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ブラックコーヒーに砂糖を添えて。

#4

砂糖とレモン No.3

🤍side


💜「八尋!」


あの約束を交わした場所である時計台で


ずっと泣いていた私の耳には、


今いちばん会いたくて会いたくない人の


声が飛び込んできた。


泣いていたことがバレないように、


服の裾で目を擦ってから振り向く。


🤍「どうしたの……?」


すると莉九の目が、かすかに見開かれた気がした。


泣いてたのバレちゃったかな。


💜「……っあのさ」


🤍「…うん」


💜「今更って思うかもだけど、


   俺、酷いことしてた」


🤍「…………」


💜「小2の時、ここで約束したよね」


🤍「…!」


💜「あの約束、俺……っ


   守れてないよね……、


   六花と付き合って、


   八尋のこと見てなかった。


   幼馴染なのに」


🤍「……うん」


💜「本当に申し訳なく思ってた、


   八尋、ごめん」


🤍「覚えてて……くれてたんだ?」


💜「…もちろんだよ、幼馴染だからね」


あの時に聞いた、懐かしい一言。


変わってないなぁ……


…莉九らしいね。


🤍「ありがと、覚えてくれてて」


💜「当たり前じゃん」


🤍「……私さ」


💜「……俺さ」


2人が同時に話し出そうとした。


莉九の話が聞きたかったから、譲った。


🤍「良いよ、先」


💜「ありがと、俺さ、


   八尋からのLINE、ずっと無視してた。


   なんて返せば良いのか分かんなくて…


   六花もいたし、変な返し方して嫌われたら嫌で…」


なんて優しい人なんだろう。


普通は彼女のことを優先するはずなのに、


私に嫌われることを恐れていたんだ。


莉九の頭の隅には、


ちゃんと私もいたんだね。


──────────────────


💜side


八尋に思っていたことを話せた。


八尋から送られてくるLINEのこと、


本当に何て返せば良いのか分かんなかった。


幼馴染に嫌われるなんて、


辛いでしょ。


八尋からのLINEを無視してた罪悪感、


嫌われるのが怖いことからの恐怖。


弱々しくて頼りない言葉だったけど、


ちゃんと思ってたこと話せた。


そして、八尋の顔を見る。


…………泣かないでよ。


八尋は今、何を思ってるの?


何を想っているの?


ねぇ八尋、


八尋の涙なんて見たくないよ。


あまりにも透明で、


触れたら溶けて消えちゃいそうな涙。


見てるこっちも悲しくなる。


──────────────────


🤍side


気づいたら涙が溢れてた。


目の前に見えるのは、


大好きな人の、心配そうな顔。


それも、だんだんとぼやけていく。


🤍「莉九……」


💜「うん」


🤍「莉九は優しいね、


   小さい頃から変わってない。


   そういうところが大好きだよ」


莉九の目が見開いて、顔が赤くなって……、


へにゃあって笑顔になった。


🤍「……LINE、困らせちゃってたよね、


   ごめんね、気遣いできなくて……」


💜「全然いいよ」


そう言って、LINEの私とのトーク画面を見せてくれた。


💜「こういうところ、変わってないよね。


  ……小1の頃かな?その時の俺と八尋、


   両想いだったよね」

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

ブラックコーヒーに砂糖を添えて。/ 砂糖とレモン No.3 by 七雨

2024/04/28 11:35

七雨 ID:≫.p.lt/LbR.hS.
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