今日はいつもにもまして上の空だった。
昨日の九条先生はいったい何?何だったの?
『無理しないで』
頭の中でこだまする、九条先生の声。そのせいで今日の授業はあまり頭に入ってこなかった。これも、九条先生のせいだ。そういうことにしておこう。
放課後。今日もいつものように終わるはずだった。しかし今日は、「部活動発足式」というのがあるらしい。中学生のときもあったが、帰宅部だった私には縁のない話だった。
「早く行こ―!」
早乙女さんの声が私の耳に響く。私にかけられた声ではないとわかっていても、一瞬ビクッとしてしまう。
「待ってよ~」
続いて横山さんの声。2人ともバレー部なのだろうか?まあ、私には知ったこっちゃないけど。
私も1人で体育館まで行き、発足式に参加する。体育館には大勢の人がいて、荷物や各部活動のプラカードなどがごった返していた。
「おーい、こっちだよ~」
「バスケ部、こっち!」
声も溢れていた。スポーツ部の圧がすごくて、私まで飲み込まれてしまいそうだった。
新聞・文藝部はどこだろう?きっと、朝美先輩1人…と九条先生がいるはず。
「璃音ちゃーん、こっち!」
朝美先輩の声が私の耳に届いた。声の方に急ぐと、そこには私以外のメンバーがそろっていた。
「人多いでしょ?毎回そうなの…」
私は行きを整えながら頷く。
「僕も初めてだけど、こんなに多いんだね…。僕がいたころはもっと少なかったような?」
「九条先生もこの高校出身で?」
「そうなんだよね。この高校ってそうな人気だったっけ?」
朝美先輩と九条先生はもう普通に話している。さすが朝美先輩、初対面の私とも気軽に話してくれただけある。
「今年の倍率、どれくらいだった?」
急に九条先生から話を振られる。
「わ、分からないです。私、推薦で受かったので…」
「そっか、凄いね」
九条先生はいつものように笑みを浮かべる。何の感情もこもっていないような笑顔。目が笑ってないようにも見える。
「そろそろ始まるみたい、発足式。璃音ちゃんも座っていいよ」
朝美先輩に言われた通り、私はその場に座り、式の開始を待った。
式は入学式と同様、すぐに終わってしまった。「部活動生の心得」が書かれた紙が配布され、校長先生が話して終わり、みたいな感じだった。
「意外と、短いもんだよね」
朝美先輩は呆れに近い顔をしている。
私たちは式が終わった後、活動場所となる第2図書準備室へ向かっている。今度は九条先生も一緒なので、なんだか緊張する。授業だけじゃなく、放課後まで一緒に過ごすことになるなんて、まったく考えてもみなかった。
「とりあえず、自己紹介しようか!じゃあ私から!」
朝美先輩は3人分の椅子を用意して、私たちを座らせてからそう言いだした。
「3年B組、朝美琴音です。えっと、17歳です。文系専攻です。好きな食べ物はオムライスです。誕生日は10月18日です!よろしくお願いします‼分からないことがあったら何でも聞いてね。顧問の先生より何でも知ってるからね♪」
朝美先輩はチャーミングな自己紹介を終え、私を手で指した。
「次は璃音ちゃん!」
私は恐る恐る声を出す。
「1年A組、ひ、柊木璃音です。じゅ、15歳です。好きな食べ物、はマカロン?です。誕生日は、9月12日です。は、話すのは下手ですが、よ、よろしくお願いします」
朝美先輩はパチパチと拍手をくれた。私は自分の顔が燃えるように赤くなっていくのが分かった。
「次、九条先生おねがいします」
朝美先輩は次へバトンを渡す。九条先生はかしこまった様子で、
「1年A組担任の、九条零です。22です。好きな食べ物はかつ丼かな。誕生日は9月5日。数学担当で、文学とかサッパリだけど、よろしくね」
朝美先輩と私は一緒になって拍手する。誕生日、私と同じ月じゃん。九条先生は恥ずかしそうに首を掻き、
「活動内容ってどうなってるの?」
と朝美先輩に尋ねる。朝美先輩はコホンと咳ばらいをし、
「1年間に3回、校内新聞を書いて発行します。それ以外で言えば、文化祭に文藝誌を執筆することですかね。」
簡潔に答えた。
「文藝誌って何?ただのしおりじゃないの?」
九条先生は重ねて質問する。朝美先輩は、この先生文藝誌も知らないの?という目で九条先生を見ながら、
「え、えっと、文藝誌はですね…」
と質問に答えている。
部員数2人。1人は新入生、1人は高校入試も控える3年生。おまけに顧問は何も知らない数学教師。
…この部活、これから大丈夫なの??
昨日の九条先生はいったい何?何だったの?
『無理しないで』
頭の中でこだまする、九条先生の声。そのせいで今日の授業はあまり頭に入ってこなかった。これも、九条先生のせいだ。そういうことにしておこう。
放課後。今日もいつものように終わるはずだった。しかし今日は、「部活動発足式」というのがあるらしい。中学生のときもあったが、帰宅部だった私には縁のない話だった。
「早く行こ―!」
早乙女さんの声が私の耳に響く。私にかけられた声ではないとわかっていても、一瞬ビクッとしてしまう。
「待ってよ~」
続いて横山さんの声。2人ともバレー部なのだろうか?まあ、私には知ったこっちゃないけど。
私も1人で体育館まで行き、発足式に参加する。体育館には大勢の人がいて、荷物や各部活動のプラカードなどがごった返していた。
「おーい、こっちだよ~」
「バスケ部、こっち!」
声も溢れていた。スポーツ部の圧がすごくて、私まで飲み込まれてしまいそうだった。
新聞・文藝部はどこだろう?きっと、朝美先輩1人…と九条先生がいるはず。
「璃音ちゃーん、こっち!」
朝美先輩の声が私の耳に届いた。声の方に急ぐと、そこには私以外のメンバーがそろっていた。
「人多いでしょ?毎回そうなの…」
私は行きを整えながら頷く。
「僕も初めてだけど、こんなに多いんだね…。僕がいたころはもっと少なかったような?」
「九条先生もこの高校出身で?」
「そうなんだよね。この高校ってそうな人気だったっけ?」
朝美先輩と九条先生はもう普通に話している。さすが朝美先輩、初対面の私とも気軽に話してくれただけある。
「今年の倍率、どれくらいだった?」
急に九条先生から話を振られる。
「わ、分からないです。私、推薦で受かったので…」
「そっか、凄いね」
九条先生はいつものように笑みを浮かべる。何の感情もこもっていないような笑顔。目が笑ってないようにも見える。
「そろそろ始まるみたい、発足式。璃音ちゃんも座っていいよ」
朝美先輩に言われた通り、私はその場に座り、式の開始を待った。
式は入学式と同様、すぐに終わってしまった。「部活動生の心得」が書かれた紙が配布され、校長先生が話して終わり、みたいな感じだった。
「意外と、短いもんだよね」
朝美先輩は呆れに近い顔をしている。
私たちは式が終わった後、活動場所となる第2図書準備室へ向かっている。今度は九条先生も一緒なので、なんだか緊張する。授業だけじゃなく、放課後まで一緒に過ごすことになるなんて、まったく考えてもみなかった。
「とりあえず、自己紹介しようか!じゃあ私から!」
朝美先輩は3人分の椅子を用意して、私たちを座らせてからそう言いだした。
「3年B組、朝美琴音です。えっと、17歳です。文系専攻です。好きな食べ物はオムライスです。誕生日は10月18日です!よろしくお願いします‼分からないことがあったら何でも聞いてね。顧問の先生より何でも知ってるからね♪」
朝美先輩はチャーミングな自己紹介を終え、私を手で指した。
「次は璃音ちゃん!」
私は恐る恐る声を出す。
「1年A組、ひ、柊木璃音です。じゅ、15歳です。好きな食べ物、はマカロン?です。誕生日は、9月12日です。は、話すのは下手ですが、よ、よろしくお願いします」
朝美先輩はパチパチと拍手をくれた。私は自分の顔が燃えるように赤くなっていくのが分かった。
「次、九条先生おねがいします」
朝美先輩は次へバトンを渡す。九条先生はかしこまった様子で、
「1年A組担任の、九条零です。22です。好きな食べ物はかつ丼かな。誕生日は9月5日。数学担当で、文学とかサッパリだけど、よろしくね」
朝美先輩と私は一緒になって拍手する。誕生日、私と同じ月じゃん。九条先生は恥ずかしそうに首を掻き、
「活動内容ってどうなってるの?」
と朝美先輩に尋ねる。朝美先輩はコホンと咳ばらいをし、
「1年間に3回、校内新聞を書いて発行します。それ以外で言えば、文化祭に文藝誌を執筆することですかね。」
簡潔に答えた。
「文藝誌って何?ただのしおりじゃないの?」
九条先生は重ねて質問する。朝美先輩は、この先生文藝誌も知らないの?という目で九条先生を見ながら、
「え、えっと、文藝誌はですね…」
と質問に答えている。
部員数2人。1人は新入生、1人は高校入試も控える3年生。おまけに顧問は何も知らない数学教師。
…この部活、これから大丈夫なの??