「……造、寿造、寿造!」
真後ろにいた友人から大声で呼ばれ、寿造は肩をビクッと震わせた。
「どうしちまったんだよ全く……。お前最近おかしいぞ?ぼんやりしちまって……、まさか恋でもしたか?!」
完全図星だった寿造はしどろもどろになりながら反論した。
「ちっ、違えよ!恋の相手なんざいねえし、何より俺に色恋沙汰なんざ分かるわけねえだろ!」
「ほぉ〜?お前、まさかとは思うが花椿に惚れちまったか?」
にやにやと笑いながら友人は寿造のことを突っつき回した。
「なあなあなあ教えてくれよぉ〜、長年のよしみってもんがあんだろ〜?」
面倒になりヤケクソになった寿造はとうとう白状することにした。
「ああそうだよ俺は花椿に惚れちまったよ!なんだよ!文句あるかよ!」
「まあまあそう怒るなって。お前は金もあるんだから、花椿を身請けしてやりゃいいじゃねえか。できねえ理由でもあるのかい?」
「花椿に俺は釣り合わねぇ。だから、あいつに見合う男になるまで身請けはしない」
寿造の意外な言葉に、友人は面食らっていた。
「意外だな……。お前ならいけると思ったんだが。頑張れよ、応援してるぜ」
寿造は礼を言うと店の中へ戻った。
一人になってから、寿造はずっとあることを考えていた。
「ああ、花椿に何か贈り物でもしてやりたいが…何を贈ればいいんだ?かんざしはたくさん持ってるだろうし、菓子は口に合わなかったら申し訳ねぇ。ううむ……」
悩みに悩んだ末、着物と帯を作って渡すことにした。
花椿によく似合う、瑠璃紺の下地に水仙の刺繍を施した着物に、朱色の下地に金色の模様をあしらった帯を仕立て上げ、寿造は心臓の鼓動が高鳴るのを感じながら花街へ向かった。
「おや、若旦那。また来たのかえ?」
花椿は煙管をふかしながら微笑んだ。
「ああ。お前さんに、渡したいものがあってだな…」
「そうかい。じゃあ、店の中においでなよゥ。受け取るだけでいいからさァ」
店の暖簾をくぐり、二人は初めて仕切りのない状態で顔を合わせた。
互いに見つめ合い、気まずくなったのか寿造が先に口を開いた。
「花椿、お前さんが気に入ってくれるかは分からねぇが受け取っておくんなせぇ。着物と帯だ」
「おや、嬉しいじゃないか。瑠璃紺に…水仙か。綺麗じゃないか。気に入ったよ。朱色の生地に金糸はよく映えるからね、知識があるようじゃないか。ありがとうよ」
花椿は嬉しそうに笑うと、店の奥へと引っ込んでいった。
寿造は町へ戻りながら、脳内で花椿の笑みを反芻していた。
真後ろにいた友人から大声で呼ばれ、寿造は肩をビクッと震わせた。
「どうしちまったんだよ全く……。お前最近おかしいぞ?ぼんやりしちまって……、まさか恋でもしたか?!」
完全図星だった寿造はしどろもどろになりながら反論した。
「ちっ、違えよ!恋の相手なんざいねえし、何より俺に色恋沙汰なんざ分かるわけねえだろ!」
「ほぉ〜?お前、まさかとは思うが花椿に惚れちまったか?」
にやにやと笑いながら友人は寿造のことを突っつき回した。
「なあなあなあ教えてくれよぉ〜、長年のよしみってもんがあんだろ〜?」
面倒になりヤケクソになった寿造はとうとう白状することにした。
「ああそうだよ俺は花椿に惚れちまったよ!なんだよ!文句あるかよ!」
「まあまあそう怒るなって。お前は金もあるんだから、花椿を身請けしてやりゃいいじゃねえか。できねえ理由でもあるのかい?」
「花椿に俺は釣り合わねぇ。だから、あいつに見合う男になるまで身請けはしない」
寿造の意外な言葉に、友人は面食らっていた。
「意外だな……。お前ならいけると思ったんだが。頑張れよ、応援してるぜ」
寿造は礼を言うと店の中へ戻った。
一人になってから、寿造はずっとあることを考えていた。
「ああ、花椿に何か贈り物でもしてやりたいが…何を贈ればいいんだ?かんざしはたくさん持ってるだろうし、菓子は口に合わなかったら申し訳ねぇ。ううむ……」
悩みに悩んだ末、着物と帯を作って渡すことにした。
花椿によく似合う、瑠璃紺の下地に水仙の刺繍を施した着物に、朱色の下地に金色の模様をあしらった帯を仕立て上げ、寿造は心臓の鼓動が高鳴るのを感じながら花街へ向かった。
「おや、若旦那。また来たのかえ?」
花椿は煙管をふかしながら微笑んだ。
「ああ。お前さんに、渡したいものがあってだな…」
「そうかい。じゃあ、店の中においでなよゥ。受け取るだけでいいからさァ」
店の暖簾をくぐり、二人は初めて仕切りのない状態で顔を合わせた。
互いに見つめ合い、気まずくなったのか寿造が先に口を開いた。
「花椿、お前さんが気に入ってくれるかは分からねぇが受け取っておくんなせぇ。着物と帯だ」
「おや、嬉しいじゃないか。瑠璃紺に…水仙か。綺麗じゃないか。気に入ったよ。朱色の生地に金糸はよく映えるからね、知識があるようじゃないか。ありがとうよ」
花椿は嬉しそうに笑うと、店の奥へと引っ込んでいった。
寿造は町へ戻りながら、脳内で花椿の笑みを反芻していた。