私――田西樹里はリリさんのあとについて行った。
ワクワクと、不安が混じり合い、どういう気持か分からなくなっていた。
　ワクワク――それは、リリさんの家はどんなのかな〜とか。不安――どうやって家に帰ろう...リリさんが道案内してくれるかな...そんなに、迷惑かけたくないし...
色んな感情が頭の中をぐるぐる回っていると
「つきましたよっ！」
と、リリさんは言った。
「すごーい！豪華！すごっ！え！ヤバッ！」
私はすごーく興奮した。だって、リリさんの家はお城みたいな外観だったからだ！私がしばらく、「すごいすごいすごい！」と、同じ言葉を繰り返し言っていると
「そんなに...すごくないですよっ！あなたには、すごいって思うかもしれないですが、これがこの世界では下の位の人たちの家なのです...」
と、照れながら教えてくれた。
そのことを聞いた私は
「ソ、ソウナンデスカ...」
と、戸惑いながら言った。
「では、中へ。どうぞ。」
は、はい！ヨロシクです！

ん？なんか...違和感？あっ！

「あのー。鍵、開けないのですか？」

私は思い切って聞いてみた。
「あぁ、開いてますよ？」
「へ？あ。この世界って、魔法か。魔法で開けるのか？」
「そうですが、どうしましたか？」
「あー。そうでしたねぇ。すいません。」
言葉ではそう言っているのに頭の中は混乱中。異世界だということは知っていたけど、実感がなかったから、少し驚いてしまったんだろう...
「さぁ、どうぞ。中へ。入らないと、寒いですよ？」
「はぃ...」
私は小さい声で返事した。やっぱり...まだ違和感があるような？あ...
「あのー。私がいたところでは、今のリリさんの立場の人がドアを開け、私が入るっていう、マナー？みたいなカンジだったんですけど...この国は、違うんですか？」
「？？？？？？？？？？？？？？？？？」
わあああああああ！？リリさんを困らせてしまった！？
「す、すいません！あ。はやく、中入ります！」
私は慌てて、中に入る。
「[太字]お邪魔します！！[/太字]」
「あ、はい。どうぞ。」
リリさんはまだ「？？？？」というような顔で返事をしてくれた。
私はさっきのことは「文化の違いだろう」と、もう気にしてないが、リリさんはまだ考え込んでしまっている...
　うわぁ...私のせいだ...ゴメンナサイ💦
そう思っていると、リリさんは「切り替えた！」というように、私にお茶を出してくれた。でも、フツーの日本人とは違う。すべて、魔法。お茶を入れるのも、テーブルに置くのも。なんか、新感覚。ちょっと楽しいけど、テキトーに扱われている感じがしてちょっと嫌。でも、異世界ではこれが当たり前なのだろう。
「では、あの話の続きを」
「あ。はい！」

こうして、私は今日起きたことをすべて話した。