天 使 の 病 に か か っ て も 。
「お、やっほー翼!」
10時。ファミレスに姿を現した私を見て彼女_駿河瑞希は声を上げる。
「ごめんね瑞希、待たせたかな」
「いーのいーの!さっき来たばっかりだから」
太陽さながらの笑顔を浮かべる瑞希は、実際とても明るい性格だ。
「翼、なんか頼もうよー」
瑞希が声をかけてくる。
私はそれを了承し、「瑞希は何にするの」と質問した。
「ん~僕はね、やっぱパフェかなー」
「瑞希はやっぱり甘いもの好きだよね~」
「甘いものは最強だよ~?あ、翼もいる?」
「ん~…じゃあそっちのミニ苺パフェにしようかな」
注文を済ませ、「あのさ」と瑞希がこちらに向かい合ってくる。
「何?」と反応すれば、その表情はさらに硬いものとなった。
「翼、ずっと気になってたことがあって…今聞いていい?」
「うん」
「あの、違ったらごめんね…」
ここまで瑞希が真剣に話をしようとするのは知り合って以来初めてだ。
「翼ってさ、」
「天使病、だったりしない?」
全身の血液が一気に冷えていくのが分かった。
心臓をひゅっと掴まれてしまったみたいに息がしづらくなる。
「ハァッ…へ…?わ、私が天使病…?」
「そんなわけ、ないじゃん、」
そう、ひきつった頬を無理に動かして笑顔を作り言うのが精一杯だった。
でも、瑞希は私を見据えたまま、言った。
「あのね、僕、見ちゃったんだよ」
「_翼の背に、羽が生えているの。」
見られていた。
うまく隠していたつもりだった。
嫌われたか。
「_ごめん」
確かにそう、瑞希は言った。
「…なんで瑞希が謝るの?」
そう聞かずにはいられなかった。
天使病になってしまったのは私の勝手。
瑞希は何も悪くないはずなのに、許しを乞う言葉を口にしたのだから。
「だって僕、今までずっと翼が苦しんでたのに気づけなかった」
瑞希の大きなカラメル色の瞳は、微かに涙を溜めていた。
「瑞希は何も悪くないよ、」
そう言いながら声が震えてしまったのは、私も泣きかけていたから。
「私…瑞希とっ…お別れなんて…したく、ない…」
「翼、泣かないで」
「…へ?」
「残された時間、どれだけあるのか分からないけどさ。僕と一緒に楽しもうよ。リミットが、来るまで。」
瑞希は言葉を続ける。
「僕、翼に会えて本当に良かったと思ってるんだ。僕はいつも翼に助けられてばっかだったし、楽しませてもらってばっかだった。だから、せめて最後ぐらいはさ。なんかさせてよ」
翼は、考えた。
瑞希をこのことに巻き込むのはいい判断なのか。
でも、それは一瞬だった。
私は、言った。
「じゃあ、死ぬまでにやりたいこと、一緒に考えてほしいな」
10時。ファミレスに姿を現した私を見て彼女_駿河瑞希は声を上げる。
「ごめんね瑞希、待たせたかな」
「いーのいーの!さっき来たばっかりだから」
太陽さながらの笑顔を浮かべる瑞希は、実際とても明るい性格だ。
「翼、なんか頼もうよー」
瑞希が声をかけてくる。
私はそれを了承し、「瑞希は何にするの」と質問した。
「ん~僕はね、やっぱパフェかなー」
「瑞希はやっぱり甘いもの好きだよね~」
「甘いものは最強だよ~?あ、翼もいる?」
「ん~…じゃあそっちのミニ苺パフェにしようかな」
注文を済ませ、「あのさ」と瑞希がこちらに向かい合ってくる。
「何?」と反応すれば、その表情はさらに硬いものとなった。
「翼、ずっと気になってたことがあって…今聞いていい?」
「うん」
「あの、違ったらごめんね…」
ここまで瑞希が真剣に話をしようとするのは知り合って以来初めてだ。
「翼ってさ、」
「天使病、だったりしない?」
全身の血液が一気に冷えていくのが分かった。
心臓をひゅっと掴まれてしまったみたいに息がしづらくなる。
「ハァッ…へ…?わ、私が天使病…?」
「そんなわけ、ないじゃん、」
そう、ひきつった頬を無理に動かして笑顔を作り言うのが精一杯だった。
でも、瑞希は私を見据えたまま、言った。
「あのね、僕、見ちゃったんだよ」
「_翼の背に、羽が生えているの。」
見られていた。
うまく隠していたつもりだった。
嫌われたか。
「_ごめん」
確かにそう、瑞希は言った。
「…なんで瑞希が謝るの?」
そう聞かずにはいられなかった。
天使病になってしまったのは私の勝手。
瑞希は何も悪くないはずなのに、許しを乞う言葉を口にしたのだから。
「だって僕、今までずっと翼が苦しんでたのに気づけなかった」
瑞希の大きなカラメル色の瞳は、微かに涙を溜めていた。
「瑞希は何も悪くないよ、」
そう言いながら声が震えてしまったのは、私も泣きかけていたから。
「私…瑞希とっ…お別れなんて…したく、ない…」
「翼、泣かないで」
「…へ?」
「残された時間、どれだけあるのか分からないけどさ。僕と一緒に楽しもうよ。リミットが、来るまで。」
瑞希は言葉を続ける。
「僕、翼に会えて本当に良かったと思ってるんだ。僕はいつも翼に助けられてばっかだったし、楽しませてもらってばっかだった。だから、せめて最後ぐらいはさ。なんかさせてよ」
翼は、考えた。
瑞希をこのことに巻き込むのはいい判断なのか。
でも、それは一瞬だった。
私は、言った。
「じゃあ、死ぬまでにやりたいこと、一緒に考えてほしいな」
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