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黄金色の記憶

#4


瀛さんとの出会いは三年前(4歳のとき)。
私が初めてのお散歩で迷子になったときに助けて貰ったのがきっかけで、意外とご近所ということもあり、定期的に顔を見て、生死確認をしにいく仲になった。
どんな仲だよってツッコミなはない。


「瀛さん、お勧めの本は?」
「う〜ん色々あるけど、××社出版の『イタリアンマフィアの頂点』と『ハッキングを防ごう!〜初心の為の最初のレッスン〜』……かな」
「相変わらずセンスがとんがってるね。まぁ、読むけど」


だってこの人のお勧めって全部面白いし。
なぜかマフィアとかIT関係の本が多いけど、悔しいことに全部面白いんだよぉぉぉ!!
前世じゃ絶対読まないような本だからなんだか真新しくて更に面白いし……

そうこうしてる内に一冊目の本は読み終わり、時計は四時半を回っていた。


「あっ、そろそろ帰らないと」


うちの門限は5時までなのでそろそろ帰らないとダメだな……


「瀛さ〜ん、私帰るね〜」
「もうそんな時間か。はい、また俺の生存確認係頼むよ」
「えっ、嫌だよ」


軽口を叩きつつ「如月書房」を後にする。
にしても、『イタリアマフィアの頂点』は面白かったなぁ……また明日読ませてもらう。

そう思いながら帰路を歩いて、家の前に来て……異変に気がついた。


平凡な一般家庭の我が家には似合わない外国製の高級車……多分だけどリムジン(しかも黒塗り)が家の前に泊まっている。

なんでこの家に……?
お金持ちの知り合いなんて居たっけ?お母さんの実家は普通の家だし、お母さん自体専業主婦だからお金持ちと知り合う機会なんて無いはず……

可能性は滅多に家に帰ってこないお父さんの知り合いか。

でもあの人、世界中の交通整備とか南極に石油掘りに行くとかって、出鱈目な仕事してたし、いまいち信用できない。
いや、でも石油関係だったらリムジン使うお金持ちとかと知り合う可能性あるしな……

ええい!悩んでいるばかりじゃ仕方ない!
突撃じゃぁぁ!!!


「ただいま!!」
「おかえりー」


キッチンからお母さんの声が聞こえた。
ここまではいつも通り。だけど……

見慣れない男性物の皮靴一つと、ボロッとした安全靴が一つ。
確実に誰か来ている。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

ライト版にも連載していたことをすっかり忘れていました……すいません。

2024/05/15 18:54

白鯨 ID:≫972W/z4G4BVy6
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