#1 夜迷い言少女
歩く。淀みなく歩く。
幾つも重なり、果てには天まで積み上がった建築物。この街では建物が上に積み重なるように建てられている。それが遥か遠くまでいくつもつづいているのだ。
この街もかなり広いのだが、それよりたぶん人口が多すぎるのだろう、そういう作りになっている。
星無の家も一つの城のようになった住宅街の中、4つほど入り組み連なった家の上に建てられていて、見晴らしがとても良い。
だけど、あまりにも高所だから正直怖い。案外すぐ慣れるものだが、高所恐怖症は絶対に住むことはできないだろう、ここには。
家を出てから1週間、相当遠くまで来たはずだけど景色は何も変わらない。遠くのほうはシアン色の地平線がはるか彼方まで広がっている。空の色はまだ変わらない。
「誰か拾ってくれたりしないかな」
誰にでもなくこぼした声。冷たく無機質な信号機。青色の光が点滅する。たしか本では「信号機とは車と歩行者がぶつからないため、交通の流れをよくするためにつくられたもの」らしい。夜だからおそらく交通の流れも何もないけど、星無はまだ子供だからしっかりルールを守る。
いつか小説で読んだ。
この世界にはルールを守る理由がわからない人がたくさんいるらしい。星無もそのうちのひとりだった。星無の場合それ以前の話だけど、そうして理由がわからないですって主張するのはよくないことらしい。
それは星無にはあまりにも難解だったから、そういうのを考えるのはやめにした。
歩いていけば、電子文字で時間が示された時計台が見えてきた。ようやく見つけた目新しいもの。
今の時間は0時23分。深夜に入った頃である。まだまだ空の色が変わるまで時間はたっぷりある。
星無は時計台の横を通り過ぎ、ただひとり夜の都会を歩いていた。
歩く。淀みなく歩く。
幾つも重なり、果てには天まで積み上がった建築物。この街では建物が上に積み重なるように建てられている。それが遥か遠くまでいくつもつづいているのだ。
この街もかなり広いのだが、それよりたぶん人口が多すぎるのだろう、そういう作りになっている。
星無の家も一つの城のようになった住宅街の中、4つほど入り組み連なった家の上に建てられていて、見晴らしがとても良い。
だけど、あまりにも高所だから正直怖い。案外すぐ慣れるものだが、高所恐怖症は絶対に住むことはできないだろう、ここには。
家を出てから1週間、相当遠くまで来たはずだけど景色は何も変わらない。遠くのほうはシアン色の地平線がはるか彼方まで広がっている。空の色はまだ変わらない。
「誰か拾ってくれたりしないかな」
誰にでもなくこぼした声。冷たく無機質な信号機。青色の光が点滅する。たしか本では「信号機とは車と歩行者がぶつからないため、交通の流れをよくするためにつくられたもの」らしい。夜だからおそらく交通の流れも何もないけど、星無はまだ子供だからしっかりルールを守る。
いつか小説で読んだ。
この世界にはルールを守る理由がわからない人がたくさんいるらしい。星無もそのうちのひとりだった。星無の場合それ以前の話だけど、そうして理由がわからないですって主張するのはよくないことらしい。
それは星無にはあまりにも難解だったから、そういうのを考えるのはやめにした。
歩いていけば、電子文字で時間が示された時計台が見えてきた。ようやく見つけた目新しいもの。
今の時間は0時23分。深夜に入った頃である。まだまだ空の色が変わるまで時間はたっぷりある。
星無は時計台の横を通り過ぎ、ただひとり夜の都会を歩いていた。