俺が再び目を覚ましたのは、午前7:10。アラームを音で目が覚めた。母さんはもう家を出ているだろう。
リビングへ向かうと、部屋は暗くラジオの音だけが響いている。
「今日の天気は、晴れのち曇り、ところにより雨が降るでしょう…」
顔も知らないお天気キャスターが淡々と告げる。一応折り畳み傘を持っていこう。濡れるのはごめんだ。風邪をひいては、これから待っている準々決勝への出場が危うくなる。エースとしてチームのために体調管理はばっちりしておかないと。
明かりをつけると、机の上に母さんからの置き手紙と朝ご飯が置かれていた。
【起きたら食べてね。レンチンしてもいいよ。お弁当は冷蔵庫の中です。 母】
手紙の通り、弁当は冷蔵庫の中に入っていた。そろそろ夏の気配が漂ってきているので、保冷材も適当に何個か保冷バッグに放り投げる。中身は何か知らない、というか興味ない。
家を出る時間が近づいてくる。朝ご飯を済ませ、髪をセットし、制服に着替える。もうすぐ父さんも起きてくる時間だが、気配はない。まあ、俺の知ったこっちゃないけど。
「行ってきま~す」
午前7:45。俺は一人でひっそりと家を出る。結局父さんは起きて来なかった。
教室に入ると、席についている奴と立っている奴が一斉に俺を見て挨拶をする。俺も適当に返す。
「おはよー、颯太!」
「おはよう」
日向里が俺の机に駆け寄ってくる。いつものように眩しい笑顔を浮かべている。
「颯太、昨日凄かったね!シュートとか何本も決めてさ!」
日向里は気持ちが高ぶっているようで、顔を少し赤くして話す。昨日の俺よりも興奮しているようだ。
「別に、俺だけが活躍したわけじゃないし。後輩も頑張ってくれたよ」
「でも、一番シュート決めたのは颯太でしょ?しかもチームまとめてたのも颯太じゃん!」
そんなに名前を連呼されても困る。みんながパスをうまく回してくれたおかげで俺はシュートを打てたんだ。
「やっぱ、颯太凄いよ!」
そんな俺をよそに、日向里は俺の肩を叩く。力が入っていて少し痛い。
ふと、今朝のことを思い出す。
「そういえばさぁ、昨日の試合に『水瀬』、いた?」
日向里に聞いてみた。日向里はしばらく考えるように右上を見ると、
「そういえばいたかも。でも、一人だったよ、多分。」
私も友達と話してたからわかんない!、と日向里はいたずらっぽく舌を出す。
「そっか、ならいいや」
俺は教室を見渡し、「水瀬律」を探す。まだ来ていないようだが、もうそろそろHRが始まってしまう時間だ。
「水瀬君が、どうかしたの?」
日向里は尋ねるが、俺はあまり知られたくなかったので、
「いや、別に」
とだけ返す。日向里は退屈そうに「ふーん」とだけ言って、また友達の輪に帰っていった。
もうすぐチャイムが鳴る。その瞬間。
来た。「水瀬律」だ。朝の光が眼鏡に反射して、白く光っている。
「水瀬律」は誰にも挨拶することはなく、また誰にも挨拶されることもなく自分の席に座っている。
話しかけてみよう。そう思った。しかし、
「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴った。そしてすぐ担任が教室に入ってきて、
「時間になったぞ。HR始まるから座れ」
と教室の後ろにも届く声で言う。「水瀬律」に話しかけるのは諦め、次の機会を狙うことにした。
リビングへ向かうと、部屋は暗くラジオの音だけが響いている。
「今日の天気は、晴れのち曇り、ところにより雨が降るでしょう…」
顔も知らないお天気キャスターが淡々と告げる。一応折り畳み傘を持っていこう。濡れるのはごめんだ。風邪をひいては、これから待っている準々決勝への出場が危うくなる。エースとしてチームのために体調管理はばっちりしておかないと。
明かりをつけると、机の上に母さんからの置き手紙と朝ご飯が置かれていた。
【起きたら食べてね。レンチンしてもいいよ。お弁当は冷蔵庫の中です。 母】
手紙の通り、弁当は冷蔵庫の中に入っていた。そろそろ夏の気配が漂ってきているので、保冷材も適当に何個か保冷バッグに放り投げる。中身は何か知らない、というか興味ない。
家を出る時間が近づいてくる。朝ご飯を済ませ、髪をセットし、制服に着替える。もうすぐ父さんも起きてくる時間だが、気配はない。まあ、俺の知ったこっちゃないけど。
「行ってきま~す」
午前7:45。俺は一人でひっそりと家を出る。結局父さんは起きて来なかった。
教室に入ると、席についている奴と立っている奴が一斉に俺を見て挨拶をする。俺も適当に返す。
「おはよー、颯太!」
「おはよう」
日向里が俺の机に駆け寄ってくる。いつものように眩しい笑顔を浮かべている。
「颯太、昨日凄かったね!シュートとか何本も決めてさ!」
日向里は気持ちが高ぶっているようで、顔を少し赤くして話す。昨日の俺よりも興奮しているようだ。
「別に、俺だけが活躍したわけじゃないし。後輩も頑張ってくれたよ」
「でも、一番シュート決めたのは颯太でしょ?しかもチームまとめてたのも颯太じゃん!」
そんなに名前を連呼されても困る。みんながパスをうまく回してくれたおかげで俺はシュートを打てたんだ。
「やっぱ、颯太凄いよ!」
そんな俺をよそに、日向里は俺の肩を叩く。力が入っていて少し痛い。
ふと、今朝のことを思い出す。
「そういえばさぁ、昨日の試合に『水瀬』、いた?」
日向里に聞いてみた。日向里はしばらく考えるように右上を見ると、
「そういえばいたかも。でも、一人だったよ、多分。」
私も友達と話してたからわかんない!、と日向里はいたずらっぽく舌を出す。
「そっか、ならいいや」
俺は教室を見渡し、「水瀬律」を探す。まだ来ていないようだが、もうそろそろHRが始まってしまう時間だ。
「水瀬君が、どうかしたの?」
日向里は尋ねるが、俺はあまり知られたくなかったので、
「いや、別に」
とだけ返す。日向里は退屈そうに「ふーん」とだけ言って、また友達の輪に帰っていった。
もうすぐチャイムが鳴る。その瞬間。
来た。「水瀬律」だ。朝の光が眼鏡に反射して、白く光っている。
「水瀬律」は誰にも挨拶することはなく、また誰にも挨拶されることもなく自分の席に座っている。
話しかけてみよう。そう思った。しかし、
「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴った。そしてすぐ担任が教室に入ってきて、
「時間になったぞ。HR始まるから座れ」
と教室の後ろにも届く声で言う。「水瀬律」に話しかけるのは諦め、次の機会を狙うことにした。