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凪と風【130回閲覧ありがとう✨】

#4

2.朝の光

 俺が再び目を覚ましたのは、午前7:10。アラームを音で目が覚めた。母さんはもう家を出ているだろう。
 リビングへ向かうと、部屋は暗くラジオの音だけが響いている。
 「今日の天気は、晴れのち曇り、ところにより雨が降るでしょう…」
 顔も知らないお天気キャスターが淡々と告げる。一応折り畳み傘を持っていこう。濡れるのはごめんだ。風邪をひいては、これから待っている準々決勝への出場が危うくなる。エースとしてチームのために体調管理はばっちりしておかないと。
 明かりをつけると、机の上に母さんからの置き手紙と朝ご飯が置かれていた。
 【起きたら食べてね。レンチンしてもいいよ。お弁当は冷蔵庫の中です。     母】
 手紙の通り、弁当は冷蔵庫の中に入っていた。そろそろ夏の気配が漂ってきているので、保冷材も適当に何個か保冷バッグに放り投げる。中身は何か知らない、というか興味ない。

 家を出る時間が近づいてくる。朝ご飯を済ませ、髪をセットし、制服に着替える。もうすぐ父さんも起きてくる時間だが、気配はない。まあ、俺の知ったこっちゃないけど。
 
 「行ってきま~す」
 午前7:45。俺は一人でひっそりと家を出る。結局父さんは起きて来なかった。

 教室に入ると、席についている奴と立っている奴が一斉に俺を見て挨拶をする。俺も適当に返す。
 「おはよー、颯太!」
 「おはよう」
 日向里が俺の机に駆け寄ってくる。いつものように眩しい笑顔を浮かべている。
 「颯太、昨日凄かったね!シュートとか何本も決めてさ!」
 日向里は気持ちが高ぶっているようで、顔を少し赤くして話す。昨日の俺よりも興奮しているようだ。
 「別に、俺だけが活躍したわけじゃないし。後輩も頑張ってくれたよ」
 「でも、一番シュート決めたのは颯太でしょ?しかもチームまとめてたのも颯太じゃん!」
 そんなに名前を連呼されても困る。みんながパスをうまく回してくれたおかげで俺はシュートを打てたんだ。
 「やっぱ、颯太凄いよ!」
 そんな俺をよそに、日向里は俺の肩を叩く。力が入っていて少し痛い。

 ふと、今朝のことを思い出す。 
 「そういえばさぁ、昨日の試合に『水瀬』、いた?」
 日向里に聞いてみた。日向里はしばらく考えるように右上を見ると、
 「そういえばいたかも。でも、一人だったよ、多分。」
 私も友達と話してたからわかんない!、と日向里はいたずらっぽく舌を出す。
 「そっか、ならいいや」
 俺は教室を見渡し、「水瀬律」を探す。まだ来ていないようだが、もうそろそろHRが始まってしまう時間だ。
 「水瀬君が、どうかしたの?」
 日向里は尋ねるが、俺はあまり知られたくなかったので、
 「いや、別に」
 とだけ返す。日向里は退屈そうに「ふーん」とだけ言って、また友達の輪に帰っていった。

 もうすぐチャイムが鳴る。その瞬間。
 来た。「水瀬律」だ。朝の光が眼鏡に反射して、白く光っている。
 「水瀬律」は誰にも挨拶することはなく、また誰にも挨拶されることもなく自分の席に座っている。
 話しかけてみよう。そう思った。しかし、
 「キーンコーンカーンコーン」
 チャイムが鳴った。そしてすぐ担任が教室に入ってきて、
 「時間になったぞ。HR始まるから座れ」
 と教室の後ろにも届く声で言う。「水瀬律」に話しかけるのは諦め、次の機会を狙うことにした。

作者メッセージ

こんばんは、月白灑苑(つきしろ しおん)です。
BL続編書きました!ぜひお楽しみください!
これからも投稿していきますので、颯太と律の行方を最後までお見逃しなく♪

2026/02/20 21:03

月白灑苑
ID:≫ 5pplVSwPOVTKw
コメント

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