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黄金色の記憶

#3

3. 活字に埋もれる

ペンキが禿げて剥き出しになった木材、「如月書房」と書かれた錆だらけの看板、若干汚れた磨りガラスの引き戸。
昔懐かしい昭和の店と言えば聞こえは良いが、手入れは行き届いていないのでボロ屋の印象が勝ってしまう…………

そんな潰れそうな古本屋の引き戸を開けると、本とカビの匂いが鼻につく。
店内を見渡しても相変わらずお客さんは見渡らず、ガランとしているのでこななんで営業続いているのかと、思ってしまうのは毎回のこと。


「[漢字]瀛[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]さん、生きてる〜?」


挨拶すっ飛ばしてこんなのが第一声でいいのかと、思うかもしれないけどこれが挨拶みたいなものだ。


「生きてるけど、死にそー」


ヤバいじゃん、なんて思いながらパタパタとカウンターまで走って、更に奥にあるバックヤード[漢字]擬[/漢字][ふりがな]もどき[/ふりがな]に突入すると、崩れ落ちた本の山があった。
そして本の隙間からは人間の手が伸びている。


「あれほど整理しろって言ったじゃないですか。これで18回目ですよ」
「めんご。それより智世ちゃん助けて……死にそう」


声がほんとに死にそうだったので、仕方なく本の山をどかしていく。
ポイポイと、本を分類しながら埋まっている人を助け出す作業にはもう慣れた。いや、できれば慣れたくなかったんだけど……

そうして救命作業に勤しみ、本の山に埋まっていた人を助け出す。


「いやー、智世ちゃんありがとう!おかげで生きれたよ!」
「いえいえドウイタシマシテ。次はしっかり片付けをして本が崩れて埋まることがない様にしてくださいねっ!」
「善処します……」


埋もれていた人……[漢字]如月[/漢字][ふりがな]きさらぎ[/ふりがな][漢字]瀛[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]さんはこの「如月書房」の店主で、見ての通り愉快な人だ。

作者メッセージ

あんまり字数にこだわらない方がポンポン書けて良いですね。
書き方こっちの方にしようかな……

2024/04/30 23:03

白鯨 ID:≫972W/z4G4BVy6
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