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猛毒蠱独

#2

あたしは蠱毒、あなたも蠱独

「それじゃ、お金はここに置いておくから。またよろしくね」

それだけ声をかけると、あなたはそそくさと部屋を後にした。
目の前には、細長い茶封筒。
中には三万円。
ため息を吐いて、あたしは部屋を出た。







あたしはあなたとの関係に文句はないの。
ただ、お互いがお互いのことを喰い殺してることだけは、いつまでも覚えててね。

あなたに奥さんと娘さんがいることも、あたしは理解しきってるし、一生あなたの隣にいられないことも分かってる。
だから、今だけでもいいから、あたしだけのあなたになってほしいの。



酒を呑んだらあたしを殴る悪い癖だけは本当にやめてよね。
あたしにとっちゃ顔が商売道具なんだから。
顔面傷つけられたらたまったもんじゃないもの。
あざが残ったら大変なの。
ボーイとか店長に叱られるし。
最悪、客が減るんだよ。
本当に、勘弁してよね。

あと、煙草もやめるって言ってたくせに、全然やめる気配はないね。
ずっと煙いコートを羽織ってあたしに会いに来る。
やめては欲しいけど、あたし、あなたの匂いが好きだから、少し寂しい。







あなたは猛毒。
あたしのことをずっと蝕んでる。
でも、あなたからしたらあたしの方が毒かもね。
蠱毒ってあるでしょ?
毒虫を壺に詰め込んで殺し合わせて、生き残ったのを呪術に使うやつ。
あたしとあなたが毒虫で、この関係が壺。
お互いに喰い殺し合って、結局どっちも死ぬ終わりなんて、素敵じゃない?
愛のない関係だからこそできる真似だよ。



やっぱり、あなたは蠱独。

2025/03/22 21:28

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
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