学校の教室に入ると、純白の大賢者様の話が話題に上がっていた。その一方で、今後の日程の話も含まれていた。

そう、それは、私が今一番恐れていることだった。

ヒューイ『もうすぐ[下線]ランク調査[/下線]の時期だね、アリス。』

[中央寄せ]Name『ヒューイ・アルカネット』[/中央寄せ]
[中央寄せ]別名「漆黒の大賢者」[/中央寄せ]
[中央寄せ]Rank『Cランク』[/中央寄せ]

アリス『あ、あ、はは…』

そう、ランク調査のことだった。

ランク調査は、今までのランクが上昇か減少か、それとも現状維持かの勝負で、今までの成績、実技テストの評価を加え、実技の試験を実施する。３つの点からランクを調査し、
次の学年になった時にランク調査の結果が返ってくる。その結果でランクは決まる。

ヒューイは今３年生だ。私は今年入ってきたので１年生。この学校は最大１０学年まである。最低３年までは学校に通わなければならない。つまり義務教育な訳だ。他の学校じゃ、８学年が平均なのだが、この学校は１０学年…。流石はマンモス校だと感じる。

ヒューイ『ああ、そういえばZランクおめで…』

アリス『ここで祝うんじゃないわよヒューイ！私にとっては不愉快だし、ここは教室よ？聞かれたら私の第二の人生終了だわ。』

人生終了…は、言いすぎたか？と思うと、ヒューイから想定外の言葉は発された。

ヒューイ『でも、君はそろそろ学校を休学しないと、大変な時期になるんじゃないか？』

私は、はっとした。純白の大賢者になると、世界を冒険し、人々を助け、守る。…そんな仕事をしていかないといけない。このまま学校にずっと滞在している場合、仕事がこなせないではないか。

それに、もう私はZランクだ。バレるのにも時間の問題。私の名前は既に数多くのメディアが記事や新聞に掲載している。『アリス・ファーレイト』は純白の大賢者様であり、Zランクということは、もう広範囲に広まっているだろう。

私の偽の名前は『アリス・フェリアルト』、名前が似ていて、疑いをかけられるのでは？と思った。幸い、私の顔はあまり公開されておらず、顔で身バレはないと思われる。

ヒューイが分厚い書を机に広げると、書の書いてある文章に指を差した。

ヒューイ『これを見て。前回のランク調査の結果さ。』

私は、ヒューイが指差した場所の文章を読み上げた。

アリス『Sランク一名…。いや誰だよ！』

ヒューイ『フワリ・プレットパレイだ。』

アリス『えっ、フワリ！？』

フワリは私と親友で、前まで共にSランクとして日々過ごしていた仲間だ。まさかフワリがこの学校に通っていたなんて…。信じられなかった。

ヒューイ『フワリ・プレットパレイは、６年で学校を卒業。平均より低い卒業だね。これでSランクは流石だと思わないか？』

アリス『まあ、フワリは強いから。私、この子と親友よ？何度も会ったことがあるから、強さぐらい気配諸々でわかる。』

ヒューイ『やはり知っていたんだね。今日はフワリ・プレットパレイがBランクに特別授業を行うようだが…。』

全然知らなかったよ！？と心の中でツッコんだ。けれどBかぁ。と思ってしまうほどフワリの授業を受けたかった。

先代まで仲良くなかった、純白の大賢者と漆黒の大賢者の対立関係は、既に無くなっており、密かに仲良くしているのであった。このことは、メディアにも報道されていない。

私はまだ朝食を食べていなかったため、焼きそばパンを魔法で生み出して、爆速で食べ、ヒューイとの会話を楽しんだ。