目の前に広がる和式の豪邸は僕にとってデカすぎた。一般庶民の僕が入ってはいけないようなそんな唯ならぬ雰囲気が漂っていた。
「さっさと入って。もうみんな集まってると思うし。」
彼女がきつい言葉で僕に言う。すると佐七さんが後ろから話しかけてきた。
「いいね。クーデレでいいねぇ」
「後ろから囁かないでください。気色悪い。」
「君もかな？」
佐七さんはよく言えば独特な感性をお持ちな方だ。あまり関わらない方が身のためかもしれない。
　僕は中に入ると居間まで案内された。そこには既に六人が待っていた。
「やあ君が噂の幸仁くんかな？」
金髪のチャラそうな男性が話しかけてきた。
「あ、はい。」
「昨日のことについては知っているよ。うちの妹が迷惑をかけた。まあ、このことについては口外しないでほしくてさ。そのためにもまずは俺たちのことを知る必要があるね。」
淡々と喋る彼はイメージよりも大人に見えた。
「まずは自己紹介から行こうか。俺は[漢字]狐坂楽一[/漢字][ふりがな]こさからくいち[/ふりがな]。長男で大学3年生。そして…」
「[漢字]狐坂花二[/漢字][ふりがな]こさかはなに[/ふりがな]でーす。あたしのチャンネル登録よろしくお願いしまーす。」
桃色のツインテールの子が楽一さんの次に言った。
「[漢字]狐坂夏三[/漢字][ふりがな]こさかなつみ[/ふりがな]。次女で大学1年生。あとで女子としてちゃんとあなたと話をしないといけないからね。」
金髪とまではいかないが黄色のポニーテールをしている女子が言った。
「[漢字]武四[/漢字][ふりがな]たけし[/ふりがな]、高３。よろ。」
チンピラみたいな赤髪のやつが言った。
「[漢字]空五[/漢字][ふりがな]くうご[/ふりがな]だ。アニメ界についてなら語り合おうじゃないか。高2だ。」
メガネをかけた一見ガリ勉そうな黒髪の人が言った。
「[漢字]無六[/漢字][ふりがな]むろく[/ふりがな]。同じく高2。よろしく。」
銀髪の眠そうにしている人が言った。
「佐七だ。って知ってるよな？一応君とは同い年。」
佐七さんが一応自己紹介をした。
「ってあれ？翠姉は？飛ばして私の番でいいの？」
狐坂さんが戸惑ってしまった。
「まあ待ってても帰ってこなそうだし、もう初九が言っていいよ。」
楽一さんが子供を見守るような兄目線に言った。
「知ってると思うけど、狐坂初九。」
「翠姉とはどなたなんですか？」
「翠姉ってのは、[漢字]狐坂翠八[/漢字][ふりがな]こさかすいは[/ふりがな]のこと。同い年だけど一応お姉ちゃんだから翠姉って呼んでる。ふわふわしてる緑髪の子。」
想像してみるとなぜか緑色のたんぽぽの綿毛しか思いつかなかった。
「これら九人が私たち、狐坂一家よ。」
狐坂さんが自慢げに言った。
「え？ご両親は？」
僕がそういうと、急に九人全員が黙り込んでしまった。僕は何かいけないことを聞いたのだろうか？