「●●、ごめんねっ...！」
「今日から.....離れて暮らそうな...？」
突如として親に放たれたその言葉は、私の胸にトゲを与えた。
「はぁ.....？え、ど、どういうこと....？意味わかんないんだけど、、」

「その意味はすぐわかるよ、お嬢ちゃん」
どこからともなく、その低音のどす黒い声は聞こえてきた。
え....？このひと、何勝手に家に上がってんの...？
「そ、総長様....！こちら娘です...！」
「こちらで大丈夫でしょうか.....！」
は.....？お父さんに、お母さん、なに言ってるの...？
しかも、まるでこの人のことをもとから知っているような口調で話すし....
なにより、私を売り物扱いしているみたいで、嫌だ。
「ほう......。なるほどな。じゃあ、連れて帰らせてもらう。金は振り込んでおくから安心しろ。」
ありがとうございます、と両親は口をそろえて、言い、体を震わせ自室へ戻っていった。金....？何いってんの...
は.....？私とこの人を二人きりにさせてなにがしたいの...？
いったい、なんなの...？
「じゃあ、ついてきてくれ」
多分、ついていかなければひどいめにあう。私も、両親も。
とりあえず、私は一旦その人についていくことにした。

その人はもう家の配置をわかっているのだろうか。
迷いなく前へ進んでいる。そして、その人が玄関のドアを開けた。
「あっているな...？なろ、そら」
ん......？なろ、そら...？誰だ...？
「あ、あってるよ！ね、なろ屋さん」
「あってるあってる〜！」
「え......？」
あってる、ってなにが？
「てか....なろ屋さん、人のことよくみてるよね...」
「まぁ、観察とか追跡は得意だから」
2人が何かを喋っている。........ちょっと待って...
今なら、家に戻れるかも知れない。
そんな小さな希望を胸に抱き、玄関のドアを音を立てないよう、開けようとしたとき
「あ、逃げちゃだめ。」
..........まぁ予想はついてたけど....無理か...
グレーの人が私の腕をぐっとにぎっている。
「ごめんなさい...」
「謝ることじゃないよ。.....じゃ、行こ」
「え.....？」
どこに....？水色髪さんが応える。
「詳しいことは、車の中で話そっか」
水色髪さんが、まぁ多分高級であろう車を指差す。
あの車に、私が乗っていいのだろうか。

なにがなんだかよくわからなかったけど....
車の中で、全てを話されることになる。