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幼馴染のいる男バレで女子マネージャーを務めます!

#5

俺らがいるから

送信して気づく。
よく見れば、二人が連絡をくれたのは2日前──つまり、私は2日程寝ていたということか。私が返信をしてすぐ、ほぼ二人同時に既読がついた。

『クロ:今日部活終わったらお前んとこ行く。なんか買ってきてほしいものある?』

『じゃあ、甘いものなにか買ってきて』

『研磨:俺も部活終わったらクロと行く』

『ありがと。待ってるね』

最後に送信して、今更だが思うことがある──


暇だな。


もともと運動系ではなかったから、足が動かなくてどうのってわけでもない。ただ、自分の足で歩けない。それがどれだけ不自由か。
なにか暇つぶしのものはないかと、両親が持ってきてくれた入院生活セットの中をあさる。お、紙と鉛筆……イラストでも描くか。

無意識に鉛筆を動かして描けたのは、研磨とクロ、中学校時代の友達、両親………

ポロッ──


…あーもーまた泣いちゃった。ホント涙腺おかしくなってる。二人が来る前に泣き止まなきゃ──

カララッ

「!」

黒「まおっ…」

孤「…大丈夫…ではないよね」

「あぁ…久しぶり。来てくれてありがとっ…ズビッ」

びっっくりしたぁ〜……やばい、泣いてるとこ見られちゃった……なんて言おう

「あ~…これはなんか、あの、絵ぇ描いてたら泣けてきちゃった〜…みたいな?」

最後無理に笑ってしまったけど、おかしくなかっただろうか。あまりにも想定外なタイミングすぎて思考がうまくまとまらない。

黒「…そっか。今日な、夜久と海とあとリエーフも、お前の見舞いに来たいって言ってたんだが、まぁ一度に来るとあれだからまた今度にしてもらったよ」

孤「特にあのリエーフって子、泣きそうなくらい心配してたよ。早ければ明日にも来そうな勢いだった」

「…そっかぁ〜…ありがたいね、そんなに心配してくれる人がいるなんて」

その瞬間、私の右手に温もりを感じた。

「……まじで焦った……すごい心配した……」

え、クロ…?その声は震えていて、わたしの手を握って顔をベットにうずめていた。見れば研磨も、今にも泣きそうな表情だった。

「そうだよ……すごく心配したんだから」

グスッ…ズッ……
クロの泣き声なんて久々に聞いたな…いつしか試合に負けたとき以来。研磨のあの表情もレアものだな。………。

「あのね、二人に伝えたいことがあって…その、いい?」

「「……?」」

「……私、さ、……もう脚、動かせないの。……歩けないの」

黒「…は?」
孤「…へ」

あぁー言っちゃった…。こんな事言われてもなんて返事したらいいかわかんないよね。

黒「…え、それ、まじ?」

孤「…クロ。まおがこんな嘘、つくはずない…」

「…あぁー!いいのいいの!そんな暗くなんないで!不幸中の幸いというか、動かないのは脚だけ!手とかは大丈夫だし!なんとかやってけるよ!アハハ…」

……あれ、明るくなりすぎた?やば…

孤「…無理しなくて、いいんだよ」

黒「そうだ。俺らを頼れ」

…なんでそんな優しいの。普通ならこんなヤツめんどくさいとか、なんか、思うでしょ……

「…っありがと…」

その後はもうひたすら泣き続けた。
ホントはすごく辛かった。もう歩けないなんてどうかしてるって。これは夢なんじゃないかって。私は見放されたんだって……


そのあと、二人にはいろいろ説明した。
これは進行性の病気であること。私みたいな若い世代が急になるのは稀であること。もう治る見込みはほとんどないこと。これから約1ヶ月間、入院しなければならないこと……


「…てなわけで、暇を持て余してる。今」

黒「じゃあさ、毎日学校終わったらさ、俺らここにくるよ。いい?休日とかは予定あったら難しいけど」

孤「うん。この前まおがやりたいって言ってたゲーム持ってくる」

「…えっいいの?」

黒「もちろん。なんのための友達だよ笑」

孤「でも俺たちだけじゃなくて、他にうるさいのいっぱいついてくると思うけど」

「…!全然いいよ!めっちゃうれしい!ありがと!!」

黒「おーよ」

めっちゃ嬉しい…!まさかこんなに私のこと大切に思ってくれてるなんて…!あっでも……

「二人ともそろそろ暗くなってきたし、時間大丈夫?親御さん心配してるんじゃ…」

孤「あーほんとだ。連絡きてる…」

黒「…じゃー帰るとしますかー」

そう言って伸びをする二人に、頼みたいことがあった。
これだけはお願いしたいんだよなぁ〜……

「あのー…ちょっと、頼みがあるんだけど…」

「「?」」

「…もしよかったら寝る前に電話しない?そのー…夜の病院って怖いんだよ……」

黒「…ふはっ、いーよ、電話するわ」
孤「うん。3人でしよ」

「ありがとぉ〜!」

あぁ〜なんて良い幼馴染なんだっ!!優しさで私爆発しそう(?)

孤「じゃあ、またあとでね」
黒「じゃあな〜」

「うん、ありがとう」

カララッ…パタン

帰っちゃった~……。まぁでも後で電話するし、大丈夫大丈夫。…ふふっ。ほんと、二人の幼馴染でよかった~。







作者メッセージ

ごめんなさい!クロに甘いもの買ってきてって頼んどいてその後一切触れてませんね。気にしないでください。

2024/04/05 22:00

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