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色がない世界で

#44


[太字]__裁判日当日。[/太字]

湊視点
俺は少し緊張していた。
ただの監視官だったから、ちゃんとした法廷に来たことはなかったから。
それと、死に物狂いでつくった書類に間違いがないか、だ。
5回ほど書類を見たが、それでも心配で変な汗をかいてしまう。
湊「ふぅ…大丈夫。俺は説明するだけ。」
とはいってもやっぱり体は正直で、額に汗が浮き出てきた。
湊「…。」
そんな時、ぼんやりと瑞希との会話を思い出していた。
そう、実は昨日瑞希と軽く会話をしたのだ。

[斜体]昨日_____。[/斜体]
湊「明日が裁判の日だけど、どうだ?気分は?」
瑞「特に何も~。…しいていうなら、ちょっと楽しみ?」
湊「なんでだよ。」
瑞「だって俺普通じゃないし。湊が言ったんじゃん、お前はイカれてるって。」
確かにちょっと前に言ったけどさ…。
湊「んで、なんで?」
瑞「だって、俺もしかしたら死ねるかもじゃん?」
へへっ、と笑いながら物騒なことを言う彼。
でも俺の感覚も麻痺してしまったのか、自然となにも思わなくなった。
[下線]そういう人間だから。[/下線]
湊「はぁ…俺、お前の書類死に物狂いで書いたんだからな。感謝しろよ。」
瑞「俺のこと下げるような書類書いてくれた?」
湊「は?んなわけないだろ。」
瑞「こっちがは?なんですけど。俺のこと殺してくれないの?」
湊「…俺は死刑執行人じゃないから無理だな。」
瑞「ちぇっ、つまんねーの。…ま、いっか。最悪死ななくても自殺したらいっか。」
湊「はぁ…。」

湊「…ほんとあいつおかしいな。」
まぁ、仕方ないんだが。
そんなことを考えていたら裁判が始まるころだった。
湊「そろそろだ…。」
さらに気を引き締め、席に座っていると
?「あの…。」
急に隣に座っている人に話しかけた。
見ると、瑞希の姉の麗香だった。
麗「瑞希の書類書いていただいた方ですよね…?」
湊「えぇ…まぁ…そうですね。」
麗「…私は、瑞希を救いたいです。元々の彼に戻したいんです。…今はおかしいかもしれないけど、元々はいい子で優しくて思いやりがあるんです。」
それはわかってる。
ただ自分のことを犠牲にして、全部自分で持っていこうとする。
湊「それは見てたらなんとなくわかりますよ。…だけど、彼は自分のことを極限まで犠牲にして、全部持っていこうとするタイプですよ。その特性は昔からなのでは?」
麗「えぇ…昔からそういうタイプです。」
湊「…自分、監視官になる前は心理学者になろうと思っていたんです。だから人の心理はよくわかるんです。」
湊「多分…あいつが変わることはほとんどないですよ。あの状態で普通の人間のようになったら、死んでもいいって言えるくらい。」
湊「それくらい、あいつはやつれてるんです。…あいつと会って数週間しか経ってない俺が言えるんです。麗香さんなら、もっとわかってあげれるんじゃないですか?」
麗「…そうですね。」
こんなこと思いたくないけれど。
あいつはどんどん追い込まれている気がする。
ああやって気楽そうにふるまってるけど、どんどん自分を失って、どんどん自分を追い込んで、どんどん自分で自分をじわじわ殺してる気がする。
[下線]まるで自分を苦しませるように。[/下線]
[下線]どんどん地獄に落ちていくように。[/下線]






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作者メッセージ

ねぇやばいって。
閲覧数伸びすぎだって。
死ぬ死ぬ
ほんとありがとうございます大好きです

2024/10/24 23:18

rary@ぼちぼち活動開始中 ID:≫.pW3N8u9QP9cU
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