黄金色の記憶
「ちょっと、そこのお若い方」
ふわふわーっと、宇宙のような空間を漂いながら上昇していたら金色の雲が集まるサービスエリア的な場所で呼び止められた。
あたりを見渡しても歳を重ねたご年配の方々ばかりで「お若い」と言える人はあまり居ない。
私はギリギリ二十代なので一応若者の範囲なんだろうが、ぶっちゃけ自分から「若者です!」と言いのは躊躇われる。だって、否定されたら絶対立ち直れない自信があるので。
「そこの黒髪の人よ」
あたりを見渡しても皆さん見事に白髪。黒髪は私しか居ない。
じゃあ……私???
「えぇっと、私ですか…?」
「そうよ、貴女しかいないもの」
わぁ、29歳って若者なんだぁ〜っていう謎の安心感に包まれながら私は声を掛けて来た初老の女性に目を向ける。
女性は白髪混じりの茶髪を三つ編みにして流した何処にでもいそうな人だけど、引き込まれそうな程澄んだ黄金色の瞳が印象的な人。
「あなたはコレから大変な目に遭うと思う」
いやもう、遭ってます。
と、喉から出て来そうだったけど余りにも哀れなものを見る目で見て来たので困惑して言葉が出なかった。
初対面の人に死に様以外で哀れまれる要素は特にない筈なんだけどなぁ……そんあ視線を向けているのにも関わらず、女性は話を続ける。
「多分、貴女が体験した以上に大変な目にあうし、滅茶苦茶な人にも、貴女の元カレ以上にぶっ飛んだ人にも会うと思うわ」
元カレ以上にぶっ飛んだ人とは?
というか、なんでこの人が私の元カレの存在を知ってるのだろうか。
でも、ここ私の記憶が正しければ死後の世界的なところだろうし、もしかしてこの人は神様的な人で私を空から見ていた……的なやつなのかもしれない。
「でもね、大丈夫よ」
元カレ以上にぶっ飛んだ人に出会って大丈夫ってことはあまり無いと思うんだけど。
それでも大丈夫だと言うこの女性に、ほおけてしまう。
「貴女は大丈夫」
根拠のない「大丈夫」は、私がまだワンワン泣きじゃくってた頃によくお母さんが言ってくれた言葉で、とても懐かしい。
「取り敢えず、大丈夫だから____________________
行ってらっしゃい」
「エ°」
女性が言い終わると、謎の浮遊感が無くなり、風を切る音がした。
早い話、真っ逆様に落ちている。
「えっ、待って待って!!」
何か掴むものを反射的に探して女性が座っていた雲を掴むが、霧みたいに掴めたい。
いや、掴んだ感覚はあるんだけどなんかするってすり抜ける。
それでも落ちるのを何とかしようと、本能的にカスッカスの雲を掴もうとする。
「結構諦めが悪いのね……でも、嫌いじゃ無いわ!」
そんな声がして、パッと上を見上げると大きな扇を携えたさっきの女性がいた。
そして、そのまま扇をばっと勢いよく降って風を起こすと、風圧で私が落ちる速さが上がっていく。
いや、ほんとに何??
扇で私が落ちるぐらいの風を起こすって何???
疑問を消化できないまま、今度こそ真っ逆様に落ちていった。
[大文字]「オンギャァァァァァァァ」[/大文字]
「おめでとうございます! 元気な女の子です!!」
そして、生まれ落ちた。
ふわふわーっと、宇宙のような空間を漂いながら上昇していたら金色の雲が集まるサービスエリア的な場所で呼び止められた。
あたりを見渡しても歳を重ねたご年配の方々ばかりで「お若い」と言える人はあまり居ない。
私はギリギリ二十代なので一応若者の範囲なんだろうが、ぶっちゃけ自分から「若者です!」と言いのは躊躇われる。だって、否定されたら絶対立ち直れない自信があるので。
「そこの黒髪の人よ」
あたりを見渡しても皆さん見事に白髪。黒髪は私しか居ない。
じゃあ……私???
「えぇっと、私ですか…?」
「そうよ、貴女しかいないもの」
わぁ、29歳って若者なんだぁ〜っていう謎の安心感に包まれながら私は声を掛けて来た初老の女性に目を向ける。
女性は白髪混じりの茶髪を三つ編みにして流した何処にでもいそうな人だけど、引き込まれそうな程澄んだ黄金色の瞳が印象的な人。
「あなたはコレから大変な目に遭うと思う」
いやもう、遭ってます。
と、喉から出て来そうだったけど余りにも哀れなものを見る目で見て来たので困惑して言葉が出なかった。
初対面の人に死に様以外で哀れまれる要素は特にない筈なんだけどなぁ……そんあ視線を向けているのにも関わらず、女性は話を続ける。
「多分、貴女が体験した以上に大変な目にあうし、滅茶苦茶な人にも、貴女の元カレ以上にぶっ飛んだ人にも会うと思うわ」
元カレ以上にぶっ飛んだ人とは?
というか、なんでこの人が私の元カレの存在を知ってるのだろうか。
でも、ここ私の記憶が正しければ死後の世界的なところだろうし、もしかしてこの人は神様的な人で私を空から見ていた……的なやつなのかもしれない。
「でもね、大丈夫よ」
元カレ以上にぶっ飛んだ人に出会って大丈夫ってことはあまり無いと思うんだけど。
それでも大丈夫だと言うこの女性に、ほおけてしまう。
「貴女は大丈夫」
根拠のない「大丈夫」は、私がまだワンワン泣きじゃくってた頃によくお母さんが言ってくれた言葉で、とても懐かしい。
「取り敢えず、大丈夫だから____________________
行ってらっしゃい」
「エ°」
女性が言い終わると、謎の浮遊感が無くなり、風を切る音がした。
早い話、真っ逆様に落ちている。
「えっ、待って待って!!」
何か掴むものを反射的に探して女性が座っていた雲を掴むが、霧みたいに掴めたい。
いや、掴んだ感覚はあるんだけどなんかするってすり抜ける。
それでも落ちるのを何とかしようと、本能的にカスッカスの雲を掴もうとする。
「結構諦めが悪いのね……でも、嫌いじゃ無いわ!」
そんな声がして、パッと上を見上げると大きな扇を携えたさっきの女性がいた。
そして、そのまま扇をばっと勢いよく降って風を起こすと、風圧で私が落ちる速さが上がっていく。
いや、ほんとに何??
扇で私が落ちるぐらいの風を起こすって何???
疑問を消化できないまま、今度こそ真っ逆様に落ちていった。
[大文字]「オンギャァァァァァァァ」[/大文字]
「おめでとうございます! 元気な女の子です!!」
そして、生まれ落ちた。
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