家を出てから7分。すでに4人の人から視線を思い切りを向けられたような気がする。そりゃそうだ。
ボサボサの左右非対称の髪。髪を故意に切られてというのもあるけれど、抜毛症の気が私にはあって、髪を抜きすぎて一部生えてこなくなった。
さらには生気の感じない白い肌。昔はお人形さんみたいだとかよく言われていたが、今では完全に亡霊。
長すぎて視界の悪すぎる前髪。似合もしない丸眼鏡。中学生の間に6回レンズを交換した。ちなみに4代目。
こんなどう見ても隠キャで亡霊のくせに、ボロボロのスクールバッグには大量にチェリ*ブロッサムのぬいぐるみやアクリルキーホルダー、ラバーストラップがついている。
溢れんばかりでカバン一面に桜が咲き誇っているかのようにも見えるくらい。
本当に唯一の救いだったのは、この子たちに危害は加えられていないことだ。これは本当に救いだった。
もちろんカバンを捨てられたり切り刻まれたこともあるが、その際に汚れたりしたことはあっても直接何かされたわけではないからよかった。保護フィルムも剥がしていないし。
カバンや上履き、教科書やノートに何かしてもグッズには何もしないのが不思議だけど、
おそらく「かわいい女の子」だからとっつきにくいのだろう、と勝手に思っている。
そうして歩いていけば、校門が見えてくる。
アニメが終わった後すぐ学校に向かったし、家も遠くないのでかなり早く着いた。生徒の姿も見えない。
別にそれでいいけどね、と思いながら上履きを履く。
今日は早く来たので何もされていない。
教室へ向かい、扉をガラガラと開ける。もちろん誰もいない。そのことが深く私を安心させたが同時に絶望もした。誰が今から迫り来る地獄をただ待つというのか。正直今から帰りたかったけど、家に帰っても親は仕事でいないしアニメもやっていないから意味がない。私は机に突っ伏した。片目で校門の方に目をやる。ああ、神も仏も居ないんだと知った。そうして時間を無為に過ごすうちに、いつものあの集団が登校してくる。
鳥肌が体中を駆け巡る。頭が台風の日に窓を叩く風のようにガンガン痛む。また同じ日々の繰り返し。これからされることを想像しただけでもう無理だ。
私は迫り来る[漢字]地獄[/漢字][ふりがな]いじめっ子[/ふりがな]から目を逸らし、ひたすら机に突っ伏した。
◇◇◇
教室の扉が開く。心臓の鼓動が肋骨を叩きつけるように鳴っている。
無言で入ってきた女子2人と男子2人の4人グループ。教室に入るまではぺちゃくちゃ喋っていたというのに。もう怖すぎる。
私はなにもできず、ただ自分の腕に顔を埋め込んで暗闇を見つめる以外できなかった。
「え、何あいつもう来てんの」
「だから言ったじゃんもう来てんじゃないのって」
そんな会話が耳に入る。自分のこと以外何があるだろう?
ふと、足音がこちらへ近づいてくる。いや無理無理無理。怖い怖い怖い…朝からだなんて最悪だ、しかもまだ私とあの人たち以外はまだ来ていない。どんな嫌がらせだ?
「ねー、そこの亡霊ちゃん」
自分に投げかけられたものだと知る。私は顔を埋めたまま動けない。
「自分のことだってわかんない?亡霊よりキモオタの方がいいかな」
甲高い、気持ちの悪い笑い声が聞こえてくる。耳にキンキン響くような。
「あそうだ私ぃ、今朝からお腹痛くってさぁ〜吐き気もすんの。こいつ吐かせたら落ち着くかもな〜!」
え。どういうこと?本当に言ってる意味がわからなかったのに、体はひどく震え始める。
「え〜それめっちゃ良いね!アリサが体調悪いのにこいつが悪くないとか意味わかんないしね!」
「それな!なら今から校舎裏行く??」
賛成、いいね、そんな声が交わされる。私の話をしているはずなのに、いやしなくていいのだが、私が空気のようだった。元から空気だけど。私は溢れ出す震えと悪寒、吐き気が止められなくなり、つい勢いで席を立ってしまった。
「何急にキモいんですけど。まあいいや、亡霊ちゃんこっち来なよ。一緒にあそぼーよ!」
嘘みたいに明るくて朗らかな声。私は俯いたまま、屍みたいに歩みを進めた。
____助けて、チェリー…
そんな私の願いは儚く、私は奴隷のように4人の後をついて行った。
ボサボサの左右非対称の髪。髪を故意に切られてというのもあるけれど、抜毛症の気が私にはあって、髪を抜きすぎて一部生えてこなくなった。
さらには生気の感じない白い肌。昔はお人形さんみたいだとかよく言われていたが、今では完全に亡霊。
長すぎて視界の悪すぎる前髪。似合もしない丸眼鏡。中学生の間に6回レンズを交換した。ちなみに4代目。
こんなどう見ても隠キャで亡霊のくせに、ボロボロのスクールバッグには大量にチェリ*ブロッサムのぬいぐるみやアクリルキーホルダー、ラバーストラップがついている。
溢れんばかりでカバン一面に桜が咲き誇っているかのようにも見えるくらい。
本当に唯一の救いだったのは、この子たちに危害は加えられていないことだ。これは本当に救いだった。
もちろんカバンを捨てられたり切り刻まれたこともあるが、その際に汚れたりしたことはあっても直接何かされたわけではないからよかった。保護フィルムも剥がしていないし。
カバンや上履き、教科書やノートに何かしてもグッズには何もしないのが不思議だけど、
おそらく「かわいい女の子」だからとっつきにくいのだろう、と勝手に思っている。
そうして歩いていけば、校門が見えてくる。
アニメが終わった後すぐ学校に向かったし、家も遠くないのでかなり早く着いた。生徒の姿も見えない。
別にそれでいいけどね、と思いながら上履きを履く。
今日は早く来たので何もされていない。
教室へ向かい、扉をガラガラと開ける。もちろん誰もいない。そのことが深く私を安心させたが同時に絶望もした。誰が今から迫り来る地獄をただ待つというのか。正直今から帰りたかったけど、家に帰っても親は仕事でいないしアニメもやっていないから意味がない。私は机に突っ伏した。片目で校門の方に目をやる。ああ、神も仏も居ないんだと知った。そうして時間を無為に過ごすうちに、いつものあの集団が登校してくる。
鳥肌が体中を駆け巡る。頭が台風の日に窓を叩く風のようにガンガン痛む。また同じ日々の繰り返し。これからされることを想像しただけでもう無理だ。
私は迫り来る[漢字]地獄[/漢字][ふりがな]いじめっ子[/ふりがな]から目を逸らし、ひたすら机に突っ伏した。
◇◇◇
教室の扉が開く。心臓の鼓動が肋骨を叩きつけるように鳴っている。
無言で入ってきた女子2人と男子2人の4人グループ。教室に入るまではぺちゃくちゃ喋っていたというのに。もう怖すぎる。
私はなにもできず、ただ自分の腕に顔を埋め込んで暗闇を見つめる以外できなかった。
「え、何あいつもう来てんの」
「だから言ったじゃんもう来てんじゃないのって」
そんな会話が耳に入る。自分のこと以外何があるだろう?
ふと、足音がこちらへ近づいてくる。いや無理無理無理。怖い怖い怖い…朝からだなんて最悪だ、しかもまだ私とあの人たち以外はまだ来ていない。どんな嫌がらせだ?
「ねー、そこの亡霊ちゃん」
自分に投げかけられたものだと知る。私は顔を埋めたまま動けない。
「自分のことだってわかんない?亡霊よりキモオタの方がいいかな」
甲高い、気持ちの悪い笑い声が聞こえてくる。耳にキンキン響くような。
「あそうだ私ぃ、今朝からお腹痛くってさぁ〜吐き気もすんの。こいつ吐かせたら落ち着くかもな〜!」
え。どういうこと?本当に言ってる意味がわからなかったのに、体はひどく震え始める。
「え〜それめっちゃ良いね!アリサが体調悪いのにこいつが悪くないとか意味わかんないしね!」
「それな!なら今から校舎裏行く??」
賛成、いいね、そんな声が交わされる。私の話をしているはずなのに、いやしなくていいのだが、私が空気のようだった。元から空気だけど。私は溢れ出す震えと悪寒、吐き気が止められなくなり、つい勢いで席を立ってしまった。
「何急にキモいんですけど。まあいいや、亡霊ちゃんこっち来なよ。一緒にあそぼーよ!」
嘘みたいに明るくて朗らかな声。私は俯いたまま、屍みたいに歩みを進めた。
____助けて、チェリー…
そんな私の願いは儚く、私は奴隷のように4人の後をついて行った。