幼馴染のいる男バレで女子マネージャーを務めます!
…………どこだ、ここ。…あぁ病院か。しかも個室の。
目が覚めて、その視界に写る景色でわかる。
無機質な天井。静寂な空間。右腕に複数さされている点滴。
……妙な孤独感。
そっか、あのあと私クロに運ばれて、それで…
カタタッ──
「!」
静かな病室に響くドアの開いた音。そこには見慣れた顔が二人──
「お母さん……お父さん……」
「まお…!目が覚めたのね、よかった…」
「あぁ、意識が戻ってよかった…」
……二人ともよかった、なんて言いながらあんまり嬉しくなさそう。…なにかあったのかな。
「あのね、まお…落ち着いて聞いてほしいんだけどっ…」
そう言うお母さんの瞳にはたくさんの涙が浮かんでいた。え?なに、なにがあったのお母さん。たしかに私倒れて、頭切っちゃって、それで……
そこでハッとする。……足、の感覚がない。……足はあるのにまるでないみたいな……まだ動かせない…
「あぁ、まお、ほんとにごめんなぁ、まおはもう……」
お父さん。お父さんまでどうしたの。そんな…こと…
「…まお、あなたもう、歩けないかもしれないのっ…」
そこまでお母さんが言いきって初めて、現状を把握する。
え?…歩けない?そんな……それじゃあこれからどうやって生活すれば…
「ごめん、ごめんなぁ……」
そのまま二人は泣き崩れた。…いや、待ってよ。なんで二人が泣くの。…泣きたいのはこっちだよ……
そう思うのに、涙は出てこなくて。うまく整理ができない。
どうして私が?なんで急に?歩けないなんて、そんな……
どうしてどうしてどうしてどうして───
しばらくして私は診療室に連れて行かれた。
歩けるはずもないので車椅子で。さっきまでは信じられなかったけど、動かない足を見ていると、それが事実を裏付けている気がしてならなかった。押してもらうのもなんだか申し訳なくて、移動する間はずっと無言だった。
「えー…、お子さんの病気は本当に稀なケースでして、本来であれば高齢者を対象に発症されることが多いです。ですが今回のように、若い年代、加えて急性のものは非常に珍しいです。なので──…」
医者の淡々と説明する声が多く聞こえる。
もう何を言っているのかわからない。稀?急性?
誰でもいいから助けてよ……
「──お子さんは生まれつき体が弱かったそうですね。この病気は免疫力などと大きく関わります。ですので、おそらく原因はそれだと思われます。」
あー……そっか、私、昔は体弱かったんだっけ。最近は元気だったからなー……
「この病気は進行性です。簡単に言えば、もう治ることはほとんどない、お子さんの場合は下半身から上半身へと筋力が衰えていきます」
えーまじか。でもリハビリとかしなくていいのか。それは楽だからラッキーだなー……なんて。ほんとに。なんで。
「──ですので、しばらくは入院生活を勧めますね。」
「入院ってどれくらいでしょうか…?」
「そうですね…人によりますが最低でも一ヶ月程ですかね」
「はぁ…、分かりました」
すべての話を終えたようで、またあの病室へと戻る。
「……ごめんお母さん、お父さん、ちょっと一人にさせて」
そう言って私はなんとか腕で車椅子を押して部屋へ戻った。
そのとき、ふと自分のスマホが目に入った。親切に棚の上に置いてある。……誰かから連絡来てたりするかな。
──カチッ
『クロ:ごめん、そっち行けなくて。救急車乗れるのは先生だけだった。体調少しは良くなったか?落ち着いたらまた連絡してくれ』
『研磨:大丈夫?ホントは一緒についてきたかったんだけど、無理だった。また連絡するね』
ポロポロ──、っあれ、なんでまた、泣いてるんだろ……
……優しいなぁ二人は。いつもと変わらない接し方なのに今の私にはやけに暖かく感じる。…二人になんて送ろう。
数分間悩み込んでやっと打てて、送信ボタンを押した。
『二人とも、ありがとう。また今度いろいろ話すね』
目が覚めて、その視界に写る景色でわかる。
無機質な天井。静寂な空間。右腕に複数さされている点滴。
……妙な孤独感。
そっか、あのあと私クロに運ばれて、それで…
カタタッ──
「!」
静かな病室に響くドアの開いた音。そこには見慣れた顔が二人──
「お母さん……お父さん……」
「まお…!目が覚めたのね、よかった…」
「あぁ、意識が戻ってよかった…」
……二人ともよかった、なんて言いながらあんまり嬉しくなさそう。…なにかあったのかな。
「あのね、まお…落ち着いて聞いてほしいんだけどっ…」
そう言うお母さんの瞳にはたくさんの涙が浮かんでいた。え?なに、なにがあったのお母さん。たしかに私倒れて、頭切っちゃって、それで……
そこでハッとする。……足、の感覚がない。……足はあるのにまるでないみたいな……まだ動かせない…
「あぁ、まお、ほんとにごめんなぁ、まおはもう……」
お父さん。お父さんまでどうしたの。そんな…こと…
「…まお、あなたもう、歩けないかもしれないのっ…」
そこまでお母さんが言いきって初めて、現状を把握する。
え?…歩けない?そんな……それじゃあこれからどうやって生活すれば…
「ごめん、ごめんなぁ……」
そのまま二人は泣き崩れた。…いや、待ってよ。なんで二人が泣くの。…泣きたいのはこっちだよ……
そう思うのに、涙は出てこなくて。うまく整理ができない。
どうして私が?なんで急に?歩けないなんて、そんな……
どうしてどうしてどうしてどうして───
しばらくして私は診療室に連れて行かれた。
歩けるはずもないので車椅子で。さっきまでは信じられなかったけど、動かない足を見ていると、それが事実を裏付けている気がしてならなかった。押してもらうのもなんだか申し訳なくて、移動する間はずっと無言だった。
「えー…、お子さんの病気は本当に稀なケースでして、本来であれば高齢者を対象に発症されることが多いです。ですが今回のように、若い年代、加えて急性のものは非常に珍しいです。なので──…」
医者の淡々と説明する声が多く聞こえる。
もう何を言っているのかわからない。稀?急性?
誰でもいいから助けてよ……
「──お子さんは生まれつき体が弱かったそうですね。この病気は免疫力などと大きく関わります。ですので、おそらく原因はそれだと思われます。」
あー……そっか、私、昔は体弱かったんだっけ。最近は元気だったからなー……
「この病気は進行性です。簡単に言えば、もう治ることはほとんどない、お子さんの場合は下半身から上半身へと筋力が衰えていきます」
えーまじか。でもリハビリとかしなくていいのか。それは楽だからラッキーだなー……なんて。ほんとに。なんで。
「──ですので、しばらくは入院生活を勧めますね。」
「入院ってどれくらいでしょうか…?」
「そうですね…人によりますが最低でも一ヶ月程ですかね」
「はぁ…、分かりました」
すべての話を終えたようで、またあの病室へと戻る。
「……ごめんお母さん、お父さん、ちょっと一人にさせて」
そう言って私はなんとか腕で車椅子を押して部屋へ戻った。
そのとき、ふと自分のスマホが目に入った。親切に棚の上に置いてある。……誰かから連絡来てたりするかな。
──カチッ
『クロ:ごめん、そっち行けなくて。救急車乗れるのは先生だけだった。体調少しは良くなったか?落ち着いたらまた連絡してくれ』
『研磨:大丈夫?ホントは一緒についてきたかったんだけど、無理だった。また連絡するね』
ポロポロ──、っあれ、なんでまた、泣いてるんだろ……
……優しいなぁ二人は。いつもと変わらない接し方なのに今の私にはやけに暖かく感じる。…二人になんて送ろう。
数分間悩み込んでやっと打てて、送信ボタンを押した。
『二人とも、ありがとう。また今度いろいろ話すね』
このボタンは廃止予定です