「こンにちハ」
男は片言の日本語を話す。
見た目は三、四十代といったところだろうが、本当はもう少し若いのかもしれない。
「こちら、店主の[漢字]楊鳴翠[/漢字][ふりがな]ようめいすい[/ふりがな]さん。中国語だと、ヤンミンツウェイだね」
見た目が明らかソッチの人である。
まさに路地裏で白い粉を売ってそうな見た目。
栄は遠慮がちに頭を下げた。
鳴翠は愉快そうに笑うと、真奈佳の方を向いた。
「面白そうナ子を連れてキタな」
「でしょ?この子仕事できるんですよ」
「[漢字]好,好。[/漢字][ふりがな]よし、よし。[/ふりがな]お名前は?」
「こっ、小泉栄です」
「[漢字]字呢?怎么写啊?[/漢字][ふりがな]字は?どう書くのかな?[/ふりがな]」
「小さい泉で小泉に、栄光の栄です」
鳴翠はよくわからない、というような顔をして、真奈佳に助けを求めた。
「[漢字]小泉荣!光荣的荣[/漢字][ふりがな]小泉栄!光栄の栄ですよ[/ふりがな]」
ふむ…と言って鳴翠は黙り込んでしまった。
何かしてしまったのかな、と栄が心配していると、鳴翠が急に顔を上げた。
「栄サン、何か好きナお菓子アル?」
「へっ?ええと、胡麻団子!好きです」
「なら────」
[水平線]
なぜ自分はここにいるんだろう、と栄は困惑している。
円卓には大皿に盛られた胡麻団子に、杏仁豆腐、桃まん、シロップに入った白玉のようなデザート、きな粉餅のような菓子が所狭しと並んでいる。
「食べないノ?」
鳴翠が首を傾げる。
「あっ、ええと…」
「[漢字]她在混乱呢[/漢字][ふりがな]彼女、混乱してるんですよ[/ふりがな]」
真奈佳が桃まんを頬張りながら言う。
「食べル?」と言いながら鳴翠は胡麻団子を差し出した。
「あの、どうしてここに連れてきたんですか?」
栄がおずおずと尋ねると、鳴翠はきょとんとした顔をした。
「胡麻団子、好きっテ言ってたカラ…」
「それだけで連れてきたんですか?」
鳴翠は元気よく頷いた。
見た目はゴチゴチのチャイナマフィアだが、中身はまさしく幼女だ。
白玉のようなデザート────[漢字]湯円[/漢字][ふりがな]タンユエン[/ふりがな]と言うらしい──を器ごと抱えて食べているのを見ると、かわいらしさを感じる。
「栄サン、あなたワタシの助手なってヨ」
唐突な申し出に、栄は胡麻団子を詰まらせそうになった。
「えっと、それはつまり私を雇うということでよろしいですか?」
ウン、と言いながら鳴翠は湯円のおかわりを注文した。
「アナタがワタシの助手になった記念ネ!」
真奈佳に目で助けを求めると、「諦めな」と言わんばかりの視線を向けられた。
「オメデトー」と棒読みで言いながら、きな粉餅──[漢字]红糖糍粑[/漢字][ふりがな]ホンタンツーバー[/ふりがな]が山盛りの皿を栄の方へ押しやった。
「書店のお仕事と探偵の仕事、どっちモ頑張ってネ」
ニコッと笑うと、鳴翠は湯円のシロップを飲み干した。
[水平線]
「ごちそうさまでした!」
鳴翠に代金を支払ってもらい、真奈佳と栄は満足げな笑顔を見せた。
「それじゃ、明日からよろしくネ」
「はい!ありがとうございました鳴翠先生」
三人はそこで別れた。
明日からは激務が待ってるんだろうなぁ、と思いながら、栄は家路を急いだ。
男は片言の日本語を話す。
見た目は三、四十代といったところだろうが、本当はもう少し若いのかもしれない。
「こちら、店主の[漢字]楊鳴翠[/漢字][ふりがな]ようめいすい[/ふりがな]さん。中国語だと、ヤンミンツウェイだね」
見た目が明らかソッチの人である。
まさに路地裏で白い粉を売ってそうな見た目。
栄は遠慮がちに頭を下げた。
鳴翠は愉快そうに笑うと、真奈佳の方を向いた。
「面白そうナ子を連れてキタな」
「でしょ?この子仕事できるんですよ」
「[漢字]好,好。[/漢字][ふりがな]よし、よし。[/ふりがな]お名前は?」
「こっ、小泉栄です」
「[漢字]字呢?怎么写啊?[/漢字][ふりがな]字は?どう書くのかな?[/ふりがな]」
「小さい泉で小泉に、栄光の栄です」
鳴翠はよくわからない、というような顔をして、真奈佳に助けを求めた。
「[漢字]小泉荣!光荣的荣[/漢字][ふりがな]小泉栄!光栄の栄ですよ[/ふりがな]」
ふむ…と言って鳴翠は黙り込んでしまった。
何かしてしまったのかな、と栄が心配していると、鳴翠が急に顔を上げた。
「栄サン、何か好きナお菓子アル?」
「へっ?ええと、胡麻団子!好きです」
「なら────」
[水平線]
なぜ自分はここにいるんだろう、と栄は困惑している。
円卓には大皿に盛られた胡麻団子に、杏仁豆腐、桃まん、シロップに入った白玉のようなデザート、きな粉餅のような菓子が所狭しと並んでいる。
「食べないノ?」
鳴翠が首を傾げる。
「あっ、ええと…」
「[漢字]她在混乱呢[/漢字][ふりがな]彼女、混乱してるんですよ[/ふりがな]」
真奈佳が桃まんを頬張りながら言う。
「食べル?」と言いながら鳴翠は胡麻団子を差し出した。
「あの、どうしてここに連れてきたんですか?」
栄がおずおずと尋ねると、鳴翠はきょとんとした顔をした。
「胡麻団子、好きっテ言ってたカラ…」
「それだけで連れてきたんですか?」
鳴翠は元気よく頷いた。
見た目はゴチゴチのチャイナマフィアだが、中身はまさしく幼女だ。
白玉のようなデザート────[漢字]湯円[/漢字][ふりがな]タンユエン[/ふりがな]と言うらしい──を器ごと抱えて食べているのを見ると、かわいらしさを感じる。
「栄サン、あなたワタシの助手なってヨ」
唐突な申し出に、栄は胡麻団子を詰まらせそうになった。
「えっと、それはつまり私を雇うということでよろしいですか?」
ウン、と言いながら鳴翠は湯円のおかわりを注文した。
「アナタがワタシの助手になった記念ネ!」
真奈佳に目で助けを求めると、「諦めな」と言わんばかりの視線を向けられた。
「オメデトー」と棒読みで言いながら、きな粉餅──[漢字]红糖糍粑[/漢字][ふりがな]ホンタンツーバー[/ふりがな]が山盛りの皿を栄の方へ押しやった。
「書店のお仕事と探偵の仕事、どっちモ頑張ってネ」
ニコッと笑うと、鳴翠は湯円のシロップを飲み干した。
[水平線]
「ごちそうさまでした!」
鳴翠に代金を支払ってもらい、真奈佳と栄は満足げな笑顔を見せた。
「それじゃ、明日からよろしくネ」
「はい!ありがとうございました鳴翠先生」
三人はそこで別れた。
明日からは激務が待ってるんだろうなぁ、と思いながら、栄は家路を急いだ。