よくわからないけど、私はいわゆる今、「転生」をしてきたんだと思う。.......転生、ってことは、もちろん前世の記憶があるということ。

「かわいいねぇ」
「しかも賢いなんて」

周りの人間が何かを言っている。そんなことは気にせず...
まぁ....見かけだけだけど、ここは私の前世と同じで高貴な身分の家柄なんだろうなぁ.....。
そして、今泣きたいと思ってること。それは、もう人間に生まれたくなかったのに再度人間になってしまったこと。
ほんっとうに、心底悲しい。私が前世で得を積まなかったからこうなったの？........そうかもしれないなぁ。葉音とうまくつきあうことが結局できなかったんだから....

「ほーら、●●！」
すると、ひょいっ、と誰かに抱き上げられた。
「かわいい！俺の世界一の妹！」
あ...。このひと、私のお兄ちゃんなんだな。
「もうご飯だから、みんなのとこ行こっか！」
もうご飯....？早いなぁ。相変わらずうん、とかはい、とか返事をできないことが悲しくなる。せっかく自分に話しかけてくれてるのに答えられないのは、さすがに前世の記憶があったら悲しい。

「こーく。●●をそこに座らせてくれる？」
こーく、と呼ばれたお兄ちゃんは、はーい、と返事をして私を赤ちゃん用の椅子に座らせた。
すると、私のお父さんが、マイクに向かって話し始めた。
「えー。今日は至急、パーティーに呼ばれたので、そちらで夕食を取ろうと思います。召使やメイドの皆さん。今日はゆっくりしてください、以上」
..........え？パーティー？ここでは当たり前なのだろうか。誰一人ざわざわとしない。
「[漢字]海瑠[/漢字][ふりがな]みる[/ふりがな]、こーく。行くぞ。こーくは●●も連れてこい。」

そして私はパーティー会場へ行くことになった。


「あ、[漢字]初屋[/漢字][ふりがな]はつや[/ふりがな]様方々！お忙しいところ我がパーティーに来ていただき、誠にありがとうございます。ささ、こちらへ」
会場に入場すると同時に私たちは執事っぽい人に話しかけられた。

「おぉ、初屋くん！久しぶりだなぁ」
「久しぶりだな、楠木。で.....？今日はどういった用で？」
「あぁ...それは[大文字]●●ちゃんの婚約者を紹介しようと思ってね[/大文字]」
は..........？これには、家族みんな呆然としていた。
「あぁ、うちにも最近、6つ子が生まれたのは知ってるだろう？その6人...まだ小さいが、紹介だけはしておこうと思ってな」
「............一度だけ、見ておくこととする。」
よかった、と満面の笑みを浮かべて、パーティーの主催者であろう人が大広間のマイクへと向かって声を上げた。

「●●様の婚約者候補を、発表いたします＿＿＿＿＿＿＿

私の候補、一体誰なのだろうか。