二次創作
〇〇しようね、芥川くん
ご飯を終えて、私は座り込む芥川くんの手を取った。芥川くんの手は青白くて細い。とっても可愛らしいけれど、細すぎて心配になってしまう。お風呂に入ったときだってそう、全身細くって、もっとご飯食べてほしいなぁって思う。
却説、この時間は芥川くんと過ごす時間の中でも、特に大切だ。芥川くんとその日のことをお話して、時には芥川くんの過去にも触れて、芥川くんの心に開く傷口を優しく宥めてあげる。
「私、今日は仕事がとっても忙しかったよ。上司が厳しい人でね、なかなか書類のOK出してくれないの」
芥川くんは返事をしない。ただときどきこくんこくんと頷く。その動作も可愛くて、私は握った手をすりすり撫でながら話を進める。
「芥川くんはどう?今日は何があった?」
「…僕は」
芥川くんはそこでやっと口を開いた。私は自分の話を少ししたら、すぐに芥川くんに話を振ることにしている。芥川くんの感じたことや思ったことを、少しでも多く聞きたいのだ。最初の頃は口を開けば手を離せだの家から出せだの、終いには殺せなんて叫んできたけれど、近頃はすっかり大人しい。それに、少しずつ話してくれるようになった。
「…今日は、窓の外で鳥が鳴いていた」
「へぇ、すてき!なんの鳥?」
芥川くんの口からこぼれた言葉がどんなささやかなことでも、私はできる限り誠意を込めて話すよう心がける。もっと芥川くんに心を開いてほしいのだ。
「…種類までは、分からぬ。僕には学がない故」
「そう…あ、そうだ!明日図鑑を買ってくるから、2人で何の鳥か探し当てようよ」
いいアイデアだと思った。だけど芥川くんは顔を俯けて、
「…要らぬ。そこまでの興味はない」
とすげなく返した。そう、そうなの。私は芥川くんのために提案したのに。
生意気。
「…芥川くんって本当に捻くれてるのね」
私がそう言ったら、芥川くんは弾かれたように顔を上げた。その顔には恐怖が色濃く現れている。
どうしてそんな顔するの。他でもない私の前で。
「きっとそんなだから、太宰さんに捨てられるのね」
芥川くんがひゅっと息を飲む音がした。
芥川くんから聞いた、太宰さんという人のこと。芥川くんは彼にひどく心酔しているらしい。けれど彼は、芥川くんを見捨てたそうだ。
「太宰さんってひどい人、可哀想、可哀想な芥川くん」
私はそっと芥川くんの身体を抱いて囁いた。慕う人から捨てられる、生意気で可哀想な芥川くん。
「あなたのそういう生意気なところが、太宰さんは気に入らなかったんじゃない?ねぇ、そうでしょう」
「…っ…やめろ…」
「どうして?私は芥川くんを慰めようとしてるの。芥川くんの生意気なところを直そうとしてあげてるの」
「…そんなことをしても、あの人は僕の元には戻らぬ…っ」
芥川くんの声が震えている。泣いているの。可哀想に。
「そう、その通り、でもいいじゃない。芥川くんは私が大切に、大切にしてあげてるんだから」
涙が落ちた跡をなぞるように芥川くんの頬に触れた。芥川くんは私を睨みつけると、私の腕を振り払って頭を抱え、うずくまった。
「やめろ、もう何も言うな、僕をどうしたいのだ…」
ぐす、ぐす、と嗚咽が漏れている。こんなことで泣いちゃうのね。弱い子。可哀想。私が守ってあげなくちゃ。
「泣かないで、私が悪かった、ごめんなさい。もう今日はお話はやめにして、お風呂に入ろうね」
私はそう言って、芥川くんを起こした。芥川くんの涙に濡れた瞳に、私だけが確かに映るのを見て、とても満足した。
却説、この時間は芥川くんと過ごす時間の中でも、特に大切だ。芥川くんとその日のことをお話して、時には芥川くんの過去にも触れて、芥川くんの心に開く傷口を優しく宥めてあげる。
「私、今日は仕事がとっても忙しかったよ。上司が厳しい人でね、なかなか書類のOK出してくれないの」
芥川くんは返事をしない。ただときどきこくんこくんと頷く。その動作も可愛くて、私は握った手をすりすり撫でながら話を進める。
「芥川くんはどう?今日は何があった?」
「…僕は」
芥川くんはそこでやっと口を開いた。私は自分の話を少ししたら、すぐに芥川くんに話を振ることにしている。芥川くんの感じたことや思ったことを、少しでも多く聞きたいのだ。最初の頃は口を開けば手を離せだの家から出せだの、終いには殺せなんて叫んできたけれど、近頃はすっかり大人しい。それに、少しずつ話してくれるようになった。
「…今日は、窓の外で鳥が鳴いていた」
「へぇ、すてき!なんの鳥?」
芥川くんの口からこぼれた言葉がどんなささやかなことでも、私はできる限り誠意を込めて話すよう心がける。もっと芥川くんに心を開いてほしいのだ。
「…種類までは、分からぬ。僕には学がない故」
「そう…あ、そうだ!明日図鑑を買ってくるから、2人で何の鳥か探し当てようよ」
いいアイデアだと思った。だけど芥川くんは顔を俯けて、
「…要らぬ。そこまでの興味はない」
とすげなく返した。そう、そうなの。私は芥川くんのために提案したのに。
生意気。
「…芥川くんって本当に捻くれてるのね」
私がそう言ったら、芥川くんは弾かれたように顔を上げた。その顔には恐怖が色濃く現れている。
どうしてそんな顔するの。他でもない私の前で。
「きっとそんなだから、太宰さんに捨てられるのね」
芥川くんがひゅっと息を飲む音がした。
芥川くんから聞いた、太宰さんという人のこと。芥川くんは彼にひどく心酔しているらしい。けれど彼は、芥川くんを見捨てたそうだ。
「太宰さんってひどい人、可哀想、可哀想な芥川くん」
私はそっと芥川くんの身体を抱いて囁いた。慕う人から捨てられる、生意気で可哀想な芥川くん。
「あなたのそういう生意気なところが、太宰さんは気に入らなかったんじゃない?ねぇ、そうでしょう」
「…っ…やめろ…」
「どうして?私は芥川くんを慰めようとしてるの。芥川くんの生意気なところを直そうとしてあげてるの」
「…そんなことをしても、あの人は僕の元には戻らぬ…っ」
芥川くんの声が震えている。泣いているの。可哀想に。
「そう、その通り、でもいいじゃない。芥川くんは私が大切に、大切にしてあげてるんだから」
涙が落ちた跡をなぞるように芥川くんの頬に触れた。芥川くんは私を睨みつけると、私の腕を振り払って頭を抱え、うずくまった。
「やめろ、もう何も言うな、僕をどうしたいのだ…」
ぐす、ぐす、と嗚咽が漏れている。こんなことで泣いちゃうのね。弱い子。可哀想。私が守ってあげなくちゃ。
「泣かないで、私が悪かった、ごめんなさい。もう今日はお話はやめにして、お風呂に入ろうね」
私はそう言って、芥川くんを起こした。芥川くんの涙に濡れた瞳に、私だけが確かに映るのを見て、とても満足した。