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幼馴染のいる男バレで女子マネージャーを務めます!

#4

病院にて

…………どこだ、ここ。…あぁ病院か。しかも個室の。

目が覚めて、その視界に写る景色でわかる。
無機質な天井。静寂な空間。右腕に複数さされている点滴。
……妙な孤独感。

そっか、あのあと私クロに運ばれて、それで…

カタタッ──

「!」

静かな病室に響くドアの開いた音。そこには見慣れた顔が二人──

「お母さん……お父さん……」

「まお…!目が覚めたのね、よかった…」
「あぁ、意識が戻ってよかった…」

……二人ともよかった、なんて言いながらあんまり嬉しくなさそう。…なにかあったのかな。

「あのね、まお…落ち着いて聞いてほしいんだけどっ…」

そう言うお母さんの瞳にはたくさんの涙が浮かんでいた。え?なに、なにがあったのお母さん。たしかに私倒れて、頭切っちゃって、それで……

そこでハッとする。……足、の感覚がない。……足はあるのにまるでないみたいな……まだ動かせない…

「あぁ、まお、ほんとにごめんなぁ、まおはもう……」

お父さん。お父さんまでどうしたの。そんな…こと…

「…まお、あなたもう、歩けないかもしれないのっ…」

そこまでお母さんが言いきって初めて、現状を把握する。
え?…歩けない?そんな……それじゃあこれからどうやって生活すれば…

「ごめん、ごめんなぁ……」

そのまま二人は泣き崩れた。…いや、待ってよ。なんで二人が泣くの。…泣きたいのはこっちだよ……

そう思うのに、涙は出てこなくて。うまく整理ができない。
どうして私が?なんで急に?歩けないなんて、そんな……
どうしてどうしてどうしてどうして───
 

しばらくして私は診療室に連れて行かれた。
歩けるはずもないので車椅子で。さっきまでは信じられなかったけど、動かない足を見ていると、それが事実を裏付けている気がしてならなかった。押してもらうのもなんだか申し訳なくて、移動する間はずっと無言だった。

「えー…、お子さんの病気は本当に稀なケースでして、本来であれば高齢者を対象に発症されることが多いです。ですが今回のように、若い年代、加えて急性のものは非常に珍しいです。なので──…」

医者の淡々と説明する声が多く聞こえる。
もう何を言っているのかわからない。稀?急性?
誰でもいいから助けてよ……

「──お子さんは生まれつき体が弱かったそうですね。この病気は免疫力などと大きく関わります。ですので、おそらく原因はそれだと思われます。」

あー……そっか、私、昔は体弱かったんだっけ。最近は元気だったからなー……

「この病気は進行性です。簡単に言えば、もう治ることはほとんどない、お子さんの場合は下半身から上半身へと筋力が衰えていきます」

えーまじか。でもリハビリとかしなくていいのか。それは楽だからラッキーだなー……なんて。ほんとに。なんで。

「──ですので、しばらくは入院生活を勧めますね。」

「入院ってどれくらいでしょうか…?」

「そうですね…人によりますが最低でも一ヶ月程ですかね」

「はぁ…、分かりました」

すべての話を終えたようで、またあの病室へと戻る。

「……ごめんお母さん、お父さん、ちょっと一人にさせて」

そう言って私はなんとか腕で車椅子を押して部屋へ戻った。
そのとき、ふと自分のスマホが目に入った。親切に棚の上に置いてある。……誰かから連絡来てたりするかな。

──カチッ

『クロ:ごめん、そっち行けなくて。救急車乗れるのは先生だけだった。体調少しは良くなったか?落ち着いたらまた連絡してくれ』

『研磨:大丈夫?ホントは一緒についてきたかったんだけど、無理だった。また連絡するね』

ポロポロ──、っあれ、なんでまた、泣いてるんだろ……
……優しいなぁ二人は。いつもと変わらない接し方なのに今の私にはやけに暖かく感じる。…二人になんて送ろう。

数分間悩み込んでやっと打てて、送信ボタンを押した。



『二人とも、ありがとう。また今度いろいろ話すね』

作者メッセージ

一応クロもスマホ持ってて3人のグループで連絡取ってるって設定です。

2024/04/05 18:26

YOMOGI ID:≫9pKhUcv7mVfMI
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