こっちを向くな赤葦京治
[太字]ごめんなさい[/太字]
○○side
目の前には今までに見たことのないくらいの
怖い顔で私を見る赤葦がいた。
『あ…』
その瞬間に悟った。
この発言をしてはいけなかったと。
いつも優しい顔で接してくれる赤葦に
こんなに怖い顔をさせてしまった。
そう頭で気付いたときには私は半泣きだった。
赤葦「○○っ…」
私が涙目になっているせいか
赤葦は慌てていて
『ごめん』
なんていう私に戸惑いの顔を向けた。
赤葦「本当にごめん、怖がらせて」
『ううん大丈夫だよ』
赤葦「ならいいんだけど…」
悲しげに瞳を揺らしている赤葦が視界に映る。
そんな赤葦の様子を見ていられなくて
『あ、もう授業始まるよ自分の席行って!』
ぐいぐいと赤葦の背中を押した。
赤葦のことを怖いと思ってしまった自分を否定したくて
すこし力んで押してしまったかもしれない。
赤葦「分かってるよ。じゃあ○○も足りない頭で頑張って」
『なっ、』
それでもいつものように
優しい顔で憎まれ口を叩く。
それだけで私は安心感を覚えた。
_____
そして珍しいことに
今日の生物はきちんと話を聞いて頑張れたような気がした。
・
赤葦side
○○が音駒のほうが良かった、と口走った。
友だちができなかった腹いせで
言ったのだろうと頭では理解していたのに
口ではそれを理解できていなかった。
だからなのかなんだったのか
「なんで音駒がいいの?」
と、さらに追い詰めた。
それと同時に気付いたことがある。
それは、自分でも怖いくらいに嫉妬で
自分がおかしくなっていったということ。
怖がっていて少し泣いている
○○の姿を見て罪悪感が
じんわりとなにかを蝕んでいく。
赤葦「○○っ…」
焦りでどうにもならなくてとりあえず名前を呼んだ。
『、ごめん』
それでもやっぱり○○の口からは
一番聞きたくない言葉が耳に入る。
○○の震えた声に
もうなんて言えばいいかわからなくなって
とにかく謝りの言葉を口にした。
赤葦「本当にごめん、怖がらせて」
少し間を開けて「大丈夫」と口にした○○は
すこしだけ震えていた。
赤葦「ならいいんだけど…」
口ではなんとでも言えるが、やっぱりどうしても
簡単に切り替えはできなくてあからさまに
悲しんでいるとわかる顔をしてしまう。
○○に気を使わせたくない、
『あ、もう授業始まるよ自分の席行って!』
そう思った直後に気を使わせるなんて。
”俺が”下手くそな笑顔を
貼り付けさせたという事実だけが
脳にこびりついて離れない。
普段、俺の前で笑わないくせにこういうときは笑うんだ。
そして、いつもみたいに俺のことを押したはずの
手の力がいつもよりも強い気がした。
_____
今日の生物の内容はどうしても頭に入って来なかった。
こんなにも自分が重かったとは。
そればかりが頭を支配していた。
○○side
目の前には今までに見たことのないくらいの
怖い顔で私を見る赤葦がいた。
『あ…』
その瞬間に悟った。
この発言をしてはいけなかったと。
いつも優しい顔で接してくれる赤葦に
こんなに怖い顔をさせてしまった。
そう頭で気付いたときには私は半泣きだった。
赤葦「○○っ…」
私が涙目になっているせいか
赤葦は慌てていて
『ごめん』
なんていう私に戸惑いの顔を向けた。
赤葦「本当にごめん、怖がらせて」
『ううん大丈夫だよ』
赤葦「ならいいんだけど…」
悲しげに瞳を揺らしている赤葦が視界に映る。
そんな赤葦の様子を見ていられなくて
『あ、もう授業始まるよ自分の席行って!』
ぐいぐいと赤葦の背中を押した。
赤葦のことを怖いと思ってしまった自分を否定したくて
すこし力んで押してしまったかもしれない。
赤葦「分かってるよ。じゃあ○○も足りない頭で頑張って」
『なっ、』
それでもいつものように
優しい顔で憎まれ口を叩く。
それだけで私は安心感を覚えた。
_____
そして珍しいことに
今日の生物はきちんと話を聞いて頑張れたような気がした。
・
赤葦side
○○が音駒のほうが良かった、と口走った。
友だちができなかった腹いせで
言ったのだろうと頭では理解していたのに
口ではそれを理解できていなかった。
だからなのかなんだったのか
「なんで音駒がいいの?」
と、さらに追い詰めた。
それと同時に気付いたことがある。
それは、自分でも怖いくらいに嫉妬で
自分がおかしくなっていったということ。
怖がっていて少し泣いている
○○の姿を見て罪悪感が
じんわりとなにかを蝕んでいく。
赤葦「○○っ…」
焦りでどうにもならなくてとりあえず名前を呼んだ。
『、ごめん』
それでもやっぱり○○の口からは
一番聞きたくない言葉が耳に入る。
○○の震えた声に
もうなんて言えばいいかわからなくなって
とにかく謝りの言葉を口にした。
赤葦「本当にごめん、怖がらせて」
少し間を開けて「大丈夫」と口にした○○は
すこしだけ震えていた。
赤葦「ならいいんだけど…」
口ではなんとでも言えるが、やっぱりどうしても
簡単に切り替えはできなくてあからさまに
悲しんでいるとわかる顔をしてしまう。
○○に気を使わせたくない、
『あ、もう授業始まるよ自分の席行って!』
そう思った直後に気を使わせるなんて。
”俺が”下手くそな笑顔を
貼り付けさせたという事実だけが
脳にこびりついて離れない。
普段、俺の前で笑わないくせにこういうときは笑うんだ。
そして、いつもみたいに俺のことを押したはずの
手の力がいつもよりも強い気がした。
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今日の生物の内容はどうしても頭に入って来なかった。
こんなにも自分が重かったとは。
そればかりが頭を支配していた。