかけたかは覚えていませんが、彼はずっと私のところにいましたよ」

嬉々として話す彼女の目は透き通っていて、純粋な幼子のようだった。
愛しているのは間違っていないのだろうが、どこかおかしかった。

「それにしても、私と博人くんのこと、引き離そうったって無駄ですよ」
小鳥遊さんは笑顔で続けた。
「無駄…とは?」


私が尋ねると、小鳥遊さんはにこにこしながら答えた。
「だって……」






食べちゃったんですもの。

作者メッセージ

夜兎さんアイデアありがとうございました!
少し手を加えさせていただいたため、想像と違う形になってしまっていたら申し訳ございません。

2025/03/25 20:54

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は月町 桔梗さんに帰属します

TOP