オヤ、私の口から怖い話が聞きたいなんて、お前さんも物好きねぇ。
まァいいさ、ほら、そこ座りな。
[水平線]
これは私が子供ンときに姐さんから聞いた話だ。
その昔、漁師の[漢字]ひょうえ[/漢字][ふりがな]ひょうえ[/ふりがな]ッてのが海に行ったのさ。
波に揺られてたら、急に船が傾いてね。
驚いて海面を見たら、美しい女がしがみついてたのさ。
兵衛は女に、「海に落ちたのか?」と尋ねた。
そしたら、女はこう答えたんだと。
「いいえ、わたくしは人魚でございます。尾びれにひどい怪我をして、うまく泳げないのです。どうか、傷の手当をしてください。必ず礼はいたします」
兵衛は心優しい男だったから、人魚を船に乗せて家へ戻った。
家で傷を見てみると、尾びれがところどころ裂けて血がにじんでいたらしい。
それに、鱗も少し剥がれていた。
兵衛は薬を塗って、布を巻いてやったんだと。
人魚は泣いて感謝した。
そして、兵衛にあるものを渡したそうだ。
それは蝋燭だったらしい。
兵衛が首を傾げていると、人魚は話し始めた。
「漁に出る時は、家の中にこの蝋燭を灯してください。そうすれば、海で事故に遭いません」
兵衛はそれを聞いて大喜びしたのさ。
でも、少し考えてから、一つ、人魚に尋ねた。
「ここは漁で生計を立てている家ばかりだ。みんな海の事故を何よりも恐れている。だから、他のみんなにこれを貸してもいいか?」
人魚は少し考えてから、「問題ありませんが、よくない考えを持つ方が蝋燭を手にすれば、災いが降りかかります」とだけ言ったんだとさ。
兵衛は頷くと、「蝋燭、ありがとうな」と礼を言った。
[水平線]
数日してから、人魚の怪我もよくなった。
兵衛は船に人魚を乗せて海に出た。
人魚は何度も兵衛に礼を言うと、海に潜っていった。
その日は兵衛は家に帰り、次の日に漁に出ることにしたらしい。
そして、翌日漁に出る時、人魚にもらった蝋燭をつけてみた。
海に出ると、水面は恐ろしく静かだった。
少しの波もなく、安心して漁をすることができたそうだよ。
それ以来、兵衛は海に出る時、必ず蝋燭を灯すようになった。
周りの人間は兵衛が一度も事故に遭わないのを不思議がった。
そして、兵衛に理由を聞いてみたのさ。
兵衛は素直に蝋燭のことを話した。
みんな兵衛を羨ましがり、兵衛は快くみんなに蝋燭を貸し始めた。
[水平線]
ある日、兵衛が起きると蝋燭がなくなっていたんだと。
兵衛がみんなと蝋燭を探しても、見つからなかったそうだ。
みんなが諦めかけていた時、一人の村人が声をあげた。
「なあ、[漢字]吉蔵[/漢字][ふりがな]よしぞう[/ふりがな]はどこだ?あいつは確か、今朝から漁に出てなかったか?」
村人たちは一斉に海に出て吉蔵を捜し始めた。
吉蔵が見つかるのに、そう時間はかからなかったそうだよ。
村人の一人が、吉蔵の船が浮いてるのを見つけたらしい。
船のそばを捜していると、着物が浮いているのが見つかった。
着物を引き揚げると、吉蔵だったんだと。
水を吸って膨らんだ死体は、ところどころ噛みちぎられたような痕があったらしい。
それを見た瞬間、兵衛は人魚の話を思い出したんだとさ。
ちなみに、蝋燭は吉蔵の家にあったらしい。
お前さんも海に近づくときは気をつけなよォ。
もしかしたら、人じゃないナニカに会っちまうかもしれないからねぇ。
まァいいさ、ほら、そこ座りな。
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これは私が子供ンときに姐さんから聞いた話だ。
その昔、漁師の[漢字]ひょうえ[/漢字][ふりがな]ひょうえ[/ふりがな]ッてのが海に行ったのさ。
波に揺られてたら、急に船が傾いてね。
驚いて海面を見たら、美しい女がしがみついてたのさ。
兵衛は女に、「海に落ちたのか?」と尋ねた。
そしたら、女はこう答えたんだと。
「いいえ、わたくしは人魚でございます。尾びれにひどい怪我をして、うまく泳げないのです。どうか、傷の手当をしてください。必ず礼はいたします」
兵衛は心優しい男だったから、人魚を船に乗せて家へ戻った。
家で傷を見てみると、尾びれがところどころ裂けて血がにじんでいたらしい。
それに、鱗も少し剥がれていた。
兵衛は薬を塗って、布を巻いてやったんだと。
人魚は泣いて感謝した。
そして、兵衛にあるものを渡したそうだ。
それは蝋燭だったらしい。
兵衛が首を傾げていると、人魚は話し始めた。
「漁に出る時は、家の中にこの蝋燭を灯してください。そうすれば、海で事故に遭いません」
兵衛はそれを聞いて大喜びしたのさ。
でも、少し考えてから、一つ、人魚に尋ねた。
「ここは漁で生計を立てている家ばかりだ。みんな海の事故を何よりも恐れている。だから、他のみんなにこれを貸してもいいか?」
人魚は少し考えてから、「問題ありませんが、よくない考えを持つ方が蝋燭を手にすれば、災いが降りかかります」とだけ言ったんだとさ。
兵衛は頷くと、「蝋燭、ありがとうな」と礼を言った。
[水平線]
数日してから、人魚の怪我もよくなった。
兵衛は船に人魚を乗せて海に出た。
人魚は何度も兵衛に礼を言うと、海に潜っていった。
その日は兵衛は家に帰り、次の日に漁に出ることにしたらしい。
そして、翌日漁に出る時、人魚にもらった蝋燭をつけてみた。
海に出ると、水面は恐ろしく静かだった。
少しの波もなく、安心して漁をすることができたそうだよ。
それ以来、兵衛は海に出る時、必ず蝋燭を灯すようになった。
周りの人間は兵衛が一度も事故に遭わないのを不思議がった。
そして、兵衛に理由を聞いてみたのさ。
兵衛は素直に蝋燭のことを話した。
みんな兵衛を羨ましがり、兵衛は快くみんなに蝋燭を貸し始めた。
[水平線]
ある日、兵衛が起きると蝋燭がなくなっていたんだと。
兵衛がみんなと蝋燭を探しても、見つからなかったそうだ。
みんなが諦めかけていた時、一人の村人が声をあげた。
「なあ、[漢字]吉蔵[/漢字][ふりがな]よしぞう[/ふりがな]はどこだ?あいつは確か、今朝から漁に出てなかったか?」
村人たちは一斉に海に出て吉蔵を捜し始めた。
吉蔵が見つかるのに、そう時間はかからなかったそうだよ。
村人の一人が、吉蔵の船が浮いてるのを見つけたらしい。
船のそばを捜していると、着物が浮いているのが見つかった。
着物を引き揚げると、吉蔵だったんだと。
水を吸って膨らんだ死体は、ところどころ噛みちぎられたような痕があったらしい。
それを見た瞬間、兵衛は人魚の話を思い出したんだとさ。
ちなみに、蝋燭は吉蔵の家にあったらしい。
お前さんも海に近づくときは気をつけなよォ。
もしかしたら、人じゃないナニカに会っちまうかもしれないからねぇ。