[明朝体]『はあ』
私の小さな溜め息は、心の中で木霊する。
私がいくら[漢字]アトランティス軍の中で[/漢字][ふりがな]他の奴らと違って[/ふりがな]アトランティス軍の中で有能だろうと、こう、何年も偵察活動を続けていたら、さすがにストレスが溜まってくる。

私は[漢字]武藤[/漢字][ふりがな]むとう[/ふりがな][漢字]志桜里[/漢字][ふりがな]しおり[/ふりがな]。又の名は、レオノール・ド・レーグル。

普段は流行に乗る普通の小学生として生活しているが、実際は、アトランティス帝国陸軍少年少女部隊『R.T.U』の諜報員、レオノール・ド・レーグル。

でも、何百年もアトランティスで生活していたからか、地上世界の、欲に塗れ堕落した人々との生活や穢れた空気には時々吐き気を催した。それでも地上での任務を続けられたのは、同僚のブルーノ・フェルナンデス・オチョア(通称ブルーノ)がいたおかげだ。ブルーノは、地上での任務も何事なく行えていたうえ、地上での生活でも、まるで生まれ故郷のグラングマイウアムニッハイセンでの暮らしてるかのような雰囲気が、彼を取り巻いていた。そしてかつて無限の旅に旅立った父の様な優しさも。

ブルーノの周りにはよく女子や彼を慕う男子が群がっているが、あれは軍の方でも見られる傾向だ。人柄もいいため、ああなってもおかしくはない。

でも、彼を好む女子や、地球の平和よりも自分の権力を大事にする政治家含め、地上人は一人気付いていない。

[大文字][太字]この堕落した地上人に終焉を齎す、大戦争の準備が始まっていることに…[/太字][/大文字][/明朝体]