運命の天秤
突然現れたサタナは、ゆっくりと口を開いた。
「サタン様からの伝言だ。グラン・グリモワールが行われるらしい」
グラン・グリモワール。皇帝サタン、君主ベルゼビュート、大公爵アスタロトの三柱と、アガリやサタナをはじめとする六柱で行われる会議のことだ。
「ほう、最後にあったのは半世紀も前であったな。だがそんなこと、ブエルに任せればいい話だろう。わざわざお前が出向かなくても」
大将という地位にいるサタナが伝令係の様に走り回っているなど、前代未聞だ。そういった仕事は配下や、眷属たちに任せることであって、本人が来ることはない。
「そうもいかなくなったのさ。何があったのか知らないけど、皆走り回ってる」
サタナとアガリは首をかしげた。
「全員で払ってるのか?余程のことでもあったんだろうな。何か無くなったとか?」
「案外いい線言ってるかもな。悪魔城の地下金庫に、何人か出入りしてたから」
アガリは側近たちを見た。
「悪いが俺は依頼の途中。というか終わりかけなんだが…」
サタナが側近たちを一瞥し、続きを促した。
「この体は対価として手に入れたものだ。が、悪魔城に入るには元の姿に戻らなくてはいけない。もったいないとは思わないか」
「所詮人間の身体だ。後のことはこいつらに任せればいい。国王は急死したとか、適当な理由でも言っておけばいいだろう」
なるほどな。とアガリは頷いた。「あとは任せた」側近たちに言い残し、姿を変える。金髪に青い目をした、知的な眼差しの青年へと。
「この姿は久しぶりだ」
アガリは手を握ったり開いたりして具合を確かめている。背中の翼を軽く動かし、細い尾を持ち上げた。
「これは…?」
側近たちは初めて見る悪魔の姿に驚きを隠せないでいた。足元には国王の身体が転がっている。
アガリはニヤリと笑って翼を広げた。
「サタン様からの伝言だ。グラン・グリモワールが行われるらしい」
グラン・グリモワール。皇帝サタン、君主ベルゼビュート、大公爵アスタロトの三柱と、アガリやサタナをはじめとする六柱で行われる会議のことだ。
「ほう、最後にあったのは半世紀も前であったな。だがそんなこと、ブエルに任せればいい話だろう。わざわざお前が出向かなくても」
大将という地位にいるサタナが伝令係の様に走り回っているなど、前代未聞だ。そういった仕事は配下や、眷属たちに任せることであって、本人が来ることはない。
「そうもいかなくなったのさ。何があったのか知らないけど、皆走り回ってる」
サタナとアガリは首をかしげた。
「全員で払ってるのか?余程のことでもあったんだろうな。何か無くなったとか?」
「案外いい線言ってるかもな。悪魔城の地下金庫に、何人か出入りしてたから」
アガリは側近たちを見た。
「悪いが俺は依頼の途中。というか終わりかけなんだが…」
サタナが側近たちを一瞥し、続きを促した。
「この体は対価として手に入れたものだ。が、悪魔城に入るには元の姿に戻らなくてはいけない。もったいないとは思わないか」
「所詮人間の身体だ。後のことはこいつらに任せればいい。国王は急死したとか、適当な理由でも言っておけばいいだろう」
なるほどな。とアガリは頷いた。「あとは任せた」側近たちに言い残し、姿を変える。金髪に青い目をした、知的な眼差しの青年へと。
「この姿は久しぶりだ」
アガリは手を握ったり開いたりして具合を確かめている。背中の翼を軽く動かし、細い尾を持ち上げた。
「これは…?」
側近たちは初めて見る悪魔の姿に驚きを隠せないでいた。足元には国王の身体が転がっている。
アガリはニヤリと笑って翼を広げた。
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