二次創作
霧が晴れるまで。
[太字][中央寄せ]【 No Side 】[/中央寄せ][/太字]
鳥が消えて辺りは一気に静かになる。
今のは一体何だったのか…。
それさえも皆が分からず硬直していると、先に動いたのはスタイナーだった。
「 姫様〜 っ ! 」
「 そ、そうだ 。 ●● ! ガーネット ! 」
ジタンがその声を聞いて我に返ると、先を駆けるスタイナーの跡を追いかけた。
魔物が死んだからか、蔦は 2人をを解放し●●は地面に座り込み、
ガーネットは倒れ込んでいた。
スタイナーが真っ先にガーネットを抱き起こすと、ブランクから薬を受け取る。
意識は無いが、口から出る声にホッと胸を撫で下ろした。
「 姫様っ 、 さぁこの薬を飲んで下され ‼︎ 」
「 うっ…、ん…。 」
スタイナーがガーネットの体を支えながら口元に薬の入った瓶を受け取ると、少しずつ飲ませていく。
キチンと飲んでるのを横目で確認しつつ、
ジタンは●●の真正面に片膝を付くと肩に触れた。
「 ●●… ? 」
前髪に隠れて良く見えないが、放心状態なのか声を掛けても返事は無い。
先程の謎の力が関係しているのか…、それとも目を開けたまま失神しているのか…。
ジタンは肩を掴む力を強め、もう1度名前を呼んだ。
「 オイッ ‼︎ ●● ! 」
「 っ ⁉︎ は、… ハイッ ‼︎! 」
その声に気付いて●●が慌てて返事をする。
そしてジタンが近くにいる事に気付いて、マジマジと見つめると涙腺が緩み始めた。
「 ジ…ジタン…っ 、 っ… 。 」
緊張の糸が解れ、涙がポロポロと溢れ出す。
ジタンは、そっと●●の背中を撫でてやった。
「 よしよし、もう大丈夫だ。 」
まるで幼児を慰める様にジタンは優しく声を掛ける。
冷えた身体を暖める様に抱き締めてやると己の足にパラパラと何かが落ちて来た。
不思議に思い、少しだけ体を離し、視線を下に落とす。
己の膝や足元に転がる 7色 の丸い宝石 のみたいなモノが自分と●●の間に散乱していた。
ジタンはゆっくりと顔を上げて、目の前で涙を流す少女を見つめる。
髪のせいで良くは見えないが、涙も徐々に止まり少しずつ落ち着きを取り戻し始めている。
「 ( ……… まさか …、な… ) 」
美しい女神の涙は、宝石となって生まれ変わるという話を聞いた事がある。
泣いてる女の子の足元に偶々この森の鉱石が混じっただけだろう…。
「 ●●、薬だ。 あの魔物に種を埋め込まれた可能性もあるし、念の為飲んでくれるか ? 」
「 へ… ? う、うん 分かった。 」
ジタンが取り出した薬を素直に受け取ると、●●は、一気に飲み込む。
薬だけあってか、味は良いものでは無い。
かなり不味い。
「 ぅ…、うぇ……。 」
「 だ、大丈夫… ? 」
心配してビビが声を掛けると、顔を顰めていた●●も薬から顔を上げて、ビビを見た。
幼いながら必死に魔物と戦っていた姿を思い出す。
「 ありがと…、君も怪我とかして無い ? 」
「 うん…、大丈夫、僕 ●●お姉ちゃんに助けてもらったから。 」
「 私… ? 」
「 うん、飛空艇で…僕も一緒に逃がそうとしてくれたから…。 」
確かにコーネリアがガーネットだと知らされたあの時、
●●はビビも一緒に逃がそうと手を伸ばした。
●●の脳裏にその時の事が鮮明に蘇ると、ビビは帽子をしっかりと被り直して顔を俯かせる。
「 あの時…、お姫様だってバラす事になったの…僕のせいなのに…」
「 そんな事無いぜ、ビビ。 それにお前が居なくても結局同じ事になってたかもしれないさ。
ビビが1人で悩む事じゃ無い。 」
原因は、あの魔法かもしれないが、あの時スタイナーがいた時点で全て無事に終わったと言い切れない。
偶然は必然にもなる。
ビビが「 でも…。 」と呟く姿を見て、●●はビビの小さな手をギュッと握った。
「 君の名前は ? 」
「 え、ビ…ビビ … 。 」
「 そっか、ビビ、助けてくれて ありがとう。 」
ハッキリと●●がお礼を口にすると、ビビは少し照れたように顔を伏せた。
そんなビビが可愛くて●●は自然と笑みを溢し、それからブランクへと視線を向ける。
「 気にするなって。 元々助けに行くって聞かなかったのはジタンのヤツだからよ。 」
「 え ? 」
「 ガーネット姫と●●を助けるって言ってボスと対決して、
盗賊団を飛び出して行ったんだからな。 」
「 ブランク ‼︎ 」
腕を組んでニヤニヤと語るブランクに●●は、目を丸くした。
ジタンは、自分がタンタラスを抜けた事をバラされて声を上げる。
「 …そうだ。 仲間を見捨てるなんて出来る訳が無い。
それに、●●はオレが面倒を見るって決めたんだからな。 」
ジタンが当然の如く言う。
●●は、そんなジタンをただジッと見つめてから視線を落とす。
そして一呼吸。
「 ジタン…、ありがとう ! 」
「 …あぁ ! 」
改めて礼を言われるとジタンも一瞬止まるも、すぐに頷く。
久々に見れたような気がする●●の笑顔に、心から安心した気がした。