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色がない世界で

#49


麗香視点
がくがくと不安定な脚で瑞希らしき人のもとへ駆け寄る。
試しに手を触ってみた。
冷たくて、人の手じゃないように感じた。
そして、白い布に手をかけた。
めくると
麗「ッ…」
綺麗な顔立ちをした、瑞希がいた。
本当に瑞希だったのだ。
見間違いなんかじゃない。
彼は…目の前にいる人は、完全に瑞希だ。
[明朝体]もう、涙はあふれてこなかった。[/明朝体]
湊さんは、どこを見ているのかわからないほどぼーっとしていた。
彼も、瑞希に狂わされた被害者なのだろう。
私も、お父さんも、お母さんも、全員。
彼に狂われたのだ。
心も体も、全部。
全部、狂った結果。
[太字]全部壊れた。[/太字]
もうどうでもいい。
もう全部どうでもいい。
なんでみんなおいて逝っちゃうの。
私も一緒に連れて逝ってよ。
私を独りにしないでよ。
いろんな感情が交差していく。
愛と、憎悪と、苦しさと、辛さと。
私ばっかり心をかき乱されて。
二人とも、素直じゃないからなんも辛いこと言ってくれなかったじゃん。
リーダーだって、なんも気にしてないふりして
あの小さい体で全部の責任を背負って。
瑞希は、全部巻き込んで全部自分のせいにして…。
[下線]私は、ずっとなにもできてないよ。[/下線]
私も、死んじゃえばいいのかな。
あ、そっか。
そうだよね。
私もそっちに逝けばいいんだよね。
だったら君たちに会えるもんね。
辛い現実のことも忘れよう。
そうして私は病院を飛び出した。

どこか遠くに逃げよう。
誰も追いかけてこないところまで。
現実が襲ってこないところまで。
ただただ必死に走った。
私が選んだ場所は真冬の海。
昔から海が好きだった。
あの時はたまに海に行ったりしてたっけ。
もう一度戻れるなら。
あの時に戻りたい。

[下線]麗「みんなごめんね、大好き。」[/下線]

そうして足から海の中に入っていった。
冬だから、すごく冷たくて居ても立っても居られないけれど。
でも、自然となんだか苦しくなかった。
今からこんなつらい現実から逃げられるのだから。
さよなら。
もう二度と戻らないあの日々を思い出しながら、海に沈んでいった。




このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

あと2話くらいで完結の予定でございます…(私の見立てがただしければ)
ご愛読ください。

2024/11/23 01:16

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