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本作の主人公は男主となっております。男主が苦手な方は、ブラウザバックなどの対処を個々人で行う事を強く推奨いたします。

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糖花のような恋に落つ

#3

episode2

「おいバアちゃん、店番終わったぞ」
「おお、●●くん、毎日ありがとうねえ」
あいつらが来てから数時間後。今はもう、あんなに明るかった日も沈みそうになり、夕方だ。
いつも通り、駄菓子屋の裏にいつもいるバアちゃんを呼んで、小遣いをもらう。
「本当に、毎日ありがとうねえ」
「別にいいよ。大学の日以外はやる事なんて基本ねえし」
「そうかい?お友達と遊んだりとか……」
「…………るっせ」
友達や恋人は、高校に入るまでできた事がなかった。周りはすぐ、血の気が多いオレを怖がるから。親からはいつもそれを心配されていて、バアちゃんも同じなんだろう。全く、血の繋がりというものを感じる。
「あんたの兄さんからも、同じ事言われてたなあ」
バアちゃんは、うちの親父の妹。オレからすれば、叔母に当たる。親父はもう死んじまったから、話題に出すとバアちゃんは、いつも悲しそうな顔をする。オレはそれが大嫌いだ。
「そうかい……お兄さんもねえ」
「……ま、友達なんざ居なくても生きていけるっつーの。あっ、てか居ない訳じゃねえ。遊ばねえだけだかんな」
「そうかい。なら良かったよ」
バアちゃんはにこっと笑う。
「ああ、でもそろそろ、●●には恋人ができても良いかもしれないねえ。彼女さん、もう居るのかい?」
彼女。その言葉を聞いてオレは、なんだかざわざわとした気持ちになった。そしてなぜか、今日会ったばかりの、遥の事を思い出した。
なんでアイツがこの話の流れで出てくるんだろ。そう思いつつ、オレはなんでもないような素振りでバアちゃんに返事した。
「恋人は……はあ、なあなあバアちゃん。そんな事今気にしてもよお……その話はまた今度にしねえか?」
わざとらしく時計を見ながらそう言うと、バアちゃんはオレの言葉を聞いて、なぜかまたにこっと笑いだした。
「な、なに笑ってんだよ」
「うふふ。そうかい、そうかい。いつか恋人、できるといいねえ」
「…だからるっせえんだっつの」
バアちゃんの言葉を聞いて、オレはなぜかまた、遥の事を思い出した。
オレは遥の事をなんだと思っているのか。初対面の年下なのか、知り合いなのか、あの風鈴生の中の一人なのか、それとも__。
「●●くん、明日は大学でしょう?そろそろ帰んなさい」
「……あ?お、おう。そうだな」
少しばかり考えていると、バアちゃんがそう言った。確かに明日は一限なので、早く帰って寝なければいけない。そろそろ帰る頃だ。
オレは帰る準備をして、バアちゃんの家の玄関から帰っていった。
「またよろしくねー!」
「おう、またな」
バアちゃんに手を振りながら、自分の家までの帰路につく。
明日は早い。だから何も考えずに、帰ったら風呂に入って、ご飯を食べて寝なきゃいけない。
それなのに、この気持ちはなんなんだろう。遥のあの照れた表情が、フラッシュバックして仕方がない。
「あー……。こんなん知らねえよな」
独り言をしていると、その時。
「[太字]オラァ![/太字]」
どこかから、男の声が聞こえた。同時に、昔散々聞いた音__人を殴る音も、同じ場所から聞こえてきた。
「おいおい、なんだよ」
多分、誰かが不良にやられているのだろう。行かなきゃいけない、そう思うと同時に、オレの体は音が聞こえてきた場所まで走り出した。
「はあっ……ちっ、早く終わらせて帰るっきゃねえな……!」

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作者メッセージ

これはなんでもない話ですが、樫木さんの見た目は黒髪赤目だと個人的に思っています。黒髪赤目丸眼鏡。最高じゃない訳がない。個人的にとても良いです。でも作者が言ったから事実だ、という訳ではございません。皆さんそれぞれの樫木さんを頭に浮かべてお読みいただければな、と思います。

2024/10/26 18:43

夢野 シオン@水野志恩SS ID:≫7tLEh4qnMjetA
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