二次創作
霧が晴れるまで。
[太字][中央寄せ]【 ●● Side 】[/中央寄せ][/太字]
ジタンって人は本当に優しい…。
森の中で現れたあの異形の生物。
アレはきっと、私の世界には存在しない…。
サラサラの金髪、意志の強さを表した真っ直ぐな瞳。
そして、揺れ動く尻尾…。
…普通の人は尻尾なんて付いてない………。
だけど、この船に乗ってる人を見て私は理解した。
言葉が通じないだけじゃ無い、此処は地球上の何処にも存在しない『 異世界 』というものなんだと。
そんな見ず知らずの私を助けてくれた。
言葉が通じなくて驚いただろうに、それでも嫌な顔1つせずジェスチャーで会話しようとしてくれた。
上手く 『 有難う。 』だけでも伝えられたのかな…。
借りている部屋で微かに聞こえるお芝居のセリフを耳にしながら、私は思った。
────── アレクサンドリア姫の誘拐…。
それこそが劇団タンタラス…ううん、盗賊団タンタラスの真の目的だった。
その途中で寄った森でジタンは、私を見つけたのだと言う。
今、ジタンとブランクはお芝居の途中で城に忍び込み、今頃ガーネット姫を誘拐してるとこだろう…。
まだ、短い期間とはいえ、タンタラスの人達は、私に良くしてくれた。
本当に盗賊団なんだろうかと思うくらいに、皆んな良い人だった…。
決して 『 誘拐 』というものが、世間的に犯罪に分類するモノだったとしても、
彼等が利益目的の犯罪をするだろうか…?
何か理由があるんじゃ…。
そう思ってしまうがやはり考えが止まらない…。
「 早く、帰って来ないかな…。 」
ふと寂しさを感じてしまう。
この世界で初めて会ったのも、助けてくれたのもジタン。
まるで雛が初めて見たものを親と勘違いするかのように、落ち着かない自分に溜息を吐く。
異性にはあんな嫌な思いして来たのに…。
こんなに優してくれる男の人は初めてだった…。
従兄弟の事を思い出すと怒りで拳を握り締めた…。
「 ダメ、あんな男の事を思い出しても仕方がないでしょ…。 」
そして、ちらっと扉へ視線を向けると自然に足が動いた。
「 廊下からなら、もう少し声も聞こえるかな…? 」
ゆっくりとドアを開けて廊下を進み、貨物室へ入る。
劇場は、この真上だから機関室まで行けば、
さいあく声も聞こえるだろうと出てきた扉を後ろ手で閉めようとした。
『 ルビィ ! 細かい話は後だ ‼︎ 』
『 あのコは、誰やのん ? 』
「 ──── ジタン…? 」
ふと扉の奥から、自 ジタンとルビィの言い争う声が聞こえる。
だが、扉から入ってき来たのは、白いフードを被った女の子だった。
「 っ‼︎ 」
「 ぁ………。 」
女の子は、私に気付くと、すかさず私の背後へ隠れる。
一体何事だろうと肩越しに振り返ると女の子の顔が少し見えた。
私とは、似ても似つかぬ艶やかな黒色の髪。
大きな黒の瞳は長い睫毛に縁どられ、肌は白く、きめ細かい。
女であれば誰しもが嫉妬してしまうほどに綺麗な子…。
それだけを見て、ボスの言葉を思い出した。