side なろ屋

僕には、ずっとずっと、自分の中で『特別』な人がいる。
「大丈夫？」
例えるなら...向日葵かなぁ。そんな笑顔を僕に向けたんだ。

そんな君に、僕は一瞬で恋をした。

2度目に出会った君は...前みたいに向日葵ではなかった。
...でも、眼鏡の奥から、隠しきれていない真の強い瞳が僕の視界にうつった。


今日の●●さんは、昔の●●さんだった。
「あ....。なろ屋さん、おはようございます。」
「かわいい〜っ！」
前に会ったときより、ずっとずっとかわいいんだけど！！思わず僕は●●さんに抱きついてしまった。
「あ、な、なろ屋さん、学校で抱きつかないでください...」
え〜、と僕は口をとがらせてしぶしぶはなれた。
どくん、どくん、と僕の鼓動がうるさく鳴り響く。
「お〜、なろっち。まだ昔の記憶は鮮明やねんなぁ、見ててわかるわ」
「しょ、翔くん。別にいいでしょ、まだ大好きなの！」
「なろ屋さんってわかりやすいよね」
「そ、そんなことないよ...多分。」
僕は、まぁわかってると思うんだけど、●●さんのことがこの世のなにより大好き。ほんとに好き。で....。奇遇だよね、僕の周りにいる友だちも●●さんのことが好きなんだよね。それでわざわざ●●さんと会うためにこの学校に転校してきた。みんなと。

「てか俺らは教室戻るな」
かもめんと翔くんとのきはそう言って、チャイムがなる数秒前に教室へ戻っていった。
「相変わらずだよね、あの3人。校舎別なのによくここまで来るよね」
「ほんとそれ。もうあと秒でチャイムなるのに今帰るとか、すごいよｗ」
ケラケラと二人して笑っていると、今度こそ本当にチャイムが校内に鳴り響いた。
「はーい、席つけー」
担任の野太い声が教室中に響き渡る。
出席取るぞ、と先生が言った。
....あ、今日は●●さんとよく一緒にいる目障りな友達はいないんだ。邪魔者が消えてラッキー。
するとそらちゃんがこそっと声をかけてきた。
「....なろ屋さん、萌愛さんが休みだからってテンション爆上がりしてるのバレバレですからね。」
「あはは、そらちゃんにはわかるか〜。」
適当に誤魔化したけど、本当にラッキーだと思ってる。だって、萌愛？とかいうやつがいたら●●さんと近づけない。なんのためにこの学校に転校してきたんだ、ってことになるし、ね。

僕にうつる君は、いつだってきれいなの...