「グネシ様、あの子の様子はいかがでしょう。」
「…今日、初めて力が本物だと気づいたようだ。」
マントを被った2人の男が、暗くて小さい部屋の中で話をしている。
「イシック…お前は、あの子にいつ詳しいことを伝えるべきだと思う？」
「私は……私は、もう少し様子を見てからでも良いかと。きっと今伝えてしまうと、あの子も更に混乱してしまうのではないでしょうか、。」
イシックと呼ばれた男は、おそるおそるというようにそう言った。
「そうだな…お前の言う通りだ、もう少し様子を見よう。」
「もう一つ聞きたいことがあります。」
「なんだ？」
「伝えるときは、またあの子の夢に入るのでしょうか。」
「そうだな…そうすれば、あの子の心の声も聞こえる。…前回はそれで、ミスをしてしまったがな。すまない。」
その言葉を聞くと、もう1人の男はとても慌てた様子を見せた。
「グ、グネシ様…！召使いの私なんかに謝罪だなんて、おやめください！困ります…。」
「そうか。それならいい。次から気をつけるようにする。」
「はい。それと、伝えに行くときは私も一緒に夢に入るのですよね？私も心の声に反応しないよう気をつけます。」
「ああ。」
心の声…夢の中に入る…… 現実世界の人間の会話ではなさそうなものが飛び交っている。
「…もうすぐあの子が目を覚ます時間だ。私は再び観察を続ける。夢の中に入るとき、また呼び出す。よろしく頼む。」
「承知しました。では。」
男たちは、その瞬間扉や窓が一つもない部屋の中からいなくなっていたーーー