ルート『ユーマ…、って、ヘアンナ様…？』

ユーマ『ルート…。』

こ、これはもしかして…。

私は察してしまった。私はユーマにベッドに押し倒されてる状況。何があったのかわからないルート様がこの状況を見たら、…どんなふうになるかわからない。

私が頭に思いつくのは『浮気』『炎上』の二つの単語だった。

ユーマは少し困惑していたのか、ルートにこう話した。

ユーマ『ル、ルート？な、なんでここに…？確か、今はバイオリンの練習をするんじゃ…？』

バイオリン？オーケストラでも好きなのか？と思った。お嬢様様だから、お嬢様らしいあたりまえのことをしないといけないのかなぁ。
それにお嬢様様が使うバイオリンって相当高いようだし、有意義な時間になりそう。

ルート『…、ユーマ様こそ一体何を。』

ユーマ『僕はヘアンナ様と少しお話を。ただ、ヘアンナ様が少しバランスを崩してしまったようで。』

いや崩してないですけど！？

そう心の中でツッコミをすると、ルート様は私に問いかけた。

ルート『…そうなんですか？私はユーマ様に押し倒されてるヘアンナ様を見ましたが…。どうなんですか？ヘアンナ様。』

どう返答しようか迷ったけれども…

一応[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]、悪役令嬢ですから〜！！！別に嘘ついても許されるこの世界で、[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]が行う行動はただ一つ！！悪役の振りをするだけですわ〜！！！…なんですけれども。

流石にこれは私の正義心が、「嘘をつくな」と言っているような気がした。まあこれはルート様にも重要だと思ったので、嘘をついちゃいけないという正義が、私の心の中を覆った。

ルート『…ヘアンナ様？』

ユーマ『[小文字][小文字][小文字][小文字]真実を言うな、ヘアンナ。[/小文字][/小文字][/小文字][/小文字]』


ヘアンナ『[下線]ユーマが私のこと押し倒してきたんですよ〜〜[/下線]』


ルート『えっ…』

ユーマ『！？』

言ってしまった〜！！という達成感を感じた。罪悪感を感じることがとにかく嫌いな私は、嘘をつくことなんか出来なかった。私は『[漢字]現実主義者[/漢字][ふりがな]リアリスト[/ふりがな]』だった。嘘をついたら、その後どうするかがわからないからだ。

ユーマ『…ち、違うんだルート。い、いや違うというか…。』

ルート『…そういうことだったんですね、ユーマ様。』

失望したのか、絶望したのか、ユーマの顔は青ざめていた。それどころか、体全身が震えている。どうやら恐怖で頭がいっぱいのようだ。

私はトドメを刺すかのように、このような言葉を言った。

ヘアンナ『おまけにルート様より私のこと好きとか言って、浮気してましたからね〜』

ルート『なんですって…！？』

ルート様は信じられない様子。ユーマはまだ絶望している。そんなところだが、ユーマは突然焦った様子で私にこう言った。

ユーマ『…ヘアンナ、悪いが俺と結婚してくれ。お願いだ！』

ヘアンナ『へ、あ、え？』

急にどうしたの！？と思いつつ、ユーマは最低なことをしたなと思った。