ガチャ
「いってきまーす！」
「いってらっしゃい！」
毎日朝起きて、ご飯を食べて、学校に向かう。彼女のそんな"アタリマエ"の日々は、そう長くは続かなかった。
「今日は彼氏とカラオケだっけ───」
[大文字]「危ない！」[/大文字]
「？」
右を見ると眩しい光とトラックの影が見えた───





















…思い出したよ。全部。ここは日本じゃない、異世界だ！ついさっきのが"前世の"私の最期の記憶。転生したんだ。じゃあ今世は？乙女ゲーム『星に輝く君を愛でたい』の主人公兼ヒロイン『マリア・サマセット』侯爵令嬢───の幼少期。3歳くらいかな？鏡の前に立っている。肩まで届く黒髪。ピンク色の瞳。同色のドレスを着ている。残念ながら私は悪役令嬢『ハバラナ・ヴィラ・ステラ』伯爵令嬢推し。こっちじゃないな…少し残念。ってあれ？ヴィラちゃんは…破滅だ！マリアがどの対象キャラを選んでもヴィラちゃんは追放・婚約破棄・死亡のどれか。プレイしてた時にはどうやっても避けられなくて泣いてたっけ。…でも今は違う。そのゲームが現実となった今、ヴィラちゃんの悪役回避を私がアシストしない他ない！絶対にヴィラちゃんを私が幸せにしてみせる！
「おー！」
私、マリア・サマセット。3歳。ヒロインを降りて、悪役令嬢に"ナリカワリ"してみせる！私は片手を振り上げた！