メイド『…本当によろしいのですか…？』

ヘアンナ『ええ、遠慮なく持ってきて頂戴。甘い考えは不要ですわ。』

メイド『…かしこまりました。では、早速お持ちいたしますね。』

私が何を持ってこいと言ったのか、それはきっと今にわかる。

メイド『どうぞ。”学問の参考書”です。』

ヘアンナ『感謝しますの。』

そう、私はこの生活が非常に暇で窮屈だった。私が転生する前は、学生だったので日々の勉強が大切だった。
だが、ヘアンナ様の部屋には、本や勉強道具、辞書に教科書すらなかった。恐らく勉強するのが苦手だったのかもしれない。

メイドがこんなに私の頼み事を不審に思っているということは、図星ね。

確かにお嬢様が勉強って、ヒロインがやりそうなことだ。わざわざ悪役令嬢がそんなことするのであろうか。
まあ知識をつけた方が、悪役をもっとこなせるのに。

私はクラスでは成績はいい方だった。
そのせいで、私はもっと嫌がらせを受けることになる。

親には褒められた、先生にも褒められた、たったそれだけのことだ。
クラスメイトは、私に一切褒めない。
…いや、期待しない方がよかったんだろう。

誰も私を見てはいなかったから。

メイド『いきなり学問を…、一体どうしてですか？』

私は唐突にメイドに質問された。誤魔化すのが面倒なので、私は正直に答えた。

ヘアンナ『暇で窮屈だから…。』

メイド『でもいつものお嬢様は、この時間にお散歩や睡眠などをしておりますが…。』

メイド『学問はごく稀に行うだけだったのに…。暇で窮屈という理由はお嬢様らしくないですね。』

やはり無茶苦茶だったわね。
でもヘアンナが勉強しないのは本当だった。

私は勉強を進めた。もちろん知らないことも出てくるが、参考書にいろいろ書いてある。わかりやすいし、ためになる。

問題もあったため、私はスラスラと解き始めた。メイドはその様子を不思議そうに見届ける。

ヘアンナ様、あなたがこの体に戻ったとしたら、きっと勉強したお話はメイドの口から出るでしょうね…。

そしてメイドが何かを確認して、私にこう言った。

メイド『ヘアンナ様、お手紙が届きました。宛先は、…ユーマ様からです。』

私は一瞬聴き間違えたのかと思った。まさかあのユーマが私に手紙を送ってくれるだなんて。いや、あの事件があったからこそ謎。

私と結婚したいというのか、それとも、やはりお付き合いから？恋愛経験がない私に、そういうあまりお願いされたことがない頼み事はしないでほしいと思った。

メイド『あの…、先に読んでおきましょうか？お嬢様に害があるか心配なので。』

私もその手紙の内容がどんなのかあまり想像しにくい。少し怖かったので、私は先にメイドに読ませることにした。

ヘアンナ『一応先にざっと読んでおいて頂戴。』

メイド『承知しました。では中身を拝見させていただきます。』

メイドは手紙の封を開けた。メイドは少し心配そうに手紙を取り出す。そして手紙の内容をメイドは読み始めた。

メイドはだんだん不思議そうな顔になって、私に話しかけた。

メイド『…至って普通の手紙ですが…。』

ヘアンナ『わかったわ。じゃあ読むわね。』

私はメイドから手紙を受け取った。

私はその手紙の内容を読んだ。

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[下線]ヘアンナへ。[/下線]

[下線]今度、僕の国でパーティーを開くことになった。[/下線]

[下線]僕はヘアンナをご招待します。[/下線]

[下線]パーティーの会場に来た時は、この手紙を僕の国の騎士にお見せくださいませ。[/下線]

[下線]会場「パーティーホール」[/下線]

[下線]時間「PM8:00から」[/下線]

[下線]ユーマより。[/下線]