運命の天秤
アドニア王国は新たな危機に面していた。
多額の借金を負い、税を引き上げ、民衆の生活は苦しくなるばかり。見かねた者たちは、早いうちから国を移っていった。
「国王、このままでは…」
「我は敵国の侵略を阻止した。ほかに頼みがあるなら対価を差し出せ」
国のために自らの命をかける者はいなかった。悪魔は久しぶりの身体を楽しみ、些細なことにいちいち驚いていた。
だが、悪魔は遊びにふけっていたばかりではない。
(人間とは欲の塊だ。我はこの愚かな者たちを滅さなければいけない)
悪魔が国王の身体を意のままに動かせるようになった頃。悪魔は人間としての振る舞いを一通り身に着けた。
「国王、そろそろ民衆の暴動がおこります…対応を…」
「はあ⤵」
「これだから人間は苦手なのだ」
「何かおっしゃいましたか?」
悪魔は何でもないと手を振った。
(まあ、その人間がいなければ私たちの存在意義がなくなってしまうのか…)
悪魔たちは世界中に散らばり、人間の欲望に付け込んでいる。彼らが仕えているのは”サタン”という名の悪魔だ。サタンは天から堕ち、悪魔となった堕天使で、悪魔の総元締めをしている。
「よお、久しぶりだな。アガリアレプト」
どこからともなく聞こえてくる声に、側近は身を震わせた。アガリアレプトと呼ばれる悪魔(国王の姿をした)は、ゆっくりと口を開く。
「サタナキア、か?」
「ピンポーン」と、間の抜けた音が鳴る。途端に濃紺のコートに身を包んだ男が姿を現した。灰色の髪と、同じ色の瞳。誰が見ても美しいと思う顔立ち。
「元気か?最近見なかったから」
「私は元気だ。いついかなる時でも」
この[漢字]二柱[/漢字][ふりがな]ふたり[/ふりがな]は、サタンの忠実な配下であり、人間でいう友人のような仲だった。お互い、「”サタナ”」「”アガリ”」と呼び合っている。
「早く本題に入れ」
アガリは足を踏みかえ、問いかける。サタナは肩をすくめ、口を開いた。
「サタン様からの伝言だー」
多額の借金を負い、税を引き上げ、民衆の生活は苦しくなるばかり。見かねた者たちは、早いうちから国を移っていった。
「国王、このままでは…」
「我は敵国の侵略を阻止した。ほかに頼みがあるなら対価を差し出せ」
国のために自らの命をかける者はいなかった。悪魔は久しぶりの身体を楽しみ、些細なことにいちいち驚いていた。
だが、悪魔は遊びにふけっていたばかりではない。
(人間とは欲の塊だ。我はこの愚かな者たちを滅さなければいけない)
悪魔が国王の身体を意のままに動かせるようになった頃。悪魔は人間としての振る舞いを一通り身に着けた。
「国王、そろそろ民衆の暴動がおこります…対応を…」
「はあ⤵」
「これだから人間は苦手なのだ」
「何かおっしゃいましたか?」
悪魔は何でもないと手を振った。
(まあ、その人間がいなければ私たちの存在意義がなくなってしまうのか…)
悪魔たちは世界中に散らばり、人間の欲望に付け込んでいる。彼らが仕えているのは”サタン”という名の悪魔だ。サタンは天から堕ち、悪魔となった堕天使で、悪魔の総元締めをしている。
「よお、久しぶりだな。アガリアレプト」
どこからともなく聞こえてくる声に、側近は身を震わせた。アガリアレプトと呼ばれる悪魔(国王の姿をした)は、ゆっくりと口を開く。
「サタナキア、か?」
「ピンポーン」と、間の抜けた音が鳴る。途端に濃紺のコートに身を包んだ男が姿を現した。灰色の髪と、同じ色の瞳。誰が見ても美しいと思う顔立ち。
「元気か?最近見なかったから」
「私は元気だ。いついかなる時でも」
この[漢字]二柱[/漢字][ふりがな]ふたり[/ふりがな]は、サタンの忠実な配下であり、人間でいう友人のような仲だった。お互い、「”サタナ”」「”アガリ”」と呼び合っている。
「早く本題に入れ」
アガリは足を踏みかえ、問いかける。サタナは肩をすくめ、口を開いた。
「サタン様からの伝言だー」
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